維持費が安い軽自動車の人気は常に高いが、最新モデルはお値段もそれなりに高い。軽自動車が欲しいという人は新車もいいけれど、中古車も視野に入れてみては? ひと昔前のモデルなら個性も豊かでお手頃な値段も◎。
文/FK、写真/スズキ、ダイハツ、日産、三菱、FavCars.com
■ジムニーもパジェロミニもメジャーすぎるとお嘆きの人は日産・キックスで決まり!
日産のキックスといえば、2020年6月に登場したコンパクトSUVを思い浮かべる人が多いだろうが、じつは2008年10月に軽自動車SUVとして発売されていたことをご存じだろうか?
車名の英語表記が“KICKS”の現行モデルに対し、2008年発売モデルは“KIX”のため、厳密にいえば両車の間に初代・2代目といった関係性はないが……。
そんな軽自動車SUVのキックスは当時人気を博していたパジェロミニのOEM車であることは知る人ぞ知るところだが、日産SUVのデザインを踏襲した縦のラインとガンメタリック塗装でタフな顔つきを演出するフロントまわりは、あきらかにパジェロミニとは一線を画すものだった。
走りもなかなかの本格派で街乗りから高速道路、山坂道など、さまざまなシーンでパワフルかつスムーズな走りを提供する直4 SOHC 16バルブインタークーラーターボエンジンはもとより、コンパクトなボディサイズによってあらゆるシーンで高い走破性能と機動力を発揮。
十分なロードクリアランスに加え、38°のアプローチアングル、46°のデパーチャーアングル、195mmの最低地上高に大径15インチタイヤを組み合わせて実現した高い走破性も大きな魅力であった。
2010年8月には燃費の良い走行をしている時に点灯してドライバーのエコドライブをサポートするECOインジケーターを全車に標準設定。
さらに、ボディカラーも新たにチタニウムグレーと特別塗装色のラズベリーレッドを採用する一部仕様向上を実施。その後、2012年6月にパジェロミニの生産終了にともなってキックスも生産終了となった。
そんなキックスは現在の中古車市場で低年式なら30万円前後から、高年式でも100万円前後と比較的お手頃な価格相場を形成。パジェロミニに比べると圧倒的にマイナーな印象ではあるが、それが逆にマニア心をくすぐると思わない?
■軽クロスオーバーSUVの元祖・三菱のekアクティブは希少なのにお手頃価格が◎
今もその名を冠したモデルが存在する三菱自動車の軽自動車シリーズ“ek”。
その発端となったのはセミトールパッケージを採用したekワゴン(2001年10月発売)だが、その後もスポーティなeKスポーツやシック&モダンなeKクラッシィを矢継ぎ早にリリースし、2003年2月に累計販売30万台を突破。
月平均の販売台数でも1万台を超える三菱自動車のドル箱軽自動車シリーズこそがekであった。そんなekシリーズの第4弾として2004年5月に登場したのが、ここで紹介するekアクティブ。
数あるekシリーズのラインナップのなかからekアクティブをなぜ取り上げるのかといえば、現在人気を集めているトールパッケージにSUVテイストをプラスした軽クロスオーバーの元祖といえる存在だから。
30 代前後の男女をメインターゲットに、ekシリーズ共通の特徴であるキビキビとした走りに加え、SUVの特徴である荒れた路面での走破性や見晴らしのよい運転姿勢を実現したekアクティブ。
その外観もシンプルで張りのある面構成のボディに専用の前後大型カラーバンパー、スキッドプレート風の前後ガーニッシュ、ドアガーニッシュ、サイドシルガーニッシュなどを採用して三菱車らしいRVならではの力強さと機能美を強調した。
また、上位グレードには64psの最高出力を発生するインタークーラーターボエンジンを採用し、サスペンションも軽快で安定した走りとフラットで上質な乗り心地を両立させるべく、細部にわたって専用のチューニングが施されるなどこだわりを感じさせる1台だったが、2006年9月に販売が終了。
販売期間が2年4カ月と短かったこともあって、現在の中古車市場におけるタマ数はきわめて少ない……が、高くても50万円前後で割安感も高いといえるだろう。
■ダイハツのネイキッドはアウトドアブームに沸く今の時代にピッタリかも?
“自由自在にクリエイティブカー”をコンセプトに日常用途での実用性をベースにした、乗る人が主体になれるクルマとして1999年11月に登場したネイキッド。タフ&シンプルをコンセプトとしたカクカクの箱型ボディは、いま見ても新鮮だ。
ボディシルエットを引き締める薄型ルーフレールとフロントピラーモール、握りやすいバータイプアウタードアハンドルなどを採用したネイキッド。
その最たる特徴は外側に露出したボルトの脱着で簡単に外せる3分割のフロントとリアのバンパー。
加えて、前後ドアのヒンジも外側に露出していて、見た目がワイルドったらありゃしない。
これにプラスして、骨太のBピラー&Cピラーや素材感を活かしてスチールそのものに意匠した13インチホイール&非対称パターンタイヤが採用されており、これを個性派と呼ばずしてどうする!? と言わんばかりのスペックは男心をそそるものだった。
そんなワイルドな見た目とは裏腹に、実用性が高かったこともネイキッドの特徴のひとつ。
例えば、タウンユースを考慮してタワーパーキングへの入庫が可能な1550mmの全高、乗り降りや横からの荷物の出し入れが容易な約85°に開くサイドドア、荷物の積み下ろしが容易な大開口ハッチバックドア、490mmという超低床フロアのラゲージスペース、助手席シートバックを倒せば2.1mまでの長尺物が積載可能など、日常の使い勝手もしっかりと考慮されていた。
また、電子カードキーを携帯しているだけでドアロック開閉とエンジン始動許可が可能なキーフリーシステム(オプション設定)が国産車で初めて採用されたのも、じつはネイキッドだった。
アウトドアブームに沸く今、中古車市場では値が張りそうな1台だが、意外にも平均価格は40万円前後とお手頃な価格で推移していてタマ数も豊富。だったら! お遊びグルマとして1台いかが?
■スズキのセルボは若い頃の自分を思い出させるホットな走りが身上
スズキの屋台骨を支えたセルボは1976年1月の軽自動車規格改定を受け、1977年10月に誕生したパーソナル指向の軽自動車。
2011年2月に販売終了となり、34年に渡る車生を終えたセルボだが、2006年11月にデビューした5代目はスタイリッシュかつスポーティなフォルムで個性を発揮した1台であった。
取り回しのしやすさや高い経済性といった軽自動車の基本は守りつつ、斬新で力強いエクステリア、上質感溢れるインテリア、日常生活での使いやすさ、利便性などを追求した5代目。
ゲート式マニュアルモード付ATやBluetooth対応ハンズフリーシステム、キーレススタートシステム、消臭天井など、豊富な装備によってユーザーに使う喜びも提供した1台であった。
また、走りの快適性や運転する楽しさを感じさせる高い走行性能も魅力で、ターボモデルにはシフトレバーを前後に操作するだけでシフトチェンジが可能なマニュアルモード付4ATを採用。
足回りもフロントサスペンションにスタビライザーとウレタン製のバンプストッパーを採用するとともに、前後サスペンションのバネ定数や減衰力特性を最適にチューニングすることで直進安定性と優れた操縦安定性を両立して快適な乗り心地ももたらした。
2007年10月には日本初の直噴ターボエンジン+CVT(7速マニュアルモード付)を搭載したスポーティな上級グレードのSRを新たに設定。
新開発タイヤの採用、フロントストラットのロッド径大径化、前後サスペンションの減衰力特性最適化なども行われ、しなやかな乗り心地に磨きがかけられた。
このように走りにも重点が置かれたセルボのSRは現在の中古車市場でタマ数こそ少ないものの安ければ40万円前後、高くても80万円前後で推移している。
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