俳優松重 豊さんがベストカーに登場! 実は松重さんは、試乗が趣味という、かなりのクルマ好きだった! 近所に住むモータージャーナリスト岡本幸一郎さんと意気投合し、ベストカーに出演する運びとなった。

 今回から、松重さんが大好きなマニュアル車特集! その第一弾として「日産フェアレディZ」の試乗インプレッションをお届けしよう。モータージャーナリスト、岡本幸一郎さんがホスト役となって、2人の対談形式で進めていく。

まとめ:ベストカーWeb編集部/写真:奥隅圭之/ヘアメイク:高橋郁美/スタイリスト:増井芳江/撮影協力:海の森水上競技場

■松重さんが乗りたいというマニュアル車3台を集めた

マニュアル車が大好きな松重さんが乗りたいと思ったマニュアル車、マツダロードスター、フェアレディZ、スイフトスポーツの3台を集めた

 俳優松重 豊さんといえば、主な出演作にドラマ『孤独のグルメ』、映画『しゃべれども しゃべれども』『ディアドクター』『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』『ツユクサ』など、舞台、テレビ、映画と様々な作品で名バイプレーヤーの実力派俳優として知られる。

 その松重さんの自宅近所に、数年前、モータージャーナリストの岡本幸一郎さんが引っ越してきた。岡本さんはモータージャーナリストという仕事柄、いろいろなメーカーの広報車を借りて自宅駐車場に停めているのだが、松重さんはそんな状況を見ていて不思議に思っていたという。そんなある日、2人は駐車場でバッタリ出会った。

 こうして出会ったそばから、2人は意気投合し、クルマ談義が始まったという。岡本さんは、まさか松重さんが、こんなにクルマ好きだとは思っていなかったため、大変驚き、ぜひ、自身が執筆している、『ベストカー』に出演してみては……と編集者に声がかかったのだった。

 今回から、松重さんが大好きなマニュアル車特集! 松重さんは免許返納までの最後のクルマはMT車と決めているというほどのマニュアル車好きだ。

 そこで日産フェアレディZバージョンST、マツダロードスターSスペシャルパッケージ、スズキスイフトスポーツの3台を試乗車に選んだ。今回はWebでは日産フェアレディZバージョンSTのインプレッションをお届けする。

 このマニュアル車特集は、ベストカー8月10日号(7月10日発売)および7月10日21時公開のベストカー動画チャンネルでも公開しますので、そちらのほうもぜひ見てください!

■ワクワク感いっぱいの日産フェアレディZバージョンSTにようやく乗れた!

試乗する前からワクワクしている松重 豊さん

岡本幸一郎(以下岡本):松重さんが大好きというマニュアル車を集めました。

松重:免許を返納する前の最後のクルマはマニュアルに車に決めてます。ガチャガチャやらせていただきます!

岡本:ガチャガチャいってください! まずはフェアレディZからチェックしていきたいと思います。デザインはいかがですか?

松重:フェアレディZは超入手困難車です。街中でそんなに見ないですし、お店に行ってこれくださいと買えるものじゃないですね。

岡本:まずはそこですね。まだ受注を受け付けてくれない感じですかね。ちらほらデリバリーが始まったみたいです。

松重:デリバリーがですか。受注はまだ再開していないんですね。

岡本:そうですね。Zのデザインはいかがですか?

松重:希少車、カッコいい。マイナーチェンジじゃないんですよね?

岡本:一応型式は変わっていないので大掛かりなマイナーチェンジになりますかね。

松重:エンジンも変わってますか?

岡本:変わってます。中身としてはフルモデルチェンジといっても差し支えないくらい変わっています。

松重:サイズ的にはGRスープラとか、ポルシェボクスター&ケイマンがライバル車になりますね。

岡本:そうした国内外のスポーツカーがライバルとなります。

松重:2シーターですか?

岡本:2シーターのみです。

松重:全長、全幅は?

岡本:全長は4380mm、全幅は1845mmです。

松重:ちょうどいいですね。老後の楽しみにもってこいですね。

Zらしさが感じられるリアスタイル


岡本:このデザイン見ると松重さんはビビッとくるのではないかと、世代的にも。

松重:スポーツカー、フェア“レディ”という名前が、子供心にも艶っぽさというのがたまらなかったんです。その純粋進化系ということで、やっぱりデザイン的にも直線が多用されていますよね。

岡本:そうですね。けっこうシャープですよね。

S30型のロゴを彷彿とさせる


松重:ライトがシャープで、でも全体的に丸く収まっている感じですよね。どこが一番Zっぽいですか?

岡本:この辺、テールランプのところですね。

松重:ここだ! Zって入っているくらいZっぽいですね。

岡本:ルーフとボディを分けているんだけど、そこまで違和感がないくらいに一体感があるというのがデザインの妙。いろいろ考えた末にここに行き着いたという感じですかね。テールランプなんかもZっぽいですね。ヘッドライトもそうですけど、どこから見てもまさしくZそのものですね。

松重:やっぱりこのテールの佇まいはZですね。

岡本:昔ながらのロゴですね。

松重:復活させたんですね。カッコいい!

岡本:往年のZファンにはたまらないですね。

松重:マフラーもカッコいい。あ、わざとデザインで穴が開いていますね。

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■サイドブレーキの位置が気になる

Zのサイドブレーキの位置はフロアトンネルを挟んで左側にある。これは左ハンドル仕様から変えていないのではと松重さんは指摘(写真はベストカー動画チャンネルより)


―インテリアをチェックー

松重:ドアもそれなりの重さを感じます。

岡本:シートは真ん中がアルカンターラで、外側がレザーですね。Zといえば3連メーターですね。

Zの特徴のひとつ、3連メーター。左から電圧、ターボスピード、ブースト


松重:1つ1つのメーターの中身を教えてください。

岡本:左が電圧計、その隣がターボスピード、ブースト計です。ターボチャージャーの回転を示しているんです。珍しいですよね。ブースト計はよくみかけますけど。というのはこのクルマのエンジンは小径のターボをめいっぱい回してパワーを引き出すってことをやっていて普通のターボよりもよく回っています。

松重:ツインターボですか?

岡本:そうです。

松重:V6の3リッターエンジンが前にあって、駆動はFR。ということはここにドライブシャフトがある。ドカンとあるんですね。メーターは新しくなっているんですか?

岡本:そうですね。デジタルになっています。デジタルだけどアナログっぽい表示になっていますね。あとこれですね。手動式のサイドブレーキがあります。最近見かけなくなりました。

松重:サイドブレーキってこっち(左)側にあっていいものなんですか?

岡本:やっぱり左ハンドルに合わせているのだと思います。

松重:そうですよね。こっち(右)側にあればいいのに、こっち(左)にあるっていうことは若干オフセットが左ハンドル仕様になっている可能性がある。

岡本:左ハンドルがメインに考えられていると思います。

松重:僕が一番気になっているのはマニュアル車のフットクリアランスです。最近のクルマは、2ペダルが当たり前になっているなかでアクセル、ブレーキ、クラッチの3つのペダルを置かなければいけないんですけれども、やっぱりどうしても干渉があります。やっぱりドライブシャフトがある関係でフットレストとクラッチ、ブレーキの間隔が非常にタイトになっています。

岡本:狭いですね。松重さんのように大柄の方だと操作しにくいかもしれません。

松重:というか僕の場合、足がダンビロ、幅があるのでヒール・アンド・トゥなんて器用なことはできませんし、踏み分けがちゃんとできるかどうかというのが乗ってみないとわからないですね。内装は申し分ないです。スポーティでカッコいい。

■エンジンは405馬力の3リッターV6ツインターボ

VR30DDTT型3L、V6ツインターボは405ps/475Nmを発生する。車重は1590㎏


―パワートレーンをチェックー

岡本:エンジンは3リッターV6ツインターボです。VR30DDTTという型式で、なんと最高出力は405ps、6400回転で発生します。いまどき珍しい高回転、高出力のエンジンです。

松重:回さなきゃいけないですね。

岡本:トルクは475Nmと強力で、1600~5600回転で発生しています。

松重:低速トルクが結構ありますね。

岡本:そうですね。こういうハイパワーなターボエンジンは、けっこうターボチャージャーにツインスクロールなどいろいろな技術を投入するんですが、このエンジンは今までのこなれた技術を磨き上げることで高出力とレスポンスを引き出しています。レスポンスがめちゃくちゃいいんで体感いただければと思います。

■405馬力の3L、V6ツインターボの走りは?

405psの3L、V6ツインターボ、6速MTのZバージョンSTの走りをどう評価する?

―ドライブインプレッションー

岡本:かねてから松重さんが乗りたいとおっしゃっていたZです。

松重:おとなしい、なんだろう、このジェントルな感じ、よくいえば。

岡本:おとなしい感じたところがこのクルマのコンセプトではないかと。開発責任者が言っていたのはGT-Rはモビルスーツ、Zはダンスパートナーであると。意外とおとなしいというのがそこに表れていると思います。

松重:エンジンの咆哮も控えめですね。

岡本:なんかスポーティで速いんだけど優しい感じもあるし。

松重:でもあんまり速さは感じないですね。やっぱり回転を上げないと本来の力を出してこないということなのかな。このくらいのスピード感だとまだまだ本領発揮までいかないという。

岡本:そうかもしれません。レスポンスよくて扱いやすいですよね。シフトフィールもいいかなと思います。

松重:特別なスポーツカーに乗っているという感じはあまりしないですね。あ~、ギアを高くするともう完全に乗用車ですね。

岡本:巡行モードという感じですね。でも踏み込んで中高速域、4000~5000回転の加速はけっこうおいしいですよ

松重:そうですね。う~ん、よくできてます。ただよく作られすぎている感じがする。なんていったらいいなのかなあ。もうちょっと荒々しさを温存してもよかったんじゃないかなあ。

岡本:そうですね。

松重:エンジンの音もちょっと抑えめですね。GT-Rのほうは走りに完全に特化しているんですか? Zは一般のモータースポーツ車っていうカテゴリーですかね?

岡本:モータースポーツまでいかない感じですかね。エブリディスポーツカーな感じですね。

松重:なるほど。割り切って乗ればいいってことですよね。ということは街乗りでどんどん使い倒すための2シーターですね。これがおもしろいと思うと一生のつきあいになりますね。

岡本:そうですね。まさにダンスパートナー!

■フェアレディZバージョンSTを評価する

―撮影拠点に戻ってー

岡本:いつ乗ることができるかと思っていたフェアレディZの採点をしていただきたいと思います。5点満点で、忖度なしに採点していただきたいと思います。いかがでしょう?

フェアレディZの評価は、5点満点で3.5点。期待値が高かった分、ちょっと辛口の評価になったという


松重:僕がフェアレディZに付けた点数は3.5点です。

岡本:意外と伸び悩んだ印象もありますが?

松重:期待が非常に膨らみ過ぎたというのはあると思います。純粋にスポーツカーとしてのなにかこう凄い性能だとか、乗り心地だとか、過剰に期待してしまったんですけれども、価格的(665万7200円)にもGT-Rとは違った、スポーティなクルマという位置付けなんだと改めて認識しなきゃいけないんだと感じました。 

 残念なところでいうと、一番大事なところだと思うんですけれども、作りが左ハンドル車をメインに考えられてあるのでサイドブレーキが反対側(助手席側)にあることです。

 僕としてはなんでこっち(運転席側)に移すことをしなかったんだろう。海外のメーカーが右ハンドルにするために処置をしたっていうのだったらわかるんですけれども、右ハンドルの日本のメーカーなのに……、というのが残念なところです。

 ただ、街乗りとかで楽しくビュンビュン気持ちよく走るっていう意味でいくと申し分のないクルマかなって思います。期待が高かった分、ちょっと辛口の点数になってしまったかなと思います。

※        ※       ※        ※        ※      

 いかがだったでしょうか?  7月19日にはベストカーWebにて「大好きなマニュアル車特集 マツダロードスター編」を公開します。お楽しみに!

【松重 豊 プロフィール】
俳優。1963年1月生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、1992年、黒沢清監督『地獄の警備員』で映画デビュー。以降、舞台、ドラマ、映画と幅広く活躍。近年の主な出演作に、『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』(細川徹監督)、『ツユクサ』(平山秀幸監督)、『青春 18×2 君へ続く道』 (藤井道人監督)など。ドラマでは、『孤独のグルメ』シリーズ(テレビ東京)、『きょうの猫村さん』(テレビ東京)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)など。また、エフエム横浜『深夜の音楽食堂』にてラジオパーソナリティも務め、雑誌クロワッサンで「たべるノヲト。」を連載中。2020年には自身初の書籍「空洞のなかみ」、2023年には枡野俊明さんとの共著「あなたの牛を追いなさい」を刊行する

【岡本幸一郎 プロフィール】
モータージャーナリスト 1968年5月生まれ。生まれは富山県滑川市だが、父の仕事の都合で幼少期を横浜の小机で過ごす。その頃に早くもクルマに目覚め、街を走るクルマの車名をすべて言い当てるほどのクルマ好き少年となる。学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのちフリーランスへ。あらゆるカテゴリーを幅広く網羅し、ユーザー目線で情報発信することを身上としている。2024年5月現在、乗り継いだ愛車は26台。幼い男女二児の父。2004年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、2008年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員となる

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