4月20日(土)~21日(日)のFIM世界耐久選手権(EWC)第1戦「ル・マン24時間耐久ロードレース」。日本でも盛り上がる「鈴鹿8耐」を含むEWCの初戦だ。開催直前の今、レースの見どころや注目チームをピックアップしてレポートしたい。

  文/Webikeプラス  

強力なワークス勢

 

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 2024年シーズンにおけるFIM世界耐久選手権(EWC)の第1戦ル・マン24時間耐久ロードレースがフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで4月20~21日に開催される。今季も第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレースを含む全4戦で争われるが、第2戦スパが8時間となり24時間レースは第1戦ル・マンと第4戦ボルドールの2戦と減った。

 開幕戦は全47チームがエントリーしたが、上位勢のエントリー状況に目を移すと、2023年にチームとしては2009年以来、ヤマハにとっては2017年以来のチャンピオンを獲得したYART YAMAHAは、ゼッケンを固定の『7』ではなくチャンピオンナンバー『1』をつけることになった。ライダーはニッコロ・カネパ、マービン・フリッツ、カレル・ハニカと布陣は変わらず、昨年に続きリザーブライダーにロビン・マルハウザーを帯同させる。

 2018年、2020年、そして昨年と3度のル・マン勝者であるF.C.C. TSR HONDA Franceもライダーラインアップに変更はなくジョシュ・フック、マイク・ディ・メリオ、アラン・テシェを継続して起用する。ホンダは今年に新型バイクを出しており、同チームに新型のCBR1000RR-Rが供給されているが、事前テストでは旧型のカウルでテストしていたが本戦のマシンはどうなるか。

 YOSHIMURA SERT MOTULはシルバン・ギュントーリが抜けて、ダン・リンフットが加入することになり、グレッグ・ブラック、エティエンヌ・マッソン、ダン・リンフットの体制になった。さらに、リザーブライダーには日本人ライダーの渥美心が帯同する。上記3チームはブリヂストンタイヤを履く表彰台の常連チームだ。

 

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 ダンロップタイヤを履くBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMはイリヤ・ミハルチク、YOSHIMURA SERT MOTULから移籍してきたシルバン・ギュントーリ、マーカス・ライターバーガーと2名は継続参戦だ。昨年はル・マン3位を含む24時間レースの3度全てで表彰台に上がっている。2019-2020シーズンからワークスチームとして参戦を開始して以来急激な成長を遂げており、耐久レースでも結果が残るようになってきた。

 KAWASAKI WEBIKE TRICKSTARはグレゴリー・ルブランのみチームに残り、クリスチャン・ガマリノとロマン・ラモスを新たに起用した。フランスチームとしての登録だが、昨年から日本のTRICKSTARが運営するなど注目の多いチームだ。

     

通算14勝と並ぶ日本メーカーの争いは

 

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 1000ccのスーパースポーツバイクが使用される同選手権は、ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキといった日本国内メーカー、BMW、ドゥカティ、アプリリアなどの海外メーカーのマシンを駆るライダーがエントリーに名を連ねる。

 ル・マン24時間を1978年の初開催から歴史的に振り返ればホンダ、カワサキ、スズキが14勝と並んでおり、ヤマハが4勝。欧州メーカーの優勝は1度もない。

 昨年の優勝チームはF.C.C. TSR HONDA Franceで、上記の通り3度目の優勝を達成。2位はチャンピオンチームのYART YAMAHA、3位はBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMだった。

 YOSHIMURA SERT Motulは同体制になってからは2021年と2022年にル・マンで連勝を果たしたが、2023年はオープニングラップで接触転倒。1周も終えられずマシンの修復を余儀なくされて、序盤は最後尾まで順位を下げたが、最終的には7位まで追い上げるパフォーマンスを見せた。

 

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 カワサキとしては表彰台は2021年にWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARとして2位を獲得しているが、優勝は2019年以降はない。新体制2年目としてどこまでパフォーマンスを向上させたのかにも期待される。欧州メーカーとしてBMWが初めての勝利を掴む可能性もあるだろう。

日本から7人のライダー3チームがエントリー

 

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 近年のEWCは日本チームも日本人ライダーも増えている状況だ。先陣を切って2016年からF.C.C. TSR HONDA Franceが参戦しているが、2021年からはYOSHIMURA SERT Motulが参戦。しかし、YOSHIMURA SERT Motulは日本のヨシムラとフランスのSuzuki Endurance Racing Teamがタッグを組んだチームであり、シーズン毎にフランスと日本で交互にエントリー。今年は日本チームとして戦う。そしてSST(Superstock)クラスには新規チームのTEAM ETOILEが日本からやってきた。

 TEAM ETOILEは亀井雄大、渡辺一樹、大久保光が正規メンバーだが、ル・マンではこのなかでは亀井のみが参戦。負傷している渡辺の代役に榎戸育寛、他の選手権に参戦する大久保の代役に奥田教介が指名されており、第4ライダーとして川崎祥吾も走ることになる。

 そのほか、YOSHIMURA SERT Motulの第4ライダーに渥美心、MACO RACING TEAMから石塚健、3 ART BEST OF BIKEから綿貫舞空がエントリーしており、3つの日本チームと7人の日本人ライダーがしのぎを削ることになった。

レースの見どころ

 

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 予選では3人走ったなかの上位2人のライダーの平均がタイムとして計上される。決勝ではル・マン式スタートのためライダーの足の速さやエンジンの始動の早さがレース序盤に大きく影響するが、その面においても上記で紹介した注目チームに分がある。

 1周のタイムとしてもYOSHIMURA SERT MotulやYART YAMAHAがポールポジション争いを展開しているが、今年は予選にも力を入れているBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMも上位に食い込んでくるはずだ。F.C.C. TSR HONDA FranceやWEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTARはポールポジションから遠ざかっているが、4月のル・マンはレースウイーク中に雨が降ることも多く、ウエットとなるとまた違った展開が予想される。

 決勝レースは現地時間の土曜日15時から日曜日15時まで丸一日、24時間での戦いだ。タイムだけを重視するわけではなく、給油回数を少なくするための燃費管理、昼と夜との視認性や気温と路面温度の変化を考慮しつつ、1人あたり合計で約8時間のライドでいかに転倒せずにアベレージタイム良く走ることが重要となってくる。

 

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 YART YAMAHAは例年スタートを苦手としていたが、昨シーズンからそこは改善している。YOSHIMURA SERT Motul、F.C.C. TSR HONDA France、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM、事前テストではトップタイムを記録して昨年はレース序盤を引っ張ったHONDA VILTAIS RACINGもトップ集団に入ってくるだろう。

 あとはチームが全力で対策しているバイクの耐久性が最も重要で、24時間を走り切れるのかが優勝には欠かせない要素となってくる。獲得ポイントも多い2024年シーズン初戦の大事な一戦でポールポジションを獲得するのは、そして表彰台に上る3チームはどこになるのか予想してみて欲しい。

 

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