日本において事故を起こしていないにもかかわらず、翌年の自動車保険掛け金が2倍、3倍になった、という話は聞かない。ところが、イギリスではランドローバー レンジローバー、レンジローバースポーツの自動車保険の値上がりが酷い状況らしい。

文:古賀貴司(自動車王国)/写真:ジャガー・ランドローバー

■日本とはちょっと異なる英国の盗難事情

盗難の対象になっているのが、1世代前(4代目)となるレンジローバー。2013年から2021年まで販売された。

 レンジローバーならびにレンジローバー・スポーツが盗難の対象になるケースが増えている。

 ジャガー・ランドローバー社による機関投資家向けの説明会にて、議題のひとつとして取り上げられるほど、事態は深刻なようだ。

イギリスのDVLA(運転免許庁)が発表した2023年の盗難車両ランキングのトップ3を見てみると1位フォード フィエスタ(5976台)、2位フォード フォーカス(2120台)、3位フォルクスワーゲン ゴルフ(2038台)で、ランドロバー車は5位レンジローバー スポーツ(1631台)、6位レンジローバー イヴォーク(1489台)、10位ディスカバリー スポーツ(954台)とトップ10に3モデルがランクインしている。

 ランドローバー車は盗難車両100台につき1台の割合で、自動車メーカーで見ると多いほうなのだという。

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■自動車メーカーが独自で保険を提供するという減少

2017年から販売されているレンジローバー ヴェラール。イヴォークとレンジローバースポーツの間という立ち位置となっている。

 保険料はおおざっぱに言うと、加入者からの受け取り保険料、保険会社からの支払い保険金など、事故発生率を勘案して算出される。

 ランドローバー車の自動車保険掛け金の上昇は、それだけ盗難に起因する保険会社からの支払い保険金があるからだ。あまりに自動車保険の値上がりが著しいため、昨年にはランドローバーが独自の自動車保険を提供することになった。

 これにより自動車保険の混乱は解消されるはずだったが、レンジローバー・ヴェラールのオーナーが保険加入を拒まれるという珍事も発生している。

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■保険以外の対策にも予算が投じられている

日本市場でも非常に人気が高いレンジローバースポーツ。2代目モデルは2013年から2022年まで販売された。

 ランドローバー社では、2022年から2023年12月までにイギリスで1万2200台販売されたレンジローバーのうち、盗難被害に遭ったのは9台(2023年12月時点)、1万3000台販売されたレンジローバー スポーツで盗難被害に遭ったのは13台だったと発表している。

 つまり、旧型モデルが被害に遭っている、と言いたいのだろう。現在は1000万ポンドの資金を投入して、旧型モデルの盗難対策につながるアップデートを施しているそうだ。

 また、イギリスでは警察への情報提供や盗難車両発見に必要なトレーニングのためにランドローバー社では100万ポンド以上の予算を確保している。

 クルマ好きにとって、車両盗難は避けたい悪夢であり、今後の対策に期待が寄せられる。

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