高速道路を走る時はタイヤの空気圧を高くした方がいいと聞いたことはないだろうか。昨今はこんな話めっきり聞かなくなった気もするが、どうなんだろうか!? 本当に空気圧を高くする必要があるのか、その理由は何なのかを解説します。

文/デグナー12(Team Gori)、写真/写真AC

■ラジアルタイヤなら変える必要なし!? そもそも変形を抑えるための試みだった

スタンディングウェーブ現象によって損傷したタイヤ

 結論からいうと、タイヤの空気圧はクルマの指定空気圧に調整しておけば問題はなく、高速道路を走るからといって高くする必要はない。それにも関わらず高速道路では高め空気圧がよいと言われた理由は大きく2つある。

 1つ目はタイヤの変形を抑えるため。走行中のタイヤは地面と接地した面の変形と、円形に復元する動作を繰り返しており、高速走行でタイヤの回転が早くなると復元が間に合わなくなり、波状の変形が発生する(スタンディングウェーブ現象)。特に空気圧が低い状態ではタイヤのたわみが大きいので発生しやすいと言われている。

 この現象が発生すると振動はもちろん、バーストの恐れがあり、非常に危険。そのため、スタンディングウェーブ現象が起こりやすい高速道路走行時は高めの空気圧が推奨された。しかし、ラジアルタイヤが主流になった現在のタイヤは、空気圧による形状の変化が少なく、指定空気圧さえ保っておけば高速道路で空気圧を高く調整する必要はなくなった。

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■雨天時のハイドロプレーニングを防ぐため高めの空気圧にセットしていた

雨量が多いほど、速度が高いほど発生しやすいハイドロプレーニング現象

 2つ目はハイドロプレーニング現象の防止が目的。これはタイヤが路面の水によって浮いてしまい、ハンドルやブレーキがきかなくなる現象のことで、摩耗した浅溝のタイヤや、高速走行時に発生しやすい。どちらもタイヤの排水性能が落ちることが理由で、空気圧が低い場合もタイヤのたわみによって、溝の排水性能が落ちてしまう。

 タイヤの排水性能は接地形状の解析技術が進んだことで年々進化。指定空気圧で使用した時に排水性能が最大限発揮できるよう、最適化された溝がデザインされているため、高速道路でも空気圧を高める必要はない。

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■4台に1台が空気圧不足の状態

国産車は運転席側のドア開口部に空気圧が表示されている

 ここまで高速道路を走る場合でも空気圧を高くする必要はないと述べてきたが、あくまで指定空気圧が保たれていることが大前提。しかし、実際は4台に1台のクルマが空気圧不足の状態で走行しているという調査結果がでている(JATMA、日本自動車タイヤ協会発表の資料による)。

 タイヤを安全に長く使うためには空気圧が低すぎても高すぎてもダメで、クルマにあった空気圧に調整することが重要。指定空気圧は運転席側のドア開口部、輸入車であれば給油口のフタに記載があるので、月に1度は空気圧をチェックすることをオススメする。

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