先行予約の段階から、ディーラーの想定を大きく超える人気ぶりのフリード。特にクロスターの売れ行きが予想以上に伸びているようだ。シエンタとは違う、遊び心を詰め込んだフリードのクロスター。負けてられないトヨタも、既に昨年のオートサロンで遊び心満載のシエンタが登場していたぞ。
文:佐々木 亘/画像:ホンダ
■SUVテイストがコンパクトミニバンでも必須になるか?
新型フリードの登場で、さらに熱を帯びてきたフリードVSシエンタの戦い特に、ボディタイプを2種類用意したフリードは、シエンタに対してキャラクター面でリードした形だ。
正常進化のAIRの魅力も十分だが、注目はSUV風のデザインに進化したクロスターであろう。アウトドア需要などを想定し、力強い外観と、AIRでは選べない2列シート5人乗りの仕様を武器に、これまでのフリードユーザーよりも幅広い層を取り込みに来た。
ディーラー側の想定では8:2程度の割合でAIRの売れ行きが先行する予想だったようだが、先行予約段階では7:3から6:4に近いところまで、クロスターの注文が迫ってきているというのだ。
予想以上の人気に、納車は来春とも言われる。プレーンなモノデザインでフリードに立ち向かうシエンタには、少し厳しい状況だろう。
だからこそ「シエンタにもSUVテイストのモデルが欲しいよね」と思っていたら、既にトヨタディーラーから、「こんなシエンタどうですか」と提案があった。もし、フリード・クロスターのライバルとして市販化されるなら、こんなシエンタが出てくるかも。
■仮称シエンタクロスはこんな感じか!
2023年のオートサロンまで時計の針を戻していくと、フリード・クロスターに対抗できそうな現行型シエンタがいた。「MTGシエンタクロス2023」と名付けられたこのカスタムカーを持ち込んだのは、宮城県を本拠とするトヨタディーラー、宮城トヨタグループ(通称MTG)だ。
LX MODEと新規開発したオーバーフェンダーモール、TEINと開発した車高上げスプリングがカスタムの軸である。ノーマルよりも車高が1インチ高くなり、未舗装路への進入にも気を遣わずに済む。
オーバーフェンダーと車高アップに負けないように、タイヤも横浜タイヤのジオランダーG016を装着。オールテレーンタイヤで、アウトドアシーンで活躍する「道具」として使えるだろう。
公道走行も可能なカスタムで、新しく出たシエンタクロスですと紹介されても、何ら違和感は無いし、フリード・クロスターといい勝負ができそうだ。
実は宮城トヨタグループは、先代のシエンタでも2019年と2020年にSUVカスタムに挑戦している。3回目となる現行型のシエンタクロスの提案は、まさにSUVシエンタの最終形態だった。なるほど、完成度が高いわけだ。
■クロスター対抗馬を出せるかがシエンタの未来を決めそう
今は、どんなカテゴリーのクルマであれ、SUV風にできるかどうかが人気を左右する。そこへ、ギア感(道具感)を合わせていくのが、最近の潮流だ。
あのクラウンでさえ、クロスオーバーモデルが登場して長いし、最近ではLANDSCAPEというギア感たっぷりの特別仕様車を出してきた。これがまた、カッコよくてイイ。
今のところ、選択肢が多いフリードの方が、魅力度が高く見えるものの、シエンタにもクラウンランドスケープのようなギア感たっぷりな特別仕様車を設定できれば、追いつくのも時間の問題だろう。
さらに激しさを増す、シエンタとフリードの戦い。勝負の行方は、それぞれのギアモデルに委ねられそうだ。
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