梅雨時だって洗車は必要。でも、手軽に利用できる洗車機を使ってもボディは傷つかないのか? 今回は、そうした洗車機に関する疑問や手洗いとの違いについて考えていこう。さあ、アナタはどの方法を選ぶ?

文/長谷川 敦、写真/写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ画像/monticellllo@Adobe Stock

■洗車機にだって違いはある

ガソリンスタンドに設営されている洗車機。写真の洗車機は門型洗車機といわれるタイプで、所定の位置にクルマを停めると機械が前後に移動して洗車を行う

 雨の多い梅雨時は「どうせ洗ってもすぐに汚れそう」と、洗車をサボりがちだが、実は雨には不純物も多く混ざっているため、洗車をしないでいると汚れが取れにくくなったり、ボディが痛んだりする可能性もある。

 しかし、手洗いするのは面倒だし、梅雨の季節は手洗い中に雨がまた降ってきてしまうなどということも……。

 そこで注目したいのが、手軽かつ短時間で愛車を洗える洗車機の利用だ。

 ガソリンスタンドや洗車場など、現在では多くの場所で洗車機が設営されている。

 だが、一見同じに思えるこの洗車機にもさまざまなタイプがあるのをご存じだろうか?

 洗車機は、サイズだけでなくブラシの種類や機能などによっていくつかの種類に分けられる。

 ガソリンスタンドに設置されているような、ドライバーが乗車したまま洗車を行うタイプがドライブスルー洗車機、運転手が降車して洗車するのは門型洗車機と呼ばれている。

 短時間で洗車できるのがドライブスルータイプだが、洗車能力が劣るというわけではない。

 また、クルマを洗うブラシについても、織布やスポンジ、ファイバーなど種類は多い。

 自分が利用したいと考えているガソリンスタンドや洗車施設でどのタイプの洗車機が稼働しているのかは、実際にその施設を訪れるか、ウェブサイトなどでの確認が必要だ。

■「洗車機だとボディが傷つく」はもう古い!?

 ベテランドライバーのなかには「洗車機は手軽だけど、ボディをブラシで擦るから傷がつきやすい」という話を耳にしたことがある人がいるかもしれない。

 たしかにムカシの洗車機では、ブラシの状態が良好ではなくてボディ表面が傷んでしまうものもあった。

 だが、現在の洗車機ではそうしたことは起こらない。

 まずはブラシの材質が改善されていること。

 以前のものに比べて近年の洗車機に採用されているブラシの材質は改良されていて、ボディを傷つけにくくなっている。

 また、自分の前に洗車したクルマに付着していた異物がブラシに残ったまま洗車を行うと、それが原因で表面を傷つけるおそれもある、最近の洗車機ではブラシも洗浄してから次の洗車を始めるため、その危険性も低い。

 そしてブラシを使わずに水や洗浄剤を直接ボディに吹き付けて洗車を行うノンブラシ洗車機も存在しているので、このタイプならボディに傷がつくリスクは大きく減る。

 つまり、洗車機を使うとボディが傷つくというのはもう過去の話だと考えてよい。

 むしろ、ボディに付着した異物をきっちり除去しないまま手洗いしてしまったり、固めのスポンジでゴシゴシとボディをこすったりするほうが傷を作る可能性が高いかもしれない。

■洗車機はどう選ぶ?

 ここからは実際にどんな基準で洗車機を選べばよいのか考えていきたい。

●ドライブスルーか門型か?

 まずはドライブスルータイプと門型について。

 ドライブスルーは最初に料金の支払いや洗車の設定を行ってからドライバーがクルマを所定の位置に移動させ、洗車が行われている間は車内で待ち、完了後は自走で洗車機から移動する。

 門型洗車機の場合は、まずはクルマを洗車機前の指定位置に停車させ、ドライバーはクルマから降りて設定操作を行う。

 この設定操作はドライバー自身が行うこともあれば、ガソリンスタンドなど、施設のスタッフが行うケースもある。

 そして洗車中は車外で待つことになるので、その間に休憩したり誰かと連絡をとったりなどできるが、洗車が終了したら自身でクルマを洗車機から移動させる必要がある。

 洗車時間を短縮できるのはドライブスルーで、洗車中に他のことができるのが門型といえる。

 先にも書いたが、ドライブスルーと門型で洗車の仕上がりが変わることはなく、それはむしろ設定や料金によって変化する。

●ブラシとノンブラシはどっちがいい?

 ブラシによる洗車はボディの汚れをこすって落とす方式のため、少々しつこい汚れでもキレイにすることができる。

 これに対してノンブラシ洗車機は高圧で水や洗剤を吹きつけて洗浄を行う。

 だからノンブラシ洗車のほうが短時間で洗車できるが、細かい部分に汚れが残ってしまう可能性もある。

 つまり洗浄能力ではブラシ洗車に分があるが、ボディを傷つける危険性はノンブラシのほうが低い。

 時間優先でボディに傷をつけたくないならノンブラシ、しっかり洗いたい時はブラシ洗車機を選べばよいだろうう。

●ブラシの種類による違い

 ブラシをボディに接触させて洗うタイプの洗車機には、ブラシの種類がいくつかあるのは先に説明した。

 ポピュラーなファイバータイプは先端が細い繊維状になっていて、このタイプの洗浄力は強め。

 スポンジは面で接触するスタイルで、織布タイプも同様に面で洗う。

 これらのどれかが優れているということはなく、洗い方や仕上がりが自分の好みに合っているかで判断したい。

 まずは、自分が利用できそうな洗車施設でどのようなブラシが使われているのかを調べてみるのがお薦めだ。

■結局のところ、洗車機と手洗いのどちらがいい?

手洗い洗車は手間のかかる作業だが、愛車とのコミュニケーションにもなる。写真のように親子で我が家の愛車を洗えば家族のコミュニケーションもバッチリ

 人間がスポンジなどを持って直接ボディを洗うのが手洗い。

 ガソリンスタンドなどで専門スタッフが手洗いサービスを実施していることも多いが、オーナー自身が手洗いを行うケースもある。

 手洗いのメリットは目の届くところの隅々まで入念に洗浄できることで、特に専門スタッフが洗ってくれる場合は見事なまでにきれいに仕上がる。

 反対に手洗いのデメリットは時間がかかることと、高コストになること。

 プロによる手洗いには代価が必要で、自分でやる場合には時間と手間というコストを考えなければいけない。

 洗車機を使えば時間が短縮でき、近年の進化した洗車機なら、手洗いに匹敵するレベルの洗い上がりが得られることも多い。

 もちろん、高レベルな洗車機には、それなりの使用料を払わなくてはならない。

 要するに、洗車機か手洗いかのチョイスはドライバーがどう考えるか次第ではある。時間に余裕があるなら、自分自身の手でクルマを洗うのもよいだろう。思わぬところに小さな傷を見つけるなど、愛車のことを知るいい機会にもなる。

 急いでいるなら洗車機、余裕のある時は手洗い、というのがスタンダードなチョイスだといえる。

記事リンク

前の記事

愛車の寿命を延ばす一番手前のメンテ「洗車」しましょう

次の記事

雨で汚れは洗い流せません!! 梅雨時こそ洗車が必要とされる3つの理由

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。