純正パーツからアフターで販売されているパーツに交換する交換する時、どんな効果が見込めるのか? どんな効用があるのか? 本企画ではチューニング&パーツ交換の効用を、具体的なクルマへの搭載も例にとってわかりやすく解説!(本稿は「ベストカー」2013年5月10日号に掲載した記事の再録版となります。本文中の価格・目安も雑誌掲載当時のものとなります。予めご了承ください)。

文:ベストカー編集部

■たかがタイヤ、されどタイヤ

ハイグリップタイヤはエコタイヤに押されているが、性能面では飛躍的な向上を見せている

 タイヤの基本性能は、昔からグリップ性能、ウェット性能、静粛性、快適性、寿命の5つが重視され、そのどの性能を特化させるかによってハイグリップタイヤ、コンフォートタイヤ、またはプレミアムタイヤ、スタンダードタイヤなどキャラクターが分類されてきた。そして、価格と照らし合わせて、コストパフォーマンスが高い、低いという判断をしてきた。

 しかしここ最近ではタイヤの転がり抵抗を抑えて燃費の向上に大きく貢献するエコタイヤの注目度が絶大で、燃費性能がクローズアップされていることもあり、タイヤメーカーの力の入れようもハンパじゃない。

 加えて、プレミアムサルーン用、ミニバン専用、SUV専用などなどそれぞれのカテゴリーのクルマの特性に合わせたタイヤも続々登場している。もちろん、複数のキャラクターを高い次元で融合させたものも多数。

 そう、現代のタイヤはエコタイヤの台頭だけでなく多様化が顕著だから、どのタイプのタイヤを選ぶかによってその効用もさまざまだが、どれも効果絶大。

 多様化したことによってどのタイヤを選んだらいいのか非常に迷うところ。しかし裏を返せば、自分が重視する性能がハッキリしているなら選び放題、ととることもできる。

 クルマのチューニング、パーツ交換にはいろいろなものがあるなか、最も手軽で交換した後の効果がわかりやすいのがタイヤといわれている。今乗っているクルマの乗り味に飽きていたり、感激がなくなった人はぜひタイヤを交換してみよう。クルマがガラリと変わること請け合いだ。

■効用:★★★★★
■手軽さ:★★★★★
■予算の目安:タイヤ交換の場合、ホイールに組み込んでバランス取りなどを含め工賃は1本あたり2100円程度、4本で8400円程度がかかるので要注意。それから、タイヤは溝が1.6mmより少なくなると非常に危険だし、車検にも通らない。安全面も考えて、溝が2mmになったら交換するようにしよう。タイヤ種類別・ボディタイプ別の目安を以下に記す。

・ハイグリップタイヤ……86&BRZ(215/45R17)にブリヂストンポテンザRE-11Aを装着する場合、実勢価格は4本で8万4000円程度。

86はスポーツタイヤの需要がかなり多い

・エコタイヤ……フィット13G(175/65R14)に横浜ゴムブルーアース-Aを装着する場合、実勢価格は4本で3万5000円程度とリーズナブル。

エコタイヤは今や選び放題!

・ミニバン専用タイヤ……ヴェルファイア(215/60R17)に東洋ゴムトランパスmpFを装着する場合、実勢価格は4本で5万2000円程度。

ミニバン専用タイヤは根強い人気

・SUVコンフォートタイヤ……フォレスター(215/60R17)にダンロップグラントレックPT2を装着する場合、実勢価格は4本で8万円程度。

最近のSUVタイヤは快適性重視

■アルミホイール ドレスアップだけじゃない効用とは?

ホイールを軽量にすることでサーキット走行などの時にブレーキへの負担がかなり小さくなる

 最近では新車時にメーカー純正のアルミホイールを装着したモデルが増えている。それにもかかわらず社外のアルミホイールに交換するのはドレスアップ、という人が大半。

 アルミホイールにはスポークタイプ、ディッシュタイプ、メッシュタイプなどがあるが、純正とは違うデザインにするとクルマのイメージはガラリと変わる。特に古いクルマの場合、足もとが変わるだけでクルマの印象は大きく変わる。そういう意味では効果絶大。

 そのいっぽうで、バネ下重量を軽くするという目的もある。この効用は昔は運動性能、フットワークを機敏にする、というのがメインだったが、最近では燃費の向上も大切な要素。

 純正のアルミホイールの1本あたりの重量は、軽自動車の14インチで5kg前後、乗用車系の15インチで7~8kg、16インチ7~9kg、17インチで9~11kg。

 それに対し、アフターのアルミホイールは1本あたり1~2kg軽いものもあるためその差はかなり大きい。この差は運動性能、特にブレーキに出るケースが多く、サーキットを走る場合などは、重いホイールの場合、ブレーキがフェードしやすくなるなどの弊害もあるので要注意。

 燃費については、3~5%の向上も見込めるが、それほど劇的に体感できるほどではない。それから、インチアップすればそれ相応にホイールが重くなるので効果も薄くなる。

■効用:★★★★★(ドレスアップ効果)、★★★☆☆(運動性能)、★★☆☆☆(燃費)
■手軽さ:★★★★★
■予算の目安:86&BRZにBCラリーチームの86が装着しているBBS RF(17×7J、インセット48、PCD114.3-5H)を装着する場合、1本あたり6万375円、4本で24万1500円。交換工賃として、1本あたり10000円程度かかる。

デザインのよさと軽量さを両立させているBBSのRFは大人気! 

■よく耳にするが……車高調

スイフトスポーツにモンスタースポーツの車高調を装着したところ。写真で見ても、車高の違いは一目瞭然!

 クルマで走行性能、特にコーナリング性能を高めようとする場合の定番といえばサスペンションチューニング。まぁ、サスチューンといっても多岐にわたり、ダンパー、スプリング、ブッシュ交換などなどがあるが、手軽にできるサスチューンについて見ていく。

●ショックアブソーバー&スプリング

パーツを選別する時はブランド選びが重要。モータースポーツでの活躍の影響は大きい

 ショックアブソーバーはダンパーとも呼ばれるサスペンションを構成するパーツで、エアサス仕様のクルマを除けば、一般的に金属製のスプリングとセットになっている。

 路面からの衝撃をスプリングで和らげる効果がある半面、スプリングは車体に振動を与えてしまう。その振動を抑えるのがショックアブソーバーだ。

 スプリングは、クルマの可動パーツの中でも最も寿命の長いパーツのひとつで、20万km程度だって充分に無交換でいける。

 それに対し純正のショックアブソーバーは走り方や走行条件にもよるが、4万km程度で劣化が始まってしまう。ただし、純正のショックアブソーバーの減衰力は弱めにセットされているので、その劣化は気づきにくい。

 ギャップを乗り越えた時にいつまでもクルマの振動が収まらないな、乗り心地がフワフワしてきたな、と感じた時が交換時期といえる。

 そのようなショック抜け状態になって交換すれば、効果抜群で、乗り心地がシャキッと変貌するのは、どんなドライバーでも体感できる。

 それとハンドリングをよくするために高性能のショックアブソーバーに交換する場合はどうか。アフターでいろいろな商品がラインアップされているので非常に悩むところだが、ショックアブソーバーの善し悪しでクルマの走りも決まるので悩みがいがあるってもの。

 サーキットやワインディングで攻めた時だけでなく、街乗りの走りの質感も大幅アップという効果が見込める。

 その究極が車高調で、その名のとおり車高を調整できる。そして減衰力も数段階に設定され、常に最適な減衰力を得ることができる。効果が大きいぶん 価格は高くなる。

■効用:★★★★☆
■手軽さ:★★☆☆☆
■予算の目安:スイフトスポーツにモンスタースポーツの車高調キットを組み込む場合、20段階の減衰力が調整できる34万6500円のもの(オーリンズと共同開発)と減衰力をフロント4段階、リア8段階調整できる15万2250円のものの2種類がラインアップされている(ともに工賃別)。いっぽうスプリングについては、前述のとおり寿命から交換する、というケースはほとんどなく、交換=ローダウンといっていい。最近では乗り心地を悪化させないローダウンスプリングなども登場している。

モンスタースポーツではスイフトスポーツのパーツを数多く揃えているが、これは最新作!

■効用:★★★★★
■手軽さ:★★★☆☆
■予算の目安:車高調同様にスイフトスポーツにモンスタースポーツのローダウンスプリングセットを組み込む場合、パーツ代は2万9400円(工賃別)。

●ブッシュ

NA型/NB型のロードスターは前後ダブルウィッシュボーンサスのため、前後で合計22個ものゴムブッシュが使われている

 サスペンションアームの可動部分の継ぎ手のような存在で、アームが動くことによって常に力、ストレスを受け変形。材質はゴムだから、経年劣化は避けられず、時間の経過、走行距離とともに硬化したり小さくなったりして本来の性能が出せなくなってくる。

 消耗品でパーツ自体はそれほど高くないが、場所によってはサスペンションを全部ばらさなければいけなかったりするため交換工賃のほうが高くなるので、ブッシュ交換よりもダンパー交換を選ぶ人が多い。

 サスがストロークするたびにギコギコ音を立てている以外5万km走行程度では交換してもその効果はわかりにくいが、10万kmを超えると交換した後のシャキッとした走りに感激すること請け合い。

■効用:★★★★☆
■手軽さ:★☆☆☆☆
■予算の目安:走行距離が10万kmオーバーのクルマが増え、初年度登録からもかなりの年月が経過しているマツダロードスター(NA型/NB型)は22個のブッシュがあり、それを全部交換すると工賃を込みで12万~15万円とかなりの金額になる。

 いっぽう、ゴムブッシュではなく、ダイレクトなレスポンスが期待できる金属製のピロブッシュに交換すると、前述のロードスターで20万円程度。

■まさに縁の下の力持ち スパークプラグ

スパークブラグは緑の下の力持ち。体感できなくても性能は確実にアップ

 プラグは正確にはスパークプラグといって、圧縮された混合機に点火するもの。自動車メーカーが新車時に装着しているのは超寿命タイプで、10万km程度もつのに対し、アフターで用意されているプラグについては、メーカーでは普通・小型乗用車で1万5000~2万km、軽自動車で7000~1万kmを推奨交換サイクルとしている。

 プラグの電極が摩耗してくると、失火する回数が増えて正確な燃焼が行なわれなくなる。プラグがすべての原因ではないが、燃費が悪くなる、エンジンの始動性が悪くなる、パワーがなくなる、アイドリングが不安定になるなどの症状が出やすい。交換すればこれらの症状も改善され、特に始動性は体感しやすい。

 いっぽう白金よりも高性能のイリジウムプラグ(電極にレアメタルのイリジウムを使用)に変更する=より精密な燃焼が実現できるというメリットがあり、実際に燃費、パワー/トルクなどすべての点で改善されるが、劇的に体感できるほどではないので、過剰な期待は禁物。しかし、体感できなくてもクルマにいいのは確実。それから形状が美しく、マニアなら新品の箱を開けた時の感激は無限大。

 しかしこのプラグ、車載工具からプラグレンチが消滅して久しいように、ダイレクトイグニション全盛になり手軽に交換できるシロモノではなくなってきているのも事実。特に横置きのV6エンジンのプラグ交換といったら……、素人では無理! ちなみに、今注目のディーゼルエンジン搭載車にはプラグは存在しません。

■効用:★★★☆☆
■手軽さ:★★★☆☆(交換すること自体は手軽だが、自分でやるとなると★☆☆☆☆)
■予算の目安:スープラに大事に乗っている人がデンソーのイリジウムパワー(スープラ用の品番はIK20)に交換する場合、1本1500円×6で9000円となる。

■これひとつで燃費も変わる! エンジンオイル

エコカーはオイルを間違えると燃費悪化もある

 エンジンオイルの交換を怠ると、パワーの低下、燃費の悪化などを招くだけでなく、最悪エンジンを壊してしまう。

 交換サイクルは諸説あるが、ベストカーでは5000kmごとの交換をお薦めしたい。というのも最近のエコ全盛時代のエンジンは、オイルと燃費が密接な関係にあるからだ。

 ただ、闇雲に交換すればいいというのではなく、注意しなくてはいけないのが粘度。プリウスの場合、推奨は0W-20だから、5W-20や10W-30といった粘度のオイルを入れると燃費が悪化する可能性が高くなる。ただ、何にでも0Wにすればいいというものではないので注意したいところ。

 いっぽう、スポーツ系モデルでは、使い方によってエンジンオイルを使い分けたい。ザッとフェアレディZで例を挙げると、スポーツ走行を楽しむなら5W-40、燃費と静粛性のバランスをとりたいなら5W-30、サーキット走行を楽しみたいなら10W-40といった具合だ。

 オイルは鉱物油、部分合成油、化学合成油の3タイプに分けられるが、化学合成油は性能が高いが高価になる。

■効用:★★★☆☆
■手軽さ:★★★★☆
■予算の目安:プリウスにカストロールのエッジ(0W-20)を入れる場合は、実勢価格は4500円前後。

■自慢したい心と自己満足 マフラー

マフラー交換は満足度が高い!

 マフラー交換の本質は排気効率を上げることにあり、その結果パワーアップすることも。効率を考えればマフラーは太ければいいというものではないが、周りへのアピールという点では大口径は重要な要素となる。何よりも見た目の迫力が違う。もちろん焼け具合も大事。

 それから重要なのがマフラー交換することにより、サウンドチューンもできること。そして、これはもう自己満足の世界ながら素材選び。ステンレスにするか、チタンにするか? ぜいたくな悩みで羨ましいくらい。最近では高価なチタンの人気もかなり高くなっているという。

 ここ数年音量規制が厳しくなっているが、車検適合品を選んでおけば安心。かつてはスポーツ&GTの専売特許でもあったマフラー交換だが、今や軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUVとなんでもあり!

■効用:★★★★★
■手軽さ:★★★★☆
■予算の目安:フジツボの「オーソライズR」をノア/ヴォクシーに装着する場合、13万2300円。これは左右ダブル出しでパイプ径50.8φ、出口径72φの人気商品だ。

■効果がわかりやすくて安全 HIDヘッドライト

HIDに変更することによって明るさは格段にアップ。わかりやすい効用なので満足度も高い

 今の50代以上のクルマ好きは、日本車のヘッドライトがシールドビーム→ハロゲン→HID→LEDという変遷をたどってきているすべてを経験していて、新しいタイプが出るたびに感激してきたもの。

 ヘッドライト交換の効用はズバリ明るくなること。非常にわかりやすい。それから、ヘッドライトの輝きは他人にアピールするアイテムでもある。

 現在の人気はHIDで、純正でHIDが装着されているモデルにもアフター用で数多くラインアップされているし、ハロゲン車からの変更は特にその効果が体感できる。ハロゲンからHIDに交換すれば夜間の運転が快適になるし、何よりも安全面でも大きな効用あり! 

■効用:★★★★☆
■手軽さ:★★★☆☆(ただし自分で装着するとなると★☆☆☆☆)
■予算の目安:ベストカーラリーチームにもバルブ類、補助灯を供給してくれているベロフでは、ハロゲン車用にいろいろなタイプのHIDバルブをラインアップしていて、明るさ、形状、予算に合わせてチョイスできる。HIDフルキットのH3/4、H7、H9/11用のリゲルX2 6000Kの場合、6万3000~6万9300円。H4専用のリゲル6000Kは6万9800円。

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 チューニングやパーツ交換は何がしたいのか、何にプライオリティを置いているのかを認識しておけばより効率のいい方法を探し出せる。健闘を祈る!

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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