デリカミニで躍動している三菱。ミニバンの展開は現在デリカD:5のみだが、1983年にはミニバンの元祖シャリオが存在した。そしてその血を継ぐ後継車グランティスは現在のミニバンと比べても遜色ないほどに作りが良い。そんなグランティスの魅力に迫っていこうと思う。
文:小鮒康一/画像:ベストカーweb編集部
■“ブーレイ顔”が最もマッチしたのがグランディス?
かつてはワイドバリエーションを誇った三菱だが、現在はSUVテイストを持つ車種に集約し、予想を上回るヒット作となったデリカミニを筆頭に新たな顧客を獲得している。そんな中再注目したいのは最後のモデルが2003年に登場したグランディス。今見ても魅力的な1台と言えるのではないだろうか?
2代続いたシャリオからシャリオグランディスへと改名された3代目、そしてグランディスとなった4代目モデルは2003年5月に登場。当時の三菱のファミリーフェイスであったいわゆる“ブーレイ顔”を採用していたが、流麗なボディラインと絶妙にマッチしており、今見ても古臭さを感じさせないエクステリアデザインとなっている。
当時すでに主流からは外れつつあったヒンジドアを持つスタイルのミニバンとなってはいたが、見せかけだけの豊富なシートアレンジなどは用意されず、実際に使う頻度が多いレイアウトのみに集約していた点も合理主義な欧州車を思わせるもの。
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■グランティスの魅力を底上げした内装
シートアレンジは、3列目シートを床下に格納して広いラゲッジスペースを実現するものと、セカンドシートの座面を跳ね上げてさらに荷室を拡大させるというもの。確かにいくつものアレンジ方法があったとしても、最終的に使用するのはこの2パターンというケースも多いため、理にかなったものと言える。
ちなみにセカンドシートの座面は跳ね上げるだけでなく、3段階に座面の角度を調節することもできたため、セカンドシートに座るユーザーの体格に合わせてベストな座面角度を選ぶことができたのも隠れた美点となっていた。
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■時代を先取りした車づくり
一方のパワートレインは2.4Lの直列4気筒SOHCエンジンに4速ATと、特に飛び道具的な印象のないものとなっていたが、新開発のMIVECエンジンで、このクラスのミニバンとしては初の超低排出ガス認定車種になるなど、環境対策が進んでおり、三菱が得意とする4WDも「マルチセレクト4WD」を採用して見た目以上の走破性を兼ね備えていたのである。
ただ前述したようにすでにミニバンはスライドドアを持つものが主流となっていた時期であったことと、2004年に巻き起こったリコール隠し問題の影響などもあって販売は低迷。
2004年5月には欧州仕様の足回りはボディ剛性強化などをほどこした「スポーツ-E」というツウ好みのグレードを追加したが、販売は好転することなく、2009年春ごろに姿を消すこととなってしまったのは残念だった。
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