6月11日、日本電気(以下:NEC)と日野自動車の物流企業NEXT Logistics Japan(以下:NLJ)は、ロジスティクス分野における戦略的提携に向けた基本合意書を締結したと発表。
両社は、インターネットでやり取りされるデータのように標準化された「モノ」「物流」が日本全国でつながる「フィジカルインターネット」の実現に向けて協業を始めるとしている。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図/NEXT Logistics Japan・日本電気・経済産業省・国土交通省
NLJとNECのテクノロジーを連携
今回の提携は、両社の持つテクノロジーやノウハウを活用し物流MaaS(物流・商流データを連携させ最適化な物流を実現するコンセプト)や、車両の自動化などに取り組み、物流のあるべき将来像「フィジカルインターネット」を実現するためのサービス提供を目指すものだ。
その協業第一弾として、NECの共同輸配送の取り組みを容易かつ効率化する「共同輸配送プラットフォーム」と、NLJの量子コンピューターを用いた物流最適化ソリューションシステム「NeLOSS(ネロス)」を連携することが発表された。
NLJではこれまでに他の物流企業や荷主企業と協力し連結全長25mのフルトレーラ、ダブル連結トラックに混載で荷物を積み、クルマやドライバーをシェアしモノを運ぶ共同輸送の仕組みを作ることで、効率化した大量輸送の取り組みを進めてきた。
こうした共同輸送でNLJが導入しているのがNeLOSSで、積み付け・割り付け・配車まで、何万通りもある荷物の組み合わせの中から、積載効率が高まる組み合わせをわずか40秒ほどで割り出すことができるシステムとなっている。
いっぽうNECは、輸配送の小ロッド化・多頻度化により2010年以降の貨物自動車の積載率は40%以下にとどまっていることから、共同輸配送による生産性向上を目指し「共同輸配送プラットフォーム」を開発。
2023年9月から2024年3月にかけて協力会社とともに実証実験を実施し、物流データを同システム上で共有させ、AIを活用した共同輸配送のグループ候補の自動割り出し、最適化した運行計画の自動作成などを実証、共同輸配送における運用上の課題点の抽出や検証を行なった。
両社は、NeLOSSと共同輸配送プラットフォームを連携させ、共同輸配送における対象ルート・候補決定から配車と荷物の組み合わせまでシームレスに割り出すことができるサービス提供の早期導入を目指すとしている。
今後は自動運転のトラックの運用も視野に
また両社は今後、フィジカルインターネットの実現を目指した取り組みを進め、自動運転トラックを利用した新しい輸配送や、製造から販売までの物流プロセス全体における物流データを高度につなぐデジタル化・標準化および社会実装を推進する枠組みの拡大に取り組むという。
なおフィジカルインターネットとは、インターネット普及以後やり取りされるデータの単位「パケット」のように「モノ」「物流」の規格を統一し、荷主や物流事業者ごとにバラバラに行なっていたモノの流れを共有化して運べるようにすることで、表面化するさまざまな物流課題に挙げられる無駄・ロスを無くしていこうというコンセプト。
我が国では世界に先駆け2022年3月に「フィジカルインターネット・ロードマップ」を策定。2040年を実現目標年次とし「ガバナンス」「物流・商流データプラットフォーム」「水平連携(標準化・シェアリング)」「垂直統合(BtoBtoCのサプライチェーンマネジメント)」「物流拠点(自動化・機械化)」「輸送機器(自動化・機械化)」6項目を柱とする、物流改革が始まっている。
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