あのスズキの名FR車が復活するかもしれない。ベストカー本誌が6月26日号でスクープした、スズキ「カプチーノ」復活という情報。トヨタとダイハツ、そしてスズキの共同開発によってプロジェクトが進んでいるとのことで、軽ではなく、1.3LターボのFRオープンスポーツで開発されているという。カプチーノ復活の情報を機に、初代カプチーノについて振り返りつつ、初代の中古車相場についても確認しておこう。

文:吉川賢一/写真:SUZUKI、ベストカー編集部

■スズキが徹底的にこだわってつくったモデル

スズキ「カプチーノ」。マツダのオートザムAZ-1、ホンダのビートとともに「ABCトリオ」とよばれた軽オープンスポーツモデルだ

 フロントエンジン後輪駆動という本格的なスポーツカーのパッケージングで登場し、「軽FRスポーツの名作」といわれた、スズキ「カプチーノ」。ロングノーズ&ショートデッキの古典的なフォルムもカッコいいが、すごいのはその中身だ。

 1990年当時、スズキのスポーツモデルとして、「アルトワークス」はすでに人気モデルとなっていたが、カプチーノでは、そのアルトワークスのエンジン(657cc直3 DOHCインタークーラー付ターボ)を縦置きにレイアウトし、5速マニュアルトランスミッションと組み合わせたうえで、前後ともカプチーノ専用のダブルウィッシュボーン式サスペンションを投入。さらには四輪ディスクブレーキまで採用する、という本気ぶりだった。

 軽量化にも徹底的にこだわっており、ルーフやボンネット、リアフェンダーの一部にアルミニウムを使用したほか、ホイールや駆動系にもアルミニウム素材を採用した結果、車両重量は700kgと超軽量を実現。さらに1995年5月のマイナーチェンジでは、エンジンブロックを、鋳鉄製から軽量なアルミニウム製へと置き換え(前期型のエンジンはEA11R、後期型はEA21R)、さらに10kg減量に成功。エンジントルクも向上(7.5kgfm→10.5kgfm)していた。

 「エンジンブロックをアルミ化する」という変化の大きさは、自動車開発の現場にいた者からすると、かなり衝撃的だ。とにかく、スズキのこだわりが存分に詰め込まれていたモデルだった。

ルーフ、ボンネット、リアフェンダーの一部にアルミニウムを使用、ホイールや駆動系にもアルミニウム素材を使い、車両重量700kgという超軽量ボディを実現していた
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■現在の中古車相場は120~160万円、なかには390万円もの個体も

軽快なハンドリングとオープンエアの気持ちよさが味わうことができたスズキカプチーノ。セカンドカー、サードカーとして、車庫に一台収めたくなるクルマ好きは少なくないはず

 カプチーノの当時の新車価格は約146万円。当時の軽自動車の価格としては高価だが、ライバルのAZ-1(約160万円)やビート(約140万円)とは、ほぼ同価格帯だった。

 そんなカプチーノをいま入手しようとすると、いくらくらい必要となるのか。2024年6月現在、カプチーノの中古車は全国で92台ほど。価格は、安い個体だと40万円(走行距離17万km、修復歴無し)からあるが、高いものではなんと390万円(走行距離1000km)という価格もあり、幅が広い。

 相場はおよそ120~160万円あたりだ。価格高騰はしていないようだが、生産終了から25年が経っていることから、もし手に入れるならば、メンテナンスの面倒をしっかりと見てくれるショップで購入することをお薦めしたい。

■「令和のカプチーノ」は見ることができるか!??

ベストカーによる次期カプチーノ予想CG。ベストカー本誌のスクープによると、軽自動車ではなく、1.3LターボのFRオープンスポーツで開発されているという

 バブル崩壊とともに姿を消していった軽オープンスポーツ。カプチーノも1998年に販売を終了した。その後、2001年にはダイハツ「コペン」が、2015年にはホンダの「S660」が誕生したが、S660は2022年3月に生産終了に。ホンダとしては、日本独自の軽規格に縛られた軽スポーツよりも、海外販売を見据えたコンパクトスポーツとしたほうがまだ利益につながる、という考えもあるのだろう。

 ただ、コペンの2023年の総販売台数は3,800台と、細々ながら売れ続けており、軽オープンスポーツにはまだ活路があるように思える。ベストカー本誌のスクープ通り、トヨタとダイハツ、そしてスズキの共同開発でカプチーノが復活となれば、日本国内においても、国産スポーツカー市場が活気づく可能性もあると思う。クルマファンとしては期待したいところだが、軽スポーツカーと相性の悪いカーボンニュートラル問題をどう切り抜けてくるのかは気になるところだ。はたして本当に令和にカプチーノは蘇るのか!?? 続報に期待したい!!

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