ランドクルーザープラドの後継であるランドクルーザー250が発売された(写真:トヨタ自動車)

日本では、特別仕様車First Editionを含めて2024年前半の発売を予定しています――。

そんなアナウンスとともに「ランドクルーザー250」が世界初公開されたのは、2023年11月29日のこと。それから約半年となる2024年4月18日、ついに日本で発売された。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

日本仕様のラインナップは、「GX」「VX」「ZX」の3グレード。2.8リッターディーゼルターボエンジン車が中心となり、3グレードのうちVXにのみ、2.7リッターガソリン車が用意される。

このほか、特別仕様車として「ZX“First Edition”(ディーゼル)」と「VX“First Edition”(ディーゼル/ガソリン)」が、合計8000台で限定発売された。

この記事の画像を見る(72枚)

70風デザインに300譲りのメカニズム

世界初公開されて以来、さまざまなメディアが取り上げてきたランクル250だけに、その姿を目にしたことのある人は多いだろう。

ランクル250は、それまでの「ランドクルーザープラド」の後継にあたるモデルで、剛健堅牢な「ランドクルーザー70」と高級豪華な「ランドクルーザー300」の中間的なポジショニングで、生活実用のためのライトデューティーモデルとしている。

ランドクルーザー各モデルのポジショニングを表す図(写真:トヨタ自動車)

従来のプラドよりも角張ったスタイリングは、ランクル70にも通じる“ランドクルーザー的なデザイン”であるといえる。一方で、世界的に好評なスズキ「ジムニー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」、フォード「ブロンコ(日本未発売)」のようなレトロテイスト路線に乗ったものでもあるとも見て取れる。

ランクル70の「ベージュ」にも似た「サンド」のボディカラーや、ライトグレーの2トーンルーフ、丸目ヘッドライト(オプション)を設定しているのは、その証左であるだろう。

丸目ヘッドライトを標準装備とするFirst Edition(写真:トヨタ自動車)

サンド/ライトグレーのボディカラーに丸目ヘッドライトを組み合わせれば、さながら“モダンなランクル70”だ。

しかし、メカニズムの面ではランクル70よりもランクル300のほうが近い。プラットフォームは、ランクル300と同じGA-Fプラットフォームを採用する。つまり、現代のSUVのほとんどが採用するモノコック構造ではなく、堅牢性を重視したラダーフレーム構造なのだ。

そういう意味で、ランドクルーザー250は極めて古典的なオフロード4WDである。しかし、先発の兄貴分、ランクル300がそうであったように、ランクル250は2020年代のクルマらしい装備や快適性を備えるのが特徴だ。

はしご(ラダー)型フレームの上にキャビン(ボディ)が乗るラダーフレーム構造(写真:トヨタ自動車)

たとえば、6つのドライブモードが選択できる「マルチテレインセレクト」や、4つのカメラを使うことでまるで床目が透けて見えるかのような「アンダーフロアビュー/アンダーフロアビュー(後輪)」、フロントスタビライザーのロック/フリーが切り替え可能な「SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism)」を搭載。電動パワーステアリングの採用は、ランドクルーザーでは初となるニュースである。

車体下部の様子をカメラ映像の合成で映し出すアンダーフロアビュー(写真:トヨタ自動車)

現代のクルマとして当たり前の安全機能や運転支援機能にもぬかりはない。「トヨタセーフティセンス」には、「プリクラッシュセーフティ」に加え、危険に近づきすぎないように“リスクの先読み”を行い、運転操作をサポートする「プロアクティブドライビングアシスト」も導入。

高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の機能として、一定条件下でハンズオフ(手放し運転)を許す「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」も設定している。その他にもこうした安全機能や運転支援機能は枚挙にいとまがないため、詳しく知りたい人はカタログなどで確認するといいだろう。

ランドクルーザー250のインテリア。直線的なデザインに物理スイッチを配置(写真:トヨタ自動車)

ディーゼル/ガソリン2つのパワートレイン

全グレードに設定されるディーゼルターボエンジン車は、4気筒2.8リッターの1GD-FTV型で、最高出力150kW/最大トルク500Nm。Direct Shiftと呼ばれる8ATを組み合わせる。

中間グレードのVXでのみ選択可能なガソリンエンジンは、4気筒2.7リッターの2TR-FE型で、最高出力120kW/最大トルク246Nm。こちらは6AT(6 Super ECT)との組み合わせ。いずれも、センターディファレンシャルにトルセン®LSDを採用するフルタイム4WDだ。

燃費は、ディーゼルがWLTCモードで11.0km/L、ガソリン車が7.5km/L。走りの面でも燃費の面でも、よほどの理由がない限りディーゼルを選ぶのが自然である。

ただし、実はランクル250にはハイブリッド車やマイルドハイブリッド車も存在している。現段階では海外向けのみの設定となるようで、日本導入も期待したいところだ。

グローバルでは全5種類のパワートレインを用意し、仕向け地ごとにラインナップを変えている(写真:トヨタ自動車)

ランクルのライバルはランクルである

当記事のサブタイトルが「最大のライバルは身内ランクル70/300か?」となっていることに気づいた人もいるだろう。

ランクル250はプラドのフルモデルチェンジ版として、また最新のランドクルーザーとして良くできたクルマであることは間違いない。他メーカーを見ても、独立したフレームを持つ堅牢なSUVは今やほとんどなく、ユニークな存在である。

しかし、だからといってライバル不在というわけではない。ランドクルーザー3兄弟のボディサイズと価格を見てほしい。

<ボディサイズ>
■ランドクルーザー250
全長4925mm×全幅1940~1980mm×全高1925~1935mm
■ランドクルーザー300
全長4950~4985mm×全幅1980~1990mm×全高1925mm
■ランドクルーザー70
全長4890mm×全幅1870mm×全高1920mm

 

<価格>
■ランドクルーザー250
520万~735万円(First Editionは590万~785万円)
■ランドクルーザー300
510万~800万円
■ランドクルーザー70
480万円(1グレードのみ)

 

このように、3車は驚くほど似ているのである。特にランクル250とランクル300は、“丸かぶり”といってもいいほど、ボディサイズも価格も近いのだ。

ランクル300は2024年4月18日時点で出荷停止となっているため、現時点で比較検討する人はいないかもしれないが、出荷が再会されるころにはランクル250の納期目処もついているだろうし、ライバルになる可能性は十分にある。

「3モデルのポジションをより明確にしました」とトヨタはいう(写真:トヨタ自動車)

ランクル250の納期については、「詳しくは販売店にお問い合わせください」と明示していないが、比較的納期の短いサブスクリプションのKINTOで「5~8カ月程度」としているから、通常購入での納期が“それ以上”であることは間違いない。

また、豪華さよりもオフロード車らしいスタイリングに惹かれる人なら、ランクル70との比較検討もありうるだろう。ランドクルーザーのライバルは、ランドクルーザーなのだ。

この記事の画像を見る(72枚)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。