日野自動車の大型トラック「プロフィア」「プロフィアハイブリッド」が6月6日、2024年型へアップデートされた。改良のメインは安全法規改正への対応だが、それ以外にも燃費性能の向上を図ったという。編集部が入手した資料から、主力モデルのJH25モード燃費で顕著に改善していることがわかった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車
側方衝突警報装置を搭載
2024年型プロフィアの改良は、今年5月にスタートした「側方衝突警報装置(BSIS)」(車両総重量8トン超トラックが対象)と「バックカメラシステム」(二輪車を除く全車両)の装着義務に対応したもの。
BSISは、左折時に歩行者や自転車通行者を検知した場合、ドライバーに注意を促すもので、側方ミリ波レーダー装置とキャビン内の警告灯および警報ブザーを新設した。
側方ミリ波レーダーは左右一対で装備しており、クルマの右側車線あるいは左側車線にいる走行車両を検知する「車線変更警報(BSD)」も、新たに実装されている。
BSISとBSDは、既存装備である「出会い頭警報(FCTA)」とともにサイトアラウンドモニターシステム(SAMS)を構成しており、前述のキャビン内警告ランプと警報ブザーを共有している。
そのほか安全装備ではないが、標準装備のタコグラフをSDカード式デジタルタコグラフ(従来はアナログタコグラフ)へ変更した。このデジタコは、法定3要素(時間・距離・速度)の記録に特化した小型タイプとなっている。
12速自動トランスミッションと空力性能を改良
燃費性能の向上では、電子制御12速自動トランスミッション「Pro Shift(プロシフト)12」の改良(プロフィアハイブリッドを除く)、キャブ空気抵抗の低減、省燃費タイヤの採用(一部車型)が行なわれた。
プロシフト12は、12段の各ギアレシオは従来型と同一であるものの、変速制御の改良で、より低いエンジン回転数でのシフトアップを可能とし、あわせて運転フィーリングの向上も図ったという。なお、ファイナルギア比も標準・オプションとも変更はない。
キャブの空気抵抗低減では、カーゴ系の主力である低床4軸8×4車型FWのフルキャブハイルーフ車に、「低床ハイルーフ用大型ウィンドデフ」(導風板)を新たに採用した。これまでウイングボディなどのバン架装時に生じていたルーフと荷箱の段差が、2024年型FWではほぼ解消され、空気抵抗の低減を実現している。
また、かなり細部のディテールではあるが、サイドミラーステーのブラケット形状を変更して、これも空気抵抗を軽減している。こちらは全車共通の改良だ。
大幅に伸びたJH25モード燃費値
編集部が入手した資料をもとに、JH25モード燃費(令和7年度重量車燃費基準)を2024年型と従来型(2023年型)で比較してみたところ、今回の燃費改善の効果が大きいことがわかった。
特に、需要の大きいモデルである「車両総重量25トン・380PSエンジン・プロシフト12搭載車」のうち、前述FWのフルキャブハイルーフ・後輪エアサス・軸距7375mm・245/70R19.5タイヤ装着車は、2024年型がリッター4.33km、従来型はリッター3.99kmで、8.5%もの燃費向上を達成していた。
JH25モード燃費はシミュレーション試験により算出されるが、パラメータとして用いられる数値はパワートレーンと空力性能の実試験から取得するため、それらの影響が大きく現れる。今回の燃費改善対策は効果覿面(てきめん)というわけだ。
また、以前のJH15モード燃費(平成27年度重量車燃費基準)に基づいて付与される排ガス識別記号も、基準値達成を示す「2KG-」となり、従来型(基準値未達の2DG-)に対してランクアップとなった。
例に挙げたFWとは異なる車型および車両総重量・エンジン出力・トランスミッションにおいても、機種・仕様によって多寡の差はあるものの、多くのモデルで燃費性能が向上している。排ガス識別記号がランクアップしたモデルも、3軸6×2車型FR、3軸6×4車型FS、前2軸6×2車型FN、2軸4×2車型FHのそれぞれに存在している。
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