廃止から約4年経ったJR札沼線の末端区間。2024年現在は3路線に分割して代替バスがほぼ同じルートを通っている。廃線後の沿線観察を兼ねて、バスに乗りに行ってみた日の第2回目。
文・写真:中山修一
(代替バス月形浦臼線の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■札沼線2番目の代替バス
JR当別駅から向かう場合の最初の代替バスになる「とべ〜る号」を利用して、22kmくらい先の月形駅バス停に到着後、次のバスを使ってさらに先へ進む。
2番目の代替バスはこの月形駅と、およそ17km先にあった札沼線の浦臼駅との間を結んでいる。美唄自動車学校(ビジコー・美自校観光)が運行する月形浦臼線「かばと〜る号」だ。
愛称の「かばと〜る号」、同町がどちらも樺戸郡に属しているのと、その昔、月形町や浦臼町を含めた周辺一帯を、アイヌ語の「カパト(コウホネが茂るところ)」を元にして樺戸と呼んでいたところから来ているらしい。
■やや本数減ります
「かばと〜る号」は当別〜月形駅間の「とべ〜る号」に対してバスが3本ほど減り、1日平日5本・土休日4本の設定。乗り継ぎができるバスの便は決まっているので、予めチェックしておくのが無難な線。
当日は土曜日の、当別11:35→月形12:27と来て、月形12:40発の「かばと〜る号」第3便を狙った。月形での接続時間は13分で、現状残っている駅跡の観察をしながらバス待ちができる。
「かばと〜る号」には、路線バス仕様のワゴン車(トヨタ・ハイエースコミューター GL)が使用されている。2023年3月から、車体カラーがご当地キャラクター入りラッピングから、ネイビーブルーに金のライン+ロゴ入りに変わったそうだ。
■あの有名駅には立ち寄るの?
この日は利用が普段よりあったようで、月形から多くの人がバスを乗り継いでいた。それでも全員乗って席に余裕があるくらい。定員14名ほどのハイエースの輸送力で必要にして十分といったところか。
「とべ〜る号」と同様、札沼線の線路跡を並行している国道275号線が月形浦臼線のメインルート。鉄道代替バスということで、旧駅前は概ねカバーしている印象。
その中で、1駅だけ気になる場所があった。鉄道の現役当時、背の高い木々の間を線路が通り、そこにプラットホームが置かれていたため、人里離れた空気感が濃厚で、秘境駅と呼ばれ注目を集めていた「豊ヶ岡駅」だ。
国道275号線から1.3kmほどオフセットした場所に豊ヶ岡駅があり、近くに片側1車線の舗装道路が通っているので、やはり代替バスも豊ヶ岡駅に立ち寄るかな?
そう思っていると、バスは国道をそのまま直進。豊ヶ岡駅へのアプローチに相当するT字路の近くにもバス停は置かれていなかった。1日1人マニアさんが降りるかどうかの駅だったので、今はスルーで問題ないのかも。
■バス乗り場はどこに?
渋滞とは無縁の道を軽快に走る月形浦臼線のハイエースに揺られ、30分ほど経つと終点の浦臼駅バス停に到着した。運賃は通常400円であるところを、「とべ〜る号」降車時に乗継券を受け取っていれば200円引きになる。
現状のバス停名称は「浦臼駅」のまま。ただし、すぐ近くに建てられた多世代交流施設「えみる」が2024年5月にオープンした関係で、元々は浦臼駅の駅舎前にあったバス停が、そちら側に移転している。
今のところバス停標識が置かれておらず、次どこから乗ればいいの?と戸惑ったが、「えみる」の前にちゃんとバス来るのでご安心を、と、運転手さんにフォローいただいた。施設内にバス待合室があり、その目の前が乗り場と思えば大体OKらしい。
■“できたばかり”の廃線跡
バスを降りて旧・浦臼駅の駅舎を見に行ってみると、以前とあまり変わらない様子。驚いたのは駅舎の周辺で、札沼線メモリアルゾーンとして、プラットホームやレールがキレイに整備されていた。こちらも2024年5月オープンとのことで、できたばかりの廃線跡というわけだ。
土休日に当別11:35発で浦臼まで来ると、この場所が来た道を戻るのも、さらに新十津川方面へ進むのも最後のチャンスになる。初めから新十津川まで付き合うつもりだったので、後者を選択。
その場合、浦臼駅〜滝川駅を新十津川経由で結ぶ最後の代替バス「浦臼町営バス」一択になる。出発は15:30。「かばと〜る号」の浦臼到着が13:14だったので、ここで2時間以上の待ちが発生する。
訪問当日は、たまたま「えみる」でイベントを開催しており、その見学と、数分歩いた先にある郷土資料館を訪問していたら、すぐに2時間が過ぎた。札沼線代替バスの旅も、いよいよ次がフィナーレだ。
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