日本市場で輸入車となると、ヨーロッパ市場のクルマを指すことがほとんどだ。近年はヒョンデやBYDなど、アジアの他の国からきた輸入車が話題となることもあるが、メディアであまり話題となっていないのがアメリカ車だ。そこには日本市場ではアメリカ車が売れていないという悲しい背景がある。なぜ日本市場ではアメリカ車が売れないのか?その理由を紐解こう。

文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部

■ぶっちゃけた話、どれくらい売れてるの?

なかなか日常でお目にかかれないアメ車、そもそも日本で売れてないの!?

 アメリカ車が売れていないというが、実際にどれくらい売れていないのだろうか?

 2023年度、輸入車は244,844台が登録された。そのうち、もっとも売れたアメリカ車ブランドはジープで台数は10,783台、シェアは3.46%だ。

 次に売れたアメリカ車ブランドはシボレーで、台数は一気に少なくなり726台、シェアは0.23%、次いでキャデラックが505台で0.16%と言った具合だ。なお、テスラは日本市場での販売台数を非公表にしている。

 ジープブランドは現在SUVを中心としているためという理由も大きいが、ステランティスグループに属していることを考えると、純粋なアメリカ車メーカーではないという見方もできる。

 そう考えると純粋なアメリカ車メーカーで、現在日本市場に正規輸入をしているのは、シボレーやキャデラックブランドを有するGMとテスラだけだ。

 長年日本市場での正規輸入を続けていたフォードは、2016年に日本市場から撤退。このような背景を考えてもアメリカ車は日本市場で売れていないと言えるだろう。

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■え、そうだったの!? コンパクトカーを導入したこともあった

コンパクトカーの市場が拡大している現状に参入って…上手くいくのだろうか

 日本市場でアメリカ車が売れない理由。まず誰にでも想像が付くことだと思うがサイズが大きいことだ。日本の交通事情を考えるとアメリカ車はボディサイズが大きすぎる。

 また、近年はダウンサイジングターボなどもあるとはいえ、日本の税制を考えると排気量も大きいといった声もある。

 反対に、ヨーロッパ車はそれぞれが生まれた国によって異なるものの、都市部の道路状況が日本と同じもしくはそれ以上に狭い国もあり、コンパクトなモデルも多い。

 また、ダウンサイジングターボというコンセプトはヨーロッパ発祥であり、小排気量なモデルが増えているのも理由だろう。

 しかし、アメリカの自動車ブランドも過去に比較的コンパクトなモデルを日本市場へ導入したことがあった。GMのサターンやダッジネオンなどがそれに該当するであろう。

 しかし、これらのモデルも成功を納めることが出来なかった。価格面で不利なことや同クラスに品質の高い日本車がいたことが、成功できなかった理由だろう。

 日本市場で輸入車を売るとなると、どうしてもブランド力が必要となってくる。アメリカ車のコンパクトカーの場合、大衆向けな装備や内装の質感のクルマが多かったと言える。

 このような部分がコンパクトカーを導入しても上手くいかなかった部分なのだろう。

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■アメリカ車に対するブランドイメージ

これぞアメ車というのを味わえるクルマがやはり人気

 日本市場で輸入車を売るにはブランド力ということは、アメリカ車に対するイメージにあったブランド力を持つクルマが必然と売れることになる。

 ジープらしさが最も表れているラングラーが日本市場での販売台数の約4割を占めていたり、コルベットやカマロなどの伝統的なアメリカンスポーツが残っている。

 このことが、アメリカ車に対して日本が感じているブランドイメージの現れではないだろうか?

 戦後直後などが、輸入車と言えばアメリカ車な時代もあったが、それもヨーロッパの自動車メーカーが日本へ参入すると共に変化してきた。

 今後、他にはない個性を持つアメリカ車は日本市場でどのように残っていくのかも注目していきたいところだ。

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