スポーツモデルの間で装着率が高まっている「オートブリッピング」。シフトダウン時にエンジンの回転数をオートで合わせてくれる便利な装備ですが、実際の使い勝手はどうなのでしょうか? 装着車両を所有している筆者がレポートします。
文:ゴリ奥野(Team Gori)/写真:ゴリ奥野(Team Gori)、トヨタ、日産、ホンダ、写真AC
■レスポンスに不満はなくスポーツドライビングでも使える装備
「iMT(トヨタ)」「シンクロレブコントロール(日産)」「レブマッチ(ホンダ)」とメーカーによって呼び方こそ異なりますが、シフトダウン時にエンジンの回転数を合わせてくれる機能は同じ。確か、一世代前のフェアレディZ(Z34)に装備されたのが最初で、現行車ではGRカローラやフェアレディZ、シビックタイプRなどに搭載されています。
筆者が所有している装着車両(GRカローラ)の場合、ステアリング右下にあるiMTのスイッチを押すとシステムが起動。アクセルをあおらずにシフトダウンしても、自動でエンジンの回転が上がるので、ショックを感じることはほとんどありません。
ちなみにオートブリッピングは普段の街乗りだけでなく、ワイディングでも有効。高いアベレージで飛ばした時でも「フォン、フォン」と軽快なエンジンサウンドとともに回転を合わせてくれます。GRカローラでサーキットを走ったことはありませんが、サーキット走行時のヒール&トゥでも威力を発揮してくれるでしょう。
■ヒール&トーを練習しまくった世代にはおせっかいな装備か!?
注目の装備であるオートブリッピングですが、ほとんどの搭載車のオーナーは自分でヒール&トゥをマスターしているはず(たぶん)。私も自分でブリッピングするのが当たり前の世代です。そんな人種からすると、自分の足でブリッピングするのが一番自然。機械任せの操作に違和感を覚えてしまうという人は、私を含めて多いはずです。
でも、国内のトップカテゴリーで活躍する、あるレーシングドライバーも語っていましたが、ヒール&トゥを知らない人、経験したことがない人は素直に受け入れられるはずです。ほとんど好き嫌いの問題のようですが、若かりし頃に身に着けた運転操作はクセとなって体に残り、なかなか変えることはできないので、私はそこにストレスを感じているのだと思います。
■高速道路でのACC作動時に使えるオートブリッピング
いろいろな意見があるオートブリッピングですが、本来の目的とは若干異なるものの、便利な使い方を発見したのでご紹介します。
オートブリッピングが効果を発揮するステージはずばり、高速道路です。ACCを作動させての走行中、前走車に引っかかった際にスピード&エンジン回転ともに低下。そのまま走行を継続していくとエンジンが停止する恐れがあり、シフトダウンする必要がありますが、その際にオートブリッピングは非常に有効。当然、右足はお休み中なので、左足のみの操作でOKです。
スポーツドライビング用のオートブリッピングという意味では、本来の目的と異なる使い方かもしれませんが、ドライバーの運転負荷を低減する快適装備として非常に有効。高速ドライブをすればするほどオートブリッピングはありだと感じます。筆者は50歳代のオジサン世代ですが、最新技術を毛嫌いすることなく、上手に使っていきたいですね。
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