■今回の問題における経緯について
この度は、ベストカーWebにて2024年5月30日に掲載しました、GEELY社の車両を用いた公道試乗記事につきまして、多くの読者の皆さま、そして関係者の皆さまにご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。一連の調査および国土交通省への事情説明も完了しましたので、謹んでご報告いたします。
【1.概要】
ベストカーWebが公開した記事における中国GEELY社の公道試乗会が、車検などに用いられる「回送用」の仮ナンバーで行われた可能性を指摘されておりました。
【2.経緯】
2024年5月30日にベストカーWebで公開したGEELY社の榛名山における新型車公道試乗会において、試乗目的での使用が禁止されている「仮ナンバー」での運転を行ったのではないかという指摘を、2024年6月24日に交通タイムス社『WEB CARTOP』に掲載された「中国の巨大企業「ジーリー」が日本で試乗会……だが行ってみたら謎のイベント! ブランドの将来に不安しかない(中谷明彦氏著)」にて受けました。
まずベストカーWebとしては「筑波サーキットでの試乗に加えて、翌日に公道での試乗がある」という案内を中国側から受けており、その一環として公道試乗会に参加した形となります。
また装着されたナンバープレートの形状が「仮ナンバー」であることは認識しつつも、自動車メーカーが取得した開発用のナンバープレートであると解釈し、15分ほどの試乗を行いました。
本来であれば試乗前に、自動車メディアとしてそのナンバープレートの法的妥当性を厳格に確認し、道路車両運送法など諸法に則った試乗会であるか、入念な確認が必要でした。この点については社内での法的知識の教育が不充分であったこと、そして部内での報告体制の不備であり、自動車メディアとしてあってはならない失策であったと痛感しております。
【3.対応とベストカーWebの責任範囲】
2024年6月24日24時頃(25日AM0時)にベストカー公式Xにおいて「お詫び」を掲載、2024年7月4日11時38分に「ご報告」を投稿しました。今回の試乗に至った経緯を説明し、今後は中国側にも説明を求める旨を記載しました。繰り返しになりますが、自動車のプロである自動車専門メディアとして、GEELY社が用意した車両が法的に曖昧な状況であったにも関わらず、それを見抜けなかった事実については道義的責任を感じております。
あくまでも車両の登録や各種法規の遵守についてはGEELY社にその責任があり、今後も強く事実関係の究明と発表を求めてまいります。
またGEELY社側が日本の主たる自動車メディア、そして榛名山や筑波サーキットなど日本のカーカルチャーの舞台を踏み台にして、中国国内のインフルエンサーなどを使用したプロモーションを「試乗会」と称して行ったことについて、GEELY社および関連する代理店などに強く抗議を行っております。
【4.中国側からのリアクションについて】
一連の騒動における事実事項の調査を進めてまいりましたが、現在、中国側の関係者が弊社に提出している資料(写し)は下記のとおりです。
(1)日本国内の税関が発行した自動車通関証明書
(2)日本国内の仮ナンバーと見られる標板
(3)国内損保会社が発行しているGEELY車の任意保険
(4)日本国内陸揚げ時の中国ナンバープレート
争点となる「どのような目的で」「どのような法的手順を経て」仮ナンバーを発給したかという事実は未だ明らかになっておりません。またGEELY社側は中国の動画メディアに試乗会の運営を委託していたなどの回答もしており、杜撰な安全管理体制だと感じております。
【4.国土交通省からの指導】
2024年7月11日に、ベストカー編集局取締役役員、ベストカーWeb編集長、当該記事担当編集者の3名で国土交通省自動車局に伺い、一連の試乗会についての経緯説明を行い、下記の点についてレクチャーを受けました。
(1)仮ナンバーの発給について
仮ナンバーが申請目的以外の件で使われた(動画撮影用の試乗など)件については、GEELY側の依頼で申請を代行した自動車工場が法的責任を問われることになる。違法性の判断主体は仮ナンバーを貸与した市区町村にあり、国土交通省としては当該市区町村の手続きを待つことになる。
(2)世間一般における仮ナンバーの不正使用の横行
仮ナンバー自体、国交省としては許可基準が曖昧な部分を申請者側が都合よく解釈して使っている実態を把握している。今回の試乗会の件で、国土交通省などに対しての抗議電話が殺到した背景には、そのような不正利用に対する皆さまのお気持ちがある。
(3)仮ナンバーを用いた試乗について
法令上の「試運転」は「試乗」とは明確に異なる。原則として「試乗」はいかなる仮ナンバーでも許可されておらず、あくまで申請当事者(社)のみ、運転や同乗は許諾されている。これはメディアなどについても同様で、今後は仮ナンバーであった時点でいかなる試乗もしないでほしい。また今回の案件について試乗したドライバーなどについては罰則規定はなく、あくまでも仮ナンバーを用途外に使用した申請者に責任がある。
【5.ベストカーWebとしての対応と今後】
この度の問題で、多くの皆さまにご迷惑をおかけしましたことをあらためてお詫び申し上げます。主たる責任はGEELY社にあるとはいえ、自動車メディアとして、このように法的に不透明な車両での試乗を記事化し、一連の問題を見過ごしてしまったことにつきまして深く反省しております。
GEELY社には事実事項についての説明を現在も強く要求し、今後GEELY社に関連する取材や記事掲載については、先方から日本の自動車ファンの皆さまおよび自動車メディアに対し、公での誠意のある謝罪や説明がなされない限り、当媒体は一切実施しない方針でおります。
また仮ナンバー状態の車両についての試乗などについても、国土交通省からの指導のもと、いかなる状況下でも参加しないことをお約束いたします。
創業から45年を超える自動車専門メディアとして、今回の件は自動車ファンの皆さま、そして自動車メディアなど関連する方にご迷惑をおかけし、恥ずべき大きな失策であったことと捉えております。あらためてお詫び申し上げます。
今回のGEELY社の試乗会についてのご報告は以上になります。今後中国側から新たな動きがございましたら、随時ご報告をさせていただきます。
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