今年の東京オートサロンで発表されたホンダシビックRSが、とうとう姿を現した。その中身はフライホイールまで軽量化した6速MTにVTECガソリンターボを組み合わせた今どき貴重なスポーツモデル。出来のいいMTに乗っておきたいならこれが最後かも!?
文:ベストカーWeb編集部/写真:小林岳夫
■単なるMTじゃない! フライホイールは5kgも軽い!
年々数を減らしつつあるスポーツモデル市場に待望の力作が加わった。それがシビックRS。年初の東京オートサロンにプロトタイプが展示されたから、期待していた人も多いはず。
ちなみにRSとは、1974年に登場した初代シビックのスポーツグレードの名前。RSは「ロード・セイリング(道をヨットのように走る)」の略称とされたが、当時は大気汚染も深刻だったから、率直なスポーツ性がアピールできなかったのかもしれない。
というわけで50年ぶりに復活したRSだが、最大の見どころは、今どき貴重な6速MTを、1.5リッターのVTECターボと組み合わせたマニュアル&ガソリン車であること。実は現行シビックのガソリンモデルはMTの比率が年々増えていたそうで、そのニーズにもジャストフィットする1台といえる。
しかし「RS」を名乗るだけあって、このクルマは単なるMTモデルじゃない。爽快なスポーツドライブを実現するために、さまざまな工夫が施されているのだ。
エンジン回りでは、フライホイールの軽量化が大きい。シングルマス構造を採用して重量で5kg(-23%)、慣性モーメントで-30%のダイエットに成功している。これによってエンジンの吹け上がりが30%、吹け下がりは50%早まったというから、シフトワークはさぞかし痛快だろう。
シビック タイプRに採用されているレブマッチ機能も導入された。シフトダウンの際、自動でエンジンを中吹かしさせて回転数を合わせてくれる機能で、ヒール&トゥを使わなくてもスムーズなシフトダウンができる。ちなみにヒール&トゥを行うと、この機能よりもペダル操作が優先されるそうだ。
エンジンのパワーは現在のところ非公表だが、北米仕様のシビックが参考になる。北米にはRSに相当する「Si」というモデルがあるのだが、そいつのパワーが200psだから、RSもこれと同程度になる可能性が高い。トルクは260Nm程度となるはずだ。
記事リンク
前の記事乗ればわかる抜群の効果 疑心暗鬼が一気に笑顔に変わる “実効空力”を体験して感激!!【PR】
次の記事[シビックRS]出るけどそもそも意味は!? ホンダお墨付きの[RS]が納得の意味だった
■足回りは快適さを失わず締め上げる方向へ
足回りも相当手が入っている。サスペンションはスプリングとスタビライザーを強めてロール剛性が11%アップ、車高は5mmダウンした。
さらにフロントのコンプライアンスブッシュを液封式からソリッドラバーに変更したから、外輪が沈み込んだ際の限界付近の挙動が、よりコントロールしやすくなっているはずだ。
操舵系ではステアリングギアボックスのトーションバーレートを60%高め、操舵時の剛性感がアップ。合わせてフロントのブレーキローターを15インチから16インチに大径化し、踏力設定も見直したから、コーナー入口での車体制御もやりやすくなっている。
制御面ではドライブモードの追加がトピック。これまでのシビックでは「ECON」と「NORMAL」という2つのモードが選べたが、RSではさらに「SPORT」と「Individual」が追加された。「SPORT」ではエンジン特性とパワーステアリング、メーター表示が専用モードとなり、「Individual」ではそれらを任意に設定することができる。
■価格はぜひとも300万円台を死守してほしい!
最後に内外装の変更点。まずエクステリアでは各部にブラックをあしらい、精悍さが高まった(5mmの車高ダウンも効いている)。ヘッドランプ内部やドアミラー、アルミホール&ナット、シャークフィンアンテナやテールパイプフィニッシャーがブラックアウトされる。
インテリアも専用のブラック内装となる。シートやステアリングに赤いステッチが組み合わされるのは従来のガソリンモデルと同様だが、新たにエアコンの吹き出し口パネルやドアグリップにも赤い差し色が入れられた。
今後のスケジュールだが、RSはシビックのマイナーチェンジと合わせて9月中に発表/発売されるとのこと。気になる価格も今のところ未定だが、400万円前後と予想する。仮に398万円といった値付けになれば相当話題を集めると思うのだが、はたしてどうか? 発表を楽しみに待ちたい。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。