2024年の4月末から5月頭にかけて開催された北京モーターショー。各国からさまざまなモデルが出展されたが、中でも注目を集めていたのが、大手スマホメーカーとして名高い、中国のXiaomi(シャオミ:小米科技)が初めて作ったクルマ「SU7」。北京市内で海外メディア初となる試乗を行った!!
※本稿は2024年5月のものです
文・写真/ベストカーWeb編集部
初出:『ベストカー』2024年6月26日号
■拍子抜けするほど乗り心地よし!
先の北京モーターショーでも全世界から注目を集めていたのが中国の大手スマホメーカー、「Xiaomi」(シャオミ:小米科技)が初めて作ったクルマである「SU7」だ。今回、北京市内で試乗できる貴重な機会を得たので海外メディアとして初試乗記をお届けしよう。
SU7はセダンタイプのBEVで、フロントからパッと見た印象は同じ中国メーカー、BYDのSEALを彷彿とさせる。ボディサイズは全長4997×全幅1963×全高1455mm、ホイールベースは3000mm。Cd値は市販車最高レベルの0.195というから驚異的だ。
凄まじいのがパフォーマンス。トップグレードでデュアルモーターを搭載する4WDの「Max」は、最高出力673ps、最大トルク85.5kgmを誇る。こちらの0-100km/h加速は2.78秒で、最高速は265km/h、航続可能距離は800kmをマークする。
そして何よりも世界中の度肝を抜いたのはその車両本体価格。標準グレードとなる後輪駆動モデルで21万5900中国元(約453万円)、トップグレードの「Max」でも29万9900中国元(約630万円)という低価格路線だからだ。
シャオミSU7が発売となったのは2024年3月28日から。発売開始からたった24時間で10万台もの受注があったと話題を呼んだ。今回の北京モーターショーでは、シャオミ創業者の雷軍CEOが返金不可の受注台数がすでに7万5000台を超えたことを明らかにしている。
また、SU7を購入すると自動的にシャオミのスマホがもれなくついてくる。このスマホを完全にSU7のワイドディスプレイに連動させることも可能で、ペアリングさせると以後のスマホの操作はワイドディスプレイ上で行える。
■20秒間の「ブーストモード」は圧巻!
試乗したモデルはトップグレードのMax。まずは慎重にアクセルを踏み込んだのだが、拍子抜けするほどその乗り心地はいい。この手のハイパワーEVにありがちな低速時のゴツゴツ感もさほど感じられない。
それもそのはず、このMaxグレードは連続可変ダンパーを備えたエアサスペンションが装備されているのだ。車重は2205kgとかなりの重量となるSU7だが、段差を乗り越える際にもエアサスが威力を発揮。実にしなやかに路面からの入力をいなしてくれる。
搭載するバッテリーは101kWhのCATL製三元系リチウムイオンバッテリーを採用しているのだが、673psを誇るMaxの加速力はその重さを微塵も感じさせないほどの強力さ。
続いてステアリング右側に設置された「DRIVE MODE」スイッチを押し、20秒間フルパワーを発揮するブーストモードを体験。ガソリン車では味わえないような、めくるめく圧倒的な加速力はまさに“麻薬”のようなものだと思えた(もちろん、やったことありませんけどね)。
また、試乗車には通常グレードには装備されないブレンボ製ブレーキシステムが装備されていたのだが、ブレンボをもってしてもブーストモード時のSU7が発生する強大なモーターパワーに対応するには少々プアだとも感じた。
ただし、それ以外は価格設定を考えると「これ以上、何を求めるのか?」と言っていいくらい、高レベルにすべてがまとまっていた印象。ボディはカッチリしているし、エアサスを奢った乗り味も不満な点はなし。
かつてポルシェ初のEVであるタイカンの初期モデルに試乗したことがあったが、その時以上のインパクトが正直このSU7には間違いなくあった。「シャオミSU7、恐るべし」である。
●Xiaomi SU7 Max 主要諸元
・全長:4997mm
・全幅:1963mm
・全高:1455mm
・ホイールベース:3000mm
・車重:2205kg
・最高出力:673ps
・最大トルク:85.5kgm
・バッテリー:CATL三元系リチウムイオン(101kWh)
・最高速:265km/h
・0-100km/h加速:2.78秒
・価格:29万9900中国元(約630万円)
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