電車に負けず劣らず路線バスの出入りが極めて多い渋谷駅前。東口のバスターミナルからは常に溢れるばかりのバスが行き来している。ではココからバスに乗ると、1本だとしたら一体でどこまで行けるのだろうか。
文・写真:中山修一
(渋谷駅東口界隈の写真付き記事はバスマガジンWEBもしくはベストカーWEBをご覧ください)
■遠い昔になった完成状態の東口
渋谷駅の西口と東口にあるバスターミナルは、再開発工事によって目下“仮”の姿で頑張っている。別記事にて紹介した西口のバス乗り場に続き、今回は東口に注目してみよう。
渋谷駅東口のバスターミナルは、もともと東急東横線の渋谷駅の駅舎に横付けするようなレイアウトで置かれていた。
東口バスターミナルにおける、今のところ最後の「完成状態」がそれだ。そんな東口バスターミナルも、2013年に東横線の駅が地下に移ってから姿を変え始めた。
2024年現在、東横線の駅があった場所には47階建ての渋谷スクランブルスクエアが建っており、東口バス乗り場のほうは100mほど北、宮益坂下の交差点に隣接する位置へ移動している。
前述の通り現行のバス乗り場はあくまで仮設。出入りするバスの数に対して敷地が手狭な圧縮感は出ているにせよ、西口ほど配置に強引さはなく、平均的なバスターミナル然とした雰囲気を持っている。
また、工事中のゴチャゴチャした風景の中でも目立つよう、バス乗り場案内表示の文字がオーバーサイズで書かれ、行き先ごとに色が異なっていてカラフルな点も、東口仮設バスターミナルの特徴の一つに数えられそうだ。
■都営バスと東急バスの発着場
東口バスターミナルの名称は「渋谷駅前」。ここからは都営バスの各系統が発着している。宮益坂下の交差点を挟み、北寄りにオフセットした場所にも都営バスの乗り場があり、バス停名は「渋谷駅東口」だ。
また、都営バスの乗り場から少し離れた渋谷ヒカリエの前に、東急バスの乗り場が置かれている。名称は「渋谷駅東口」。もう1箇所、青山通り沿いにもコミュニティバスの「渋谷駅東口」バス停がある。
駅の東口に関連するバス停は、「渋谷駅前」、都営バスの「渋谷駅東口」、東急バスの「渋谷駅東口」、コミュニティバスの「渋谷駅東口」、合わせて4箇所になるわけだ。
■東口からバスで行ける先って?
では、渋谷駅東口からバスに乗ると、1本でどのあたりまで行けるだろうか。まずコミュニティバス(ハチ公バス)から見てみよう。
このバス停は「夕やけこやけルート」という路線の停車ポイントになっており、主な経由地に恵比寿ガーデンプレイスと代官山駅が挙げられる。
東急バスの東口乗り場からは、東急目黒線の洗足駅まで行く渋71系統と、山手線の線路沿いを縫うようにして走る、五反田駅行きの渋72系統が出ている。
■都営バスがカバーする場所は?
続いて、渋谷駅前バスターミナルを発着する、都営バスの路線が向かう先はどこなのか確認してみると……
……同じ渋谷区内にある病院(日赤医療センター)行きの学03系統、新橋駅行き渋88・都01・都06系統、田町駅行き田87系統、六本木ヒルズ行きRH01系統に分けられた。
新橋駅行きは系統ごとに経由地が少し異なる。新橋駅行きや田町駅行きの場合、どれも山手線の輪の中を横切ってショートカットするような経路を取る。
ただし、電車を使ったほうが早く着けるため、どちらかといえば通し乗車よりも、短距離の区間利用を主要目的に据えている路線かもしれない。
また、渋88・都01系統の六本木や、田87系統の白金高輪、都06系統の麻布十番など、系統によっては渋谷駅から電車で直行できない場所もカバーしている。
こちらも結局電車のほうが早いのだが、乗り換えなしで行けるのはアドバンテージ(始発なのも旨味がでかい)に思える。
■シレッとマニアックな路線が!?
最後に、都営バスの渋谷駅東口を発着するバスの行き先を見ていくと、早稲田大学方面行きの早81系統、池袋駅東口行きの池86系統、新宿四丁目経由・新宿車庫前行きの渋88出入系統の3路線が該当した。
池86系統は、途中で早稲田に立ち寄る区間を除き、ほぼ山手線の線路に沿って進む。もし山手線と競合関係にある路線バスだと考えれば、なかなか珍しい存在だ。
極めつけは渋88出入系統。通しでの所要時間15分くらいの短い路線だ。しかしこの系統、平日の夜に1本しか便の設定がない。
車庫へ帰るついでに客扱いを行う路線と言えるが、そんなマニアックな存在が何となしに混ざっているのが大変興味深い。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。