中古のミニバンの購入を検討している人必見!!　10年前のミニバンの実力が丸わかり！　全高1700mm以上のミニバンランキング2013

　2013年の本誌・ランキング企画をプレイバック。今回は、全高1700mmオーバーのBOX型ミニバンをランキング！ 5人の選考委員がエントリーされた13車種を10点満点で採点！ さらに各人の採点について、特になった点について訊いてみた！（本稿は「ベストカー」2013年6月10日号に掲載した記事の再録版となります）

選考委員：鈴木直也、国沢光宏、片岡英明、渡辺陽一郎、渡辺敏史

■このカテゴリー ここがポイント

　この1700mm以上のミニバンは、多人数乗車をすることが多いため、3列目の居住性の広さ、3列目を格納した時の荷室の広さ、シートアレンジの使い勝手など、ミニバンに求められる資質を充分に備えていなければいけない厳しいカテゴリーである。

　このカテゴリーの競合車を見ると、大きく分けて2つのライバル対決がある。まず5ナンバーミニバン、セレナ、ノア＆ヴォクシー、ステップワゴンの三つ巴対決だ。この3車はモデルチェンジごとに改良を重ねて凌ぎを削ってきた。

　次にアルファード＆ヴェルファイア。この両車も真っ向勝負のガチンコ対決だ。

　はたしてこのカテゴリーの勝者はどのクルマになるのか、5人の意見はどう分かれる？

■渡辺陽一郎に訊いた！「セレナ、ステップワゴン、ノア＆ヴォクシーの評価と、いつ、どのように評価の差が分かれたのか？」

　セレナに9点を付けた理由は、ミニバンに対するニーズに最も的確に応えているからだ。

　標準ボディは5ナンバーサイズで、ウインドウの下端を低く抑えたから視界もよい。居住性は3列目を筆頭に、5ナンバーミニバンでは最も快適だ。シートアレンジも多彩。

　2列目の中央部を前席までスライドさせると収納ボックスになり、2列目の左側には左右方向のスライド機能も備わる。「ハイブリッド」は機能的に誇張された表現だが、燃費性能は優れた部類に入る。

　8点のステップワゴンは、3列目が床下格納で荷物を積みやすいが、この機能の弊害で座り心地が悪化。そこでセレナより評価を下げたが、床はセレナとヴォクシー&ノアより約60mm低い。

　乗降性が優れ、室内高はヴェルファイア並みで、低重心だから走行安定性も良好。厳密に評価すれば8.4点くらいだ。

　ヴォクシー&ノアはフルモデルチェンジが近く古さを感じる。3列目をレバー操作だけで畳めるなど独自の機能はあるが、居住性はセレナとステップワゴンに劣る。3列目は全長が短いために足元が狭めで、座面の奥ゆきも20～30mmほど足りない。床と座面の間隔も不足した。

　ライバル2車と違ってアイドリングストップが付かず、燃費性能もいま一歩。ウインドウの下端やインパネの位置が高いので側方や後方の視界もよくない。

　セレナ、ステップワゴンともにマイナーチェンジで燃費性能を向上させ、横滑り防止装置の標準装着も進めた。しかしヴォクシー&ノアはバルブマチックを全車に採用した程度。発売後の改良でも差が開いた。よって6点。

■片岡英明に訊いた！「アルファード／ヴェルファイアとエルグランドの差は総合2点差ですが、その違いは？」

　アルファード／ヴェルファイア連合軍とエルグランドは、同じ土俵で優劣を競っているフルサイズのミニバンだ。

　このクラスでトップを快走しているアルファードとヴェルファイアは、全員が7点をつけた。キャビンの広さや快適性、そして走行性能まで、ミニバンとしての基本性能が高いレベルにあるからだろう。

　エルグランドも7点が多いが、2点の差をつけられた。その理由は、ミニバンとしての基本性能に物足りなさを感じるからだ。

　エルグランドは2列目までの快適性を重視している。前席と2列目に座っている限り、快適だ。低重心で、背も低いから走りも冴えている。扱いやすいのも魅力だ。が、3列目はシートの座面が低く、膝が上がって座り心地が悪い。

　これに対しアルファード/ヴェルファイアは、3列目まで広く、頭上や足元にも余裕がある。また、3列目を畳んだときにラゲッジルームが広く、荷物を積みやすい。

　エルグランドはラゲッジルームのフロアが高く、重い荷物を積むときには苦労させられる。重いアウトドア用品やレジャー用品を積むのに慣れが必要だ。

　フットワークやハンドリングは設計年次の新しいエルグランドに一日の長がある。ボディはしっかりしているし、乗車人数や荷物の多少によるハンドリングの違いもアルファード/ヴェルファイアより穏やかだ。背が低いこともあり、コントロール性に優れている。2列目と3列目の乗り心地だって悪くない。3、4名で乗るならエルグランドがいいだろう。

　が、多人数乗車したときはアルファード/ヴェルファイアの優位性が光る。また、いい気分で乗れ、燃費もいいハイブリッド車も用意している。これも2点の差がついた一因か？

■国沢光宏に訊いた！「ハイエースとNV350に9点と評価が高過ぎじゃないですか？」

　片岡英明さんはハイエースとNV350キャラバンを国沢さんと正反対の5点と低いです。ここで片岡さんの言いぶんを聞いてみると、

「商用車ベースなので快適性や乗り心地がいまひとつ。ハンドリングがよくないし、ドライバーズカーとしてはちょっと？」

　この評価に対して国沢さんの評価は？

　クルマを快適性で選ぶならスポーツカーなんて最低だ。ハンドリングばかり重視したら乗り心地も厳しい。全ての評価項目で高い点数を取ろうとしたら、ドッチ付かずの魅力薄いクルマになってしまうことだろう。そんなクルマ楽しいか？

　ハイエースとNV350キャバンの面白さは、今売られている日本車のなかで一番濃い個性を持っているからに他ならない。

　誰がなんといおうと、ハイエースとNV350キャラバンってハンドル握ると楽しいのだ。特にワイドボディのスーパーロングの「運転してるぞ！」感覚は、多少誇張して表現すればフェラーリに匹敵する新鮮さを持つ。

　先日もNV350キャラバンのデガいボディを走らせたのだけれど、まぁ楽しかった。前後左右や内輪差など考えつつ一生懸命運転しないとブツけちゃいますからね。免許取り立てのドライバーや、運転には多少自信持ってるウチのヨメだって。

　これぞドライバーズカーでございましょう。もちろん興味ない人はまったく無視していただいてOK。けれど5人の評論家すべてが無視しちゃったら、ハイエースとNV350キャラバンを買っているたくさんユーザーは納得すまい。

　皆さんの評価低い2車種を除く順位は、まぁ妥当だと思います。

（写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです）

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