公道を走るクルマに装着が義務付けられるナンバープレート。ただの文字と数字の表示だけに思えるナンバープレートには、意外な秘密と危険性もあった!? 今回は、ナンバープレートの秘密に迫る!
文/長谷川 敦、写真/写真AC、イラストAC、Adobe Stock
■そもそもなぜナンバープレートはあるのか?
クルマに装着されるナンバープレートの正式名称は「自動車登録番号標(軽自動車は車両番号標)」であり、そのクルマが検査済みで自動車登録がされていることを示している。
つまり、当然の話だがナンバープレートのないクルマで公道を走ることはできない。
そしてナンバープレートには数字と文字が記されていて、もちろんそれらには意味がある。
以下でナンバープレートの記載について解説していこう。
■ナンバープレートの内容とは?
●地域名
ナンバープレートの左上には、そのクルマが登録された地域が記されている。
この地域名はクルマの登録台数などの理由により都道府県名だったり、区市町村名だったりするが、地域振興の目的で狭いエリアの地名を表す「ご当地ナンバー」も設けられている。
こうしてナンバープレートの地域名が増えた結果、2023年時点で全国133種類があるという。
なお、後述するナンバープレートの数字は好みの組み合わせを選ぶこともできるが、地域名はオーナーの住所がある場所のみに限定される。
●分類番号
これは地域名の右に記された番号のことで、そのクルマの種類やサイズを表している。
いわゆる「3ナンバー車」「5ナンバー車」という呼び方はこの番号に起因する。
最初の番号が「3」なのは普通乗用自動車で、「5」は小型乗用自動車になるが、車体サイズが5ナンバー枠内でもエンジンの排気量が大きいケースなどでは3ナンバーになる。
●ひらがな
ナンバープレートの下段左には一文字のひらがなが入っているが、これは普通自動車と事業用自動車、自家用などの区別をするもの。
レンタカーのナンバープレートが「わ」になっていることなどが有名だ。
なお、「あ」と「お」は判別しにくいため用いられず、「死」を連想させる「し」と、「屁」をイメージさせる「へ」、そして発音しにくい「ん」は使われていない。
●指定番号
ひらがなの横に書かれているのが1~4桁の指定番号だ。
この指定番号こそがクルマの個別ナンバーであり、同じ番号は存在していない。
かつては指定番号を選ぶことができなかったが、1999年からは希望ナンバー制が導入され、語呂のいい数字や自分の誕生日などを選べるようになった。
ただし、人気のある数字は抽選制となる。
これまでは数字のみが使用されていた指定番号だが、希望ナンバーの不足などの理由により、2018年からは英文字(アルファベット)も使えるようになった。
英文字は、指定番号の下2桁に使えるが、誤認しくにいA、C、F、H、K、L、M、P、X、Yの10文字から選び必要がある。
●プレートの色
ナンバープレートの色にも意味があり、自家用、または商用の普通&小型乗用自動車は白地に緑の文字、軽自動車は黄色に黒文字となっている。
そして事業用の普通&小型乗用自動車には緑地に白文字、事業用軽自動車は黒地に黄色の文字が使われている。
実は軽自動車にも白地のナンバープレートが装着できた期間がある。
それは2019年のラグビーワールドカップと2020年(実際の開催は2021年)の東京オリンピック・パラリンピックの開催を記念して発行されたナンバープレートだ。
この特別期間には、白地の軽自動車用ナンバープレートが高い人気を集めたという。
また、ご当地ナンバーのナンバープレートは、バックにその地域の風景などの図柄の入ったものも発行されている。
ナンバープレートの右上から左下にかけて赤い斜線が入っているのは、一般的に「仮ナンバー」と呼ばれるもの。
正式な名称は「臨時運行許可番号票」であり、これから車検を取得する新車や車検切れのクルマを公道で走らせる時に掲示する。
仮ナンバーではあらかじめ決められたルートしか走ることができない。
■ナンバープレートの危ない側面
公道を走るクルマは、ナンバープレートの情報をすべて公衆の面前にしているともいえる。
そしてナンバープレートにも危険な面はある。
現在はまさにインターネットを利用したソーシャルネットワークの全盛期であり、それに伴って個人情報の漏洩が問題となることも多い。
例えば、街中で有名人の乗ったクルマや珍しい車種などを見かけた人が、その場で写真を撮ってそれをソーシャルメディアに掲載してしまうことがある。
その際にナンバープレートの内容がすべてわかる状態で掲載されると、問題が起きる可能性も高い。
有名人の場合、ナンバープレートの地域名で居住区域が知られてしまう可能性があるし、同一のナンバープレートのクルマが複数の地域で目撃されれば、行動履歴の推測も不可能ではない。
とはいえ、ナンバープレートの情報だけでは持ち主や居住地の特定を完全に行うのは難しく、総務省の見解では、ナンバープレートは個人情報には該当しないということになっている。
■ナンバープレート情報の取り扱い
ナンバープレートは個人情報に該当しないとはいえ、その他の複数の情報を組み合わせて居住地などを特定することはできる。
有名人が所有するクルマのナンバーがわかっている場合、そのクルマが停まっている家やマンションなどが特定されてしまう可能性はある。
もちろん、対象が有名人でなくても悪意のある第三者にナンバープレートの情報が知られてしまうのは好ましくない。
だから、クルマの写真、あるいはクルマが写り込んでいる写真をソーシャルメディアに掲載する場合、ナンバープレートの情報がわからないようにするのがマナーだ。
自分の何気ない行動が誰かに不利益をもたらす危険性があるのがインターネット社会であり、写真を含めた情報は細心の注意を払って取り扱いたい。
クルマの個性を表す指標でもあるナンバープレートは、好みの数字に指定できるなど楽しめるアイテムでもある。
しかし、クルマの所有者や行動などを特定する要因にもなり得るものだということを忘れないでほしい。
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