「教習所で習ったけど、あまり使わない……」こと、ありませんか? ちなみに筆者は初めて路上に出たとき、ポールがなくて縦列駐車がうまくできなかった。そこで今回はそんな、「あまり役に立たない!? こと4選」をお届け!
文/山口卓也、写真/写真AC、Adobe Stock
■教習所では運転時に必要な多くの知識・技術を学ぶが……
教習所では運転技術のほか、運転時に知っていなければならないことも多く学ぶ。多くの免許保持者はおそらくそうだろうが、「教習所に通っていなければ免許を手にすることはできなかった」と思えるほど、多くのことを学んだはずだ。
しかし、いざ路上に出て運転に慣れてくると、実は役に立たないこと“も”あることに気づく……。
■ポンピングブレーキ
教習所で習う技術のなかで、多くのドライバーに「コレはいらんだろ!」と言われるのがポンピングブレーキだ。
ポンピングブレーキとは、ブレーキング時にブレーキペダルを何度かに踏み分けることでタイヤがロックするのを防ぐ技術。ブレーキペダルを一気に踏み込むのではなく、ロック寸前まで踏み込む→リリース→踏み込む……ことで制動距離は短くなる。
これはABSが普及していなかった時代ではかなり重要な技術だったが、ABSが当たり前の現在では「制動距離短縮のため」のポンピングブレーキは不要。ブレーキペダルをしっかり奥まで踏み込むだけで、機械が自動的にロックしないように制御して止まれるからだ。
しかし、ポンピングブレーキは後方車両への「注意喚起」で使う場合もある。この場合は、ブレーキをかけるというより、ブレーキランプを複数回点滅させることで後方への注意喚起とするので、実際にはほとんど制動させていない。
「後続車に迷惑」「クルマの動きが不安定になる」という人もいるが、そもそもほとんど制動させず、ランプのみ点滅させる行為も不要だろうか? 下り坂で、前方の道路上に落下物があった場合など、注意喚起の意味では筆者も行っている。
なぜなら、クルマに乗っている状態でのコミュニケーションツールとも考えているからだ。
ひと言で「ポンピング」といっても目的によって操作は微妙に違う。ABSの付いていない乗り物に乗る際にもその理屈を知っていると役に立つので、まったく「役に立たない」とは言い切れないのでは? と思うのだ。
■ポールを使った縦列駐車
これは筆者が免許を取得して初めて路上に出て、縦列駐車のシーンを経験して確信した。「あれは不要!」と。なぜなら路上にポールなどないのだから……。
ただ、その後に運転に慣れてくると教習所で見たポールを、今見ている壁や樹木などに置き換えて縦列駐車するようになり、「不要! とは言えないかな……」と思うようになった。
教習所では他に、S字の切り返しやクランク路など路上にはほぼ存在しない場所での技能教習も行う。
これは、教習所では「最短時間内での免許取得」を目的とした技能教習が組まれているからであり、その後に応用することで路上でも活きてくる基本的な運転技能を教えているから仕方のないこと。
まあ、ポールじゃなくてブロック塀とかだったらみんなぶつけまくってクルマもボコボコ、ブロック塀は常に崩れたまま……になるだろうから、「教習所でポールを使うのは間違っていない」ってことで……。
■坂道発進時のサイドブレーキ
MT車の場合、激坂で停止した状態から発進する時、サイドブレーキは多くの場合必要。
MT車の運転に慣れているドライバーやパワーのあるエンジン搭載車なら、ブレーキペダルからアクセルペダルへの素早い踏みかえで何事もなかったかのように発進するが、この「坂道発進」は技能教習のなかでも難しいといわれていた。
しかし、今や国内を走るクルマの約98%はAT車。
MT車が多かった数十年前は必須のテクニックだったが、今では駐車時以外は使わない……という人がほとんどだろう。
AT車はクリープ現象(ATセレクトレバーがPやN以外ではアイドリング状態でも進もうとする現象)により、坂道ではブレーキペダルを軽く踏むだけで停まっていられる。
発進時に少し下がるクルマもあるが、MT車のようにガーっと下がるわけでもないので、相当な激坂でもない限り通常使用でサイドブレーキを使うことはほとんどないだろう。
それよりも、下りでDレンジ以外の2やLレンジなどの低いレンジを積極的に使えるようになる技能教習のほうがかなり使える……気がする。
■なんでもかんでもキープレフト
世代的には筆者も教習所で「キープレフト!」と教わった。その時に、「なぜキープレフトなのか?」を教わった気もするが、「キープレフト」という単語のみが頭にこびりついている。
キープレフトの元となる道路交通法は次のとおり。
道路交通法 第18条(左側寄り通行等)
「車両(トロリーバスを除く)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って、軽車両にあっては道路の左側端に寄って、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない」
ここには「なぜか?」が書いていないので、「キープレフト」を「とにかく道路の左寄り」や「高速道路では左端の車線」、「自転車がいようがオートバイがいようがとにかく左寄り」なドライバー、ライダーも一定数存在する。
キープレフトは、二輪車の“巻き込み防止”のために教習所が重要視して教えている。
しかし、なんでもかんでもキープレフトをすると、以下の問題点が浮上する。
1.出会い頭の事故が増える
常にキープレフトをしていると、路地から出てくる車両の発見が遅れ、接触する可能性が高まる。
2.あおりハンドルの可能性が高まる
「あおりハンドル」とは、左折時にいったん右にハンドルを切ってから左折する動作のこと。この行為は、後続車や対向車と接触する可能性もあるため、非常に危険で迷惑な行為として知られている。
3.自車がパンクする可能性が高まる
道路は、排水・排土性を考えて両端が少し下がった構造になっているため、めいっぱいキープレフトすると道路脇に溜まったゴミや石、異物などを踏む可能性が高まる。
4.水・泥はねで歩行者に迷惑をかける可能性が高まる
両側が少し下がった構造の道路は、雨天時には両側に水が溜まりやすくなる。ここを走行して歩行者に水・泥はねをすると「泥はね運転」となり、道路交通法で違反となる。
これら以外にも、「なんでもかんでもキープレフト」は問題点が多くあり、メリットよりデメリットのほうが多いのでは? と思うのだ。
また、きちんとキープレフトを行うと、クルマの左後方を走るオートバイからすれば「執拗に幅寄せしてくるクルマ」と思われるかもしれないが、 “巻き込み防止”を考えればこの行為は間違いではない。
しかし、「あおり運転」と勘違いされる場合もあり、であれば「キープレフトを解いて先に行かせる」という選択もあることを頭に入れておきたい。
クルマを運転するうえで、譲り合いはとても重要。しかし、双方が譲り合ったあげく事故! とならないように注意してくださいね。
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