日本でも売れに売れまくっている大人気モデルのマカン。今やブランドを支える大黒柱になりつつあるのだが、なんと最新世代はICE(内燃エンジン車)の設定がないという。なぜポルシェは大胆な戦略を取ったのか? その理由は意外なところにあった。
文:藤野太一/写真:ポルシェ
■発表された新型マカンはなんとBEV専用モデルに
2024年1月末、ポルシェの人気SUV、マカンの新型モデルがワールドプレミアされた。
初代のデビューが2013年のことだから11年ぶりのフルモデルチェンジとなる。新型マカンはタイカンに続くポルシェの第2弾BEV(電気自動車)専用モデルへと生まれかわり、ICE(内燃エンジン車)の設定はない。
ポルシェの2023年のグローバル販売台数は32万221台と過去最高を記録。そのうちもっとも売れているのがカイエン(8万7553台)、僅差でマカン(8万7355台)が2位につけている。
これほどの売れっ子モデルをいきなりBEV専用にするのはあまりにもリスクが高い。したがってポルシェも数年前から、次期型のマカンはBEV専用になるけれど、現行のICEも併売するとアナウンスしていたのだ。
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■状況を一変させたサイバーセキュリティ法規
ところが事態はかわってしまった。欧州域内でサイバーセキュリティ法が施行されることになったのだ。ひとつのきっかけとなったのは、2015年に起きたクライスラーチェロキーがハッキングされ遠隔操作された事件。
現代のクルマは通信システムやECU(電子制御ユニット)、レーダー、カメラなどさまざまなデバイスが搭載されている。その気になれば、ステアリング操舵やアクセル、ブレーキ操作などの遠隔操作も可能だ。
そこで、2021年1月にはサイバーセキュリティ法規「UN-R155」が施行。欧州や日本では2022年7月以降に発売される一部車両から順に規制が始まっている。
そして、欧州域内ではICEマカンを販売できなくなってしまったのだ。
ポルシェの開発者は現行モデルをサイバーセキュリティ法に適合するように改良することは不可能ではないが、そのためには多大なコストと労力が必要になるため断念したと話していた。
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■新型マカンのICEは望み薄…ならば新型?
ちなみにマカンを製造するドイツのライプツィヒ工場ではICEとBEVが混合ラインで生産されている。継続生産車には猶予期間が設けられているため、日本市場においては予定通り現行のICEと新型のBEVが併売されている(ポルシェジャパンの公式HPにも両方のモデルが掲載されている)。
いまのところ継続生産車は2026年5月までに対策の必要があるようだが、ICEマカンがいつまで生産されるのかについてはまだ公表されていない。
いずれにせよ、残された時間はそう長くはなさそうだ。ICEマカンが欲しい人はお早めに。
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