日本市場で激戦区となっているコンパクトSUV。ココに新たな勢力が参入、それがスズキから登場した新型モデルである「フロンクス」だ。事前に、試乗する機会に恵まれたのでその様子をリポートする。場所はワインディングである修善寺のサイクルスポーツセンター、この場所選定からしてもスズキがフロンクスに対して、走りの自信を持っているのが伝わってくる。

文:西川昇吾/写真:奥隅圭之

フロンクスってどんなクルマ?

勢力を増し続けるフロンクス。狙うはコンパクトSUV界でのトップ!

 実際の試乗リポートに入る前に、簡単にフロンクスについて紹介しておこう。フロンクスはインドで生産され、世界市場で販売されている世界戦略車だ。

 既にインドをはじめ中南米や中近東、アフリカなどで販売されている。

 このように聞くと単純に売れ筋のジャンルのクルマだから、海外市場で販売されていたモデルを日本に向けて持ってきた。

 と思ってしまうかもしれないが、しっかりと日本市場に合わせこんで作ってきているポイントも多い。まず、充実した先進の運転支援システムや4WDの設定などが日本仕様独自のポイントだ。

 また、質感の高さを感じるインテリアも日本仕様専用となっている。ボルドーとブラックのコンビシートやシルバー加飾が上質な室内空間を演出していて、クラスを超えるような「良いクルマ感」を思わせる。

走行性能に関しても同じだ。サスペンションや電動パワステのセッティングは日本仕様に独自に作り込んでいる。

そして、各種数値を見ても日本で乗るには嬉しいポイントが数値に現れている。

 参考値だが、ボディサイズは全長3995mm、全幅1765mm、全高1550mmとなっていて日本の機械式立体駐車場もOKなサイズで、最小回転半径はスイフトやソリオと同じ4.8mで狭い駐車場や交差点も安心だ。

 搭載されているパワーユニットは1.5Lエンジンとマイルドハイブリッドの組み合わせ、トランスミッションは6速ATとなっている。

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試乗して感じたポジティブポイント

走りが楽しい、それだけでこのクルマが良いという証明である

 ザっとフロンクスがどんなクルマかを紹介してきたが、やっぱりクルマは乗って見なければ分からない。ということで早速サイクルスポーツセンターのワインディングへと繰り出した。

 走り出した最初の印象は「安っぽさがない」ということだ。特に日本仕様のパワーステアリングはしっかり感と、タイヤからのインフォメーションが感じやすい仕上がりになっている。

 センター付近もしっかりとインフォメーションが出ていてクルマとの対話が出来るステアリングだ。

 また、ワインディングで走行すると想像以上に楽しさを感じるSUVであった。想像以上にフロントがシャープに入る印象でコーナーを駆け抜けていくのが楽しい。

 それでいてリアは比較的安定感がある印象となっていて、ロール感も抑えられているため中速コーナーが多いこのサイクルスポーツセンターでの高い安心感で走行できる雰囲気だ。1070㎏という軽さも効いているのだろう。

 流石に、ペースを上げるとアンダー傾向が顔を出すが、唐突なアンダーではなく、徐々にアンダーへと切り替わるため、雪道などの低μ路でもドライバーへとしっかりとインフォメーションを伝えてくれそうだ。

 そして後部座席にも座ってみたが、コンパクトなボディサイズの割に足元が広々としていて驚かされた。また、走行状態でも比較的静粛性が高く、後ろに座っても快適なSUVであることを実感できた。

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少し気になる…試乗でわかったマイナスポイント

インテリアも上品さを持ち、トータルのバランスが素晴らしい

 全体的に良好な印象であるフロンクスだが、完璧という訳ではない。エンジンブレーキがしっかりと効く印象があるが、シフトショックはやや大きめで、現代的な水準で見れば少し変速制御に角が感じられる。

 また、実際に座ってみるとペダルレイアウトとシートの配置的に、やや足を左側へオフセットするような印象だ。

 そして、上り区間へ差し掛かり、アクセルを踏み込むと一呼吸おいてトルクが付いてくる。エンジンサウンドの主張も大きくなる。

 この辺りは同クラスでもストロングハイブリッドを有するモデルには敵わないなと感じるポイントだ。

 マイナスに感じたポイントもあるが、全体的に見れば同クラスのライバルと比べても完成度は比較的高いと感じられたフロンクス。

 エクステリアとインテリアの質感も高く、価格次第ではかなり売れ筋モデルとなるだろう。日本仕様に内容を充実させた運転支援システムも気になるところ。そう考えると公道での試乗も楽しみな1台だ。

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