ある日、突然届いたメーカーからのDM。中身を読むと、自分のクルマはリコール対象車で、どうやら放置しておくとヤバそうな様子……。「え? リコール? 放置するとどうなる?」な人に、今回はリコールについてお届けしよう。
文/山口卓也、写真/写真AC、AdobeStock、アイキャッチ画像/umaruchan4678@AdobeStock
■「リコール」って何?
リコールとは、クルマの設計・製造段階において部品や構造の問題があり、これを自動車メーカー自らの判断によって修理・部品交換などを行う制度。
該当するクルマに不具合が発見されると、メーカーは国土交通大臣へ事前届出を出して報告し、該当するクルマのユーザーへ通知を行う。「ディーラーでクルマを購入した」「ディーラーでメンテナンスを受けている」といったユーザーには直接電話で連絡がくる場合が多いようだ。
新車だけでなく中古車も対象となり、クルマを購入した場所やショップに関係なく修理や部品交換を“無償で”受けることができる。
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■リコールのお知らせは必ずくるのか?
ただし、引越しなどをして住所が変わったにもかかわらず、所有するクルマの車検証の住所変更を行っていない場合はこの通知がこないこともある。
だが、自分の愛車がリコール対象車かどうかは、クルマメーカーのHPや国土交通省のHPでも確認することが可能。中古車を購入し、リコール対象かどうかを知りたい場合もここで確認できる。
国土交通省 リコール・改善対策の届出
ちなみに、車検証の住所変更手続きは、住所が変わってから15日以内に行うことが義務付けられており、これに違反すると50万円以下の罰金となる。車庫証明の住所(保管場所)変更を行っていない場合も罰金となるので要注意!
住所変更手続きを行っていないと、車検証の住所と実際の住所が異なることで、万が一の事故の時に自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の保険金が支払われないこともある。実は「車検証の住所変更」は非常に重要なのだ。
■リコールのお知らせが来たらまずは連絡→作業予約を入れる
愛車がリコール対象車であることがわかったら、まずはディーラーに連絡。作業内容によってはすぐに対処してくれる場合もあるかもしれないが、多くは予約を入れてからの入庫となるので、連絡なしにいきなりディーラーに持ち込んでも作業不可のことが多い。
これは、リコールがかかると対象車に乗っている多くのユーザーがいっせいに連絡を入れるためだ。
作業時間はリコール内容によって異なり、すぐに完了するものもあれば数日預かりとなる場合もある。電話連絡時に作業時間のだいたいの目安を聞いておくといいだろう。
リコール修理は各メーカーが行うべきものなので、「なじみの修理屋へ……」ではなく必ずディーラーに連絡することが大事!
■リコールを放置して事故になったら大変なことに…
■リコールを放置してしまうととどうなる?
愛車がリコール対象車にもかかわらず、「修理しなくても大丈夫だろう」「仕事が忙しいからまた今度……」と結果的に放置してしまうユーザーもいる。
だが、リコールの内容によっては放置すると危険な箇所もあるのだ。
例えばブレーキ回りやエアバッグ関連など。また、リコールがかかっているにもかかわらず修理・対策が行われていない場合、車検に通らなくなるものもあるので自分で判断しないほうがいい。
■リコールを放置して事故が起きたら?
「そもそもリコールは、不具合のあるクルマを製造したメーカーが原因なんだから私のせいではない」と思う人もいるだろう。
しかし、国土交通省のHPにはこう書いてある。
「道路運送車両法により、自動車ユーザーには自分の車が道路運送車両の保安基準を常に満たすように維持する義務がありますので、通知された改善措置を速やかに受けていただくことが必要です。不具合が発生し、保安基準を満たしていない状態で使用すると、ユーザーの責任を問われることがあります」
つまり、リコール対象車であることを通知しているのに放置し、それが原因で事故が起きてしまえば使用者の責任となる場合があるのだ。取り返しのつかないことになる前に、必ずリコール箇所の修理を行うべきだろう。
■リコールに有効期限はある?
先に言うと、リコール箇所の修理に関して有効期限は設定されていない。
古い年式の中古車を購入して、リコール修理を行っていなかったなら、早急にディーラーなどに相談して修理依頼。何年経っていても、必ず修理を受け付けてくれるのでご安心を。
■リコール前に修理完了していたら返金される可能性が!
リコールが発表される前に、愛車の不具合を発見して修理を行った場合、その修理代金が戻ってくる可能性がある。
それには、「ディーラー修理である」、「申請手続きを行うこと」が条件となる。
つまり、リコール箇所の修理であっても、町工場や自分で行った修理では返金されない。
ディーラーで修理を行うと、整備記録が分解整備記録簿に残る。よって、手元の分解整備記録簿はなくさないように必ず保管。ディーラーでは分解整備記録簿を2年しか保管しないので、なくしてしまったことがわかったら即ディーラーへ連絡を。
また、返金の申請手続きには納品書と分解整備記録簿が必要。この2点をもって、ディーラーは修理の有無を確認するのだ。
リコールを放置しても、箇所によっては車検に通る場合もあれば通らない場合もある。だが、事故につながってしまったら自分の責任を問われる可能性もあるため、リコールの連絡がきたら忘れずにディーラーへ連絡を!
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