音楽好きなドライバーなら、その音楽をより良い音で楽しむことに少なからず関心があるはずだ。しかし、システムアップが実行されることはそれほど多くない。当連載では、その一因が「分かりづらさ」にあると仮定し、その払拭を目指して展開している。

◆『ビッグX』は、オーディオ機器としての実力が高い。そのポイントとは…

現在は、「メインユニット」に関連する事柄について説明していて、これまではオーディオ機器として優秀な「AV一体型ナビ」とはどのようなものなのかを考察してきた。それに引き続き今回からは、注目すべき機種についてその実力を検証していく。まずはアルパインの『ビッグX』を取り上げる。

結論から入ろう。アルパインの『ビッグX』は、オーディオ機器としての実力が高い。トップレベルにあると言って良い。

では実力が高いそのポイントを、1つ1つ説明していこう。まずは「大画面モデルが用意されていること」がポイントだ。『ビッグX』は「AV一体型ナビ」の大画面化の流れをけん引してきたシリーズだが、現在は市販「AV一体型ナビ」の中で最大サイズとなる11型モデルも用意している。画面が大きいことはすなわち利点だ。同乗者が映像系コンテンツを、大迫力で楽しめる。

次いでポイントの2つ目は、「素の音質性能が高いこと」だ。独自開発された「S.T.A.Rサーキット理論(Signal Transit for Accurate Response)」が継承されていて、内部構造からデジタル回路に至るまでが再設計されている。結果、従来から高評価を得ていた音質性能が一層磨き上げられている。

アルパイン・ビッグX

◆メディア対応力が高く、サウンドチューニング機能も至って優秀!

カーオーディオ機器としての実力が高いポイントの3つ目は、「メディア対応力が高いこと」だ。Bluetoothモジュールを内蔵していることはもちろん、「HDMI入力端子」も備えているのでスマホのミラーリングも行える。そしてさらには「HDMI-CEC」にも対応していて、同じく対応している機器を接続する場合には、リモコンで行う操作をナビ画面でも行える。

そして4つ目のポイントは、「ハイレゾ音源の再生も可能なこと」だ。USBメモリやSDカード、さらにはAndroidスマホに保存してある「ハイレゾ音源」を再生できるので、外部メディアプレーヤーを接続してそれを聴く場合と比べてより快適にハイレゾ音源を楽しめる。曲送り等の操作をナビ画面上にて行えるがゆえだ。

続いて5つ目のポイントは、「サウンドチューニング機能が充実していること」だ。「イコライザー」が優秀で、さらには「タイムコレクション(タイムアライメント)」も搭載済みだ。

その「イコライザー」は、フロント左右、リア左右とを別々にコントロール可能だ。このように「左右前後独立」で操作できる「イコライザー」が積まれた「AV一体型ナビ」は、『ビッグX』をおいて他にない。

アルパイン・ビッグX

◆「イコライザー」はより詳細なコントロールを行える「パラメトリックタイプ」!

また「イコライザー」は、より詳細なチューニングを行える「パラメトリックタイプ」となっている。「パラメトリックイコライザー」では、補正をかけたい周波数帯と操作して影響が及ぶ範囲を任意に選択可能だ。一方通常の「グラフィックイコライザー」では、各バンドの周波数帯と操作して影響が及ぶ範囲が固定されている。ゆえに柔軟な設定を行い難い。

そしてもう1つ、「車種専用チューニングに対応していること」も、見逃せないポイントだ。先述したとおり『ビッグX』はサウンドチューニング機能が優秀だが、だからこそそれを使いこなすのは簡単ではない。でも車種専用のチューニングデータがプリセット済み、またはダウンロード可能なので、労せずして優秀な機能の恩恵を受けられる。

ところで、スピーカーが市販品に換えられていてそれに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク」が「バイアンプ接続」に対応していると、『ビッグX』ではより高度なシステムを構築可能だ。「バイアンプ接続」を実行することで、フロント2ウェイの各スピーカーユニットに対して「イコライザー」と「タイムコレクション」の両方を個別に効かせられるようになる。本格的なシステム運用も可能になる、というわけだ。

今回は以上だ。次回も「AV一体型ナビ」に関する“分かりづらい”事柄を解説予定だ。お楽しみに。

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