7月23日(火)16時よりお台場にある「CITY CIRCUIT TOKYO BAY」にて、カシオ計算機株式会社(以下、カシオ)とレーシングチーム「TOM’S」から、とある新製品のプレス発表会が開催された。我々はその実態をいち早く知るべく、発表会に参加させて頂いたのだが、そこにあの”伝説”のクルマが思いもよらぬ形となって現代にカムバックしていた!!(カート大会もあったよ!)

文:ベストカーWeb編集部/写真:森山 良雄

■再現性がスゴすぎる!! 気になる新製品の実態とは!?

今回のコラボレーション、待ち望んでいた方々も多いに違いないだろう

 今回製造に携わったのは、今年50周年を迎えた超有名レーシングチーム「TOM’S」とカシオなのだが、両社とも企画発案の段階からやたらとフィーリングが合ったそうだ。

 カシオの「Speed and Intelligence」をコンセプトとした腕時計 “EDIFICE”の新製品として、「TOM’S」とのコラボレーションモデル “EDIFICE TOM’S 50th ANNIVERSARY EDITION”「EFS-S641TMS」が開発された。

 こうして成功したこのコラボレーションモデル、実はあるクルマがモチーフとなっているのだが、お気づきだろうか。

 そう、70年代のレースシーンを席巻し、「TOM’S」の名を一躍有名にした、「TOM’S スターレット KP47」である。

 ツーリングカー最強エンジン「3K-R」を搭載し、1970年代のマイナーツーリングレースにおいて、ポールポジション22回、優勝20回、シリーズチャンピオン3回という異常なまでの戦績だ。

 それまでトヨタはレースに「パプリカ」を用いており、どうしても日産の「サニー」に中々勝てない状況が続いていたのだが、救世主のごとくスターレットはそこに降り立ったのだ。

 そんな伝説のマシンが今回、50年の時を経て復活。こうしたコンセプトには今までの勇姿と次なる50年に向けて挑戦を続けるという「TOM’S」の精神をダイレクトに感じることができる。

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■えぇ!! こだわりすぎじゃない!? 開発部門の愛ヤバすぎ!!

初代レーシングカー「TOM’S スターレット KP47」をモチーフとした記念モデル「EFS-S641TMS」

 さて、気になる時計のデザインや設計の話をしていきたいと思う。こちらの「EFS-S641TMS」、半端じゃなくこだわっている。はっきり言って衝撃を受けた。

 本当に細部までこだわり抜いており、いかに開発者の方々がこのクルマを愛し、そして時計に対する思いがどれだけ強いのかというのを思い知らされた。

 「TOM’S スターレット KP47」のボディカラーである白、赤、緑を文字盤や、レザー遊環などに配色。メタル遊環には、穴あけ加工とテーパード形状を施し、サイドミラーの造形を再現した。

 さらに文字盤には「TOM’S」の代表的なホイールである「井桁ホイール」をイメージさせるインダストリアルを採用。ここには盤面の透過率を確保することで、インダストリアル部分からのソーラー発電を可能にしている。

 また、フロントグリルを表した3時側のハニカムパターンには、2層構造のシースルーデザインによるエンジンのヘッドカバーを模した紫色が覗くデザインを仕上げた。

 そしてピラーをモチーフにしたバンド。バンド部には「TOM’S」の初代ロゴ。なにより36分の部分。ここにはエースカーナンバーである「36号車」のミーニングが込められた加工も見受けれれた。

 もちろんデザインだけでは終わらない。10気圧防水にストップウォッチ機能搭載、そして質量は約56kgと、機能性に関しても言うことなしだ。

 これほどまでのこだわり。実際に当日の発表会に参列頂いた、プロレーシングドライバー坪井さんも、公演中に「初めて知りました」という場面もあったくらいだ。それくらいこだわりが凄いのである。

(ちなみに坪井さんは前々日、前日に行われたスーパーフォーミュラにて優勝。「発表に合わせ富士スピードウェイで勝ってきた」と冗談交じりに言っていた)

 このコラボレーションモデルは、トムス公式オンラインショップにて2024年8月1日より予約販売開始、同年8月9日に発売開始だ。

 また、8月1日~8月8日までの期間に、トムス公式オンラインショップで購入いただいたお客様には以下の特典が付くので、ぜひご検討して頂きたい。

・モバイルバッテリー(非売品)※先着100名限定

・ポストカード&ステッカーセット(非売品)※購入者全員プレゼント

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■「初めてなんです」 開発者たちの思いとは

左から、時計ジャーナリスト 篠田哲也氏、カシオ 第一デザイン部グローバルデザイン室 リーダー 田代篤史氏、カシオ 執行役員 時計BU事業部長 高橋央氏、TOM’Sドライバー 坪井翔選手、TOM’S 取締役会長 舘信秀氏、TOM’S 代表取締役社長 谷本勲氏

 公演中、カシオ計算機の田代さんから興味深い言葉が聞こえた。

「物を作るときというのは、拘りが絶えないのです。そして出てくるアイデア1つ1つを採用することは非常に難しいんです。ですが今回のこの製品に関しては、ほぼ採用しましたね。こんなの初めてなんです」

 この言葉から察せられる通り、今回のプロダクトは開発に携わる全員の思いが同じ方向に向いていたからこそ成し遂げることができたのではないかと感じる。

 元ファクトリードライバーで、現「TOM’S」取締役会長である舘さんは、「すべてが完璧で感無量です。言葉が出ない。目頭が熱くなり、言葉に詰まってしまう。マジで泣きそう」と。

 これほどまでに開発者から愛される、それは”もの”において一番幸せなことなのだろう。

「現在は経済合理性で世の中は考えてしまう。例えば都内はクルマを所有するよりカーシェアの方が安い~や、時間見るならスマホで良いじゃん~など。そこにクルマ要素×腕時計という商品を出す。そこに意味があるのです。」

「TOM’S」代表取締役社長の谷本さんは以上のように述べる。そうだ、意味や効率ばかりを頭でっかちに求め続けていると、息苦しくなる。

 もちろん世の中において、効率というのはすごく大事なのだが最適解を求め、必要最低限にことを済ませる。それでは面白くない。と筆者は個人的には感じてしまう。

 今の社会にこうした考えを持つ企業がどれほどいるだろうか。「TOM’S」とカシオ計算株式会社の益々の発展を、心から御祈願させて頂きます。貴重な機会を頂き、ありがとうございました。

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■3位以内で時計プレゼント!? 大盛り上がりのカート大会!!

目指すは1位一択!! 意気込んで参戦した結果…

 実は今回のプレス発表会の前に、参加希望者によるカート大会が行われた。大会には、成城大学自動車部に所属する筆者が、1位を目指して奮闘してきた。

 4.5回ほどカート経験はあるが、いずれもガソリン仕様。今回のカートはEVカートであり少し不安ではあったが、狙うは入賞、いや優勝だ。

 コースは全体的にタイトでコーナーが多かったため、クリッピングポイントをしっかり押さえ、車速の平均を高く維持する作戦でレースに臨んだ。

 実際に走るとまず驚いたのは、ガソリンカートよりトルクが凄い。加速っぷりが果てしなく気持ち良いのだ。だが第1コーナーでまたも驚いた。

 車重がガソリンカートより多いが故に、ハンドルが結構重い。走り終えた後の話ではあるが、前腕がかなり疲労し、数分間ものを持つのが大変だった。

 個人的にはコースも難しく感じた。7分間走行できたのだが技術不足も相まり、結局1番良いラインがどれなのか分からず走り終わってしまった。

 だがその中でもベストは尽くした。後は自分を信じて結果を待つのみ。果たして順位は…

 結果は4位!! 表彰台に上ることは叶わず、己の未熟さを痛感しました… もっと精進してまいります。

 

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