「最低」や「低下」というのは、自民党派閥の裏金事件の実態解明を置き去りにして、「抜け道」や「検討事項」が数多く、実効性が不十分なままに「改正政治資金規正法」を可決、成立させてしまった岸田首相の内閣支持率ばかりではなかったようだ。

トヨタ自動車が開いた定時株主総会で、取締役に再任された豊田章男会長について、株主の賛成率が71.93%となり、前年の84.57%から約12.64ポイントも低下したという。トヨタが関東財務局に提出した臨時報告書で明らかになったもので、きょうの各紙も経済面などに「豊田会長再任、賛成率が低下、12ポイント減、不正の影響か」(朝日)や「取締役10人中最低」(毎日)、さらに「開示の2010年以降最低」(読売)などと報じている。賛成率が約11ポイント低下した昨年の総会の結果から、さらに株主の支持が低下したことになる。

豊田会長の賛成率が低下した背景には、産経によると、一部の海外機関投資家が「取締役会の独立性が不十分」だと豊田氏が主導する企業統治を問題視していることに加え、車の量産に必要な「型式指定」の認証不正の発覚が影響したとみられる。

また、豊田会長の再任については、米議決権行使助言会社のグラスルイスとインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)がそろって株主に反対を推奨。米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)も反対票を投じていた。

グラスルイスは企業統治上の問題を理由に、豊田会長とともに早川茂副会長の再任にも反対を呼びかけていたが、ナンバー2で側近の早川氏の再任への賛成率も89.53%で、前年の95.79%から6ポイント以上も低下したことになる。

今回再任された取締役10人のうち、経営の執行責任者である佐藤恒治社長の賛成率は95.44%と高かったが、社長就任直後の前年の96.80%からはわずかに低下。豊田氏と早川氏を除く8人の賛成率は90%台で、豊田氏の賛成率が最も低かったという。

現在、トヨタの経営陣で代表権を持つのは、豊田会長と早川副会長、そして佐藤社長の3人だが、このうち序列上位2人の賛成率が大きく低下した。グループ企業を含めて相次いで発覚した認証不正の問題をめぐっては、「経営トップの責任」を問う声も強まっており、株主総会を乗り切った後でも、依然として信頼回復への道のりは険しいと言わざるを得ないだろう。

2024年6月20日付

●首相、今国会解散見送り、党首討論「課題取り組み専念」 (読売・1面)

●豊田会長再任「賛成」71% トヨタ…開示の10年以降最低(読売・8面)

●ホンダ社長が認証不正陳謝、株主総会(読売・8面)

●米EV強まる減速懸念、参入メーカー破綻、充電設備不要、HVを選択 (読売・8面)

●改正規正法成立、政治とカネ抜け道残す、立憲、不信任案きょう提出 (朝日・1面)

●エヌビディア世界一、半導体時価3.3兆ドル、マイクロソフト・アップル抜く (朝日・6面)

●都知事選(24.7/7) きょう告示(東京・1面)

●Opinion、車の「チューリング革命」 (日経・6面)

●ダイハツ、新車受注回復「タント」など納期も正常化(日経・13面)

●価格は語る「きれいな中古車」存在感、流通増え単価上昇(日経・17面)

●ガソリン店頭2週ぶり下落、174.7円 (日経・17面)

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