NHKの報道によれば、スズキが50cc原付一種クラスの生産終了を検討しているという。2025年11月に施行される新排ガス規制に、現行モデルのままでは適合ができないためだ。既報のとおりホンダも生産終了を打ち出しており、国内メーカー製の50ccは事実上消滅することとなる。
文/Webikeプラス編集部現行50ccは16車種 駆け込み需要も
現在、最新の規制となる令和2年新排ガス規制では、「車載式故障診断装置(OBDⅡ)」の搭載が義務づけられている。この規制は2020年12月から既に開始されているが、小さな50ccクラスでは装置の取り付けが困難であることから、2025年10月末まで規制が猶予されていた。50ccの原付一種は日本独自の免許区分であり、海外では該当するクラスはない。海外需要は見込めず、規制適合させるのはコスト高となってしまったのだ。さらに国内の需要も減少を続けており、1982年の出荷台数が278万台だったところ、昨2023年は9万2000台と3パーセント程度にまで落ち込んでいる。
2024年現在、国内メーカーで原付一種を販売しているのはホンダ、ヤマハ、スズキの3社。ホンダは10モデル、ヤマハは3モデル(うち製造は1モデルのみ)、スズキは3モデルをそれぞれラインナップしており、16モデルが揃っている。しかし、ホンダは既に2025年5月をもって50ccガソリンエンジンバイクの生産を終了するという方針を発表済。ヤマハも製造する「ギア」の今後の販売は検討中としているが、独自に適合する可能性は低いだろう。これらの流れにスズキも続くかたちとなった。
スズキの現行モデルは「アドレスV50」「レッツ」「レッツバスケット」の3種で、いずれも20万円を切る低価格で人気だ。これが生産を終了すれば、国産50ccはほぼ完全に消えてしまうこととなる。このため販売店などでは駆け込み需要も生じているという。
免許取得も手軽で、通勤・通学の便利な足として愛された原付一種だが、今後は125ccクラスのモデルを適合させた「新基準原付」や電動モデルが主流となっていく。コスト面や使い勝手などは変わっていくだろうが、50ccの需要を埋めることができるか注目だ。
来年生産を終える現行50cc
スズキ
スポーティーなアドレスV50と、シート高が低く優しいデザインのレッツ、そしてレッツにお買い物に便利な前かごを装備したレッツバスケットの3モデルが現行のスズキ50ccモデル。いずれも20万円を切るトップクラスに安いモデルが揃い、コストパフォーマンスは抜群だ。レッツシリーズは1994年以来続いた伝統のネーミングだったが、50cc以外にラインナップはないため、これが最後の世代となるだろう。
ホンダ
全10モデルの最大ラインナップを取りそろえるホンダ。誰もが知っているスーパーカブ50をはじめ、新聞配達でおなじみのスーパーカブ50プロ、レジャースタイルのクロスカブ50の3モデルが、遠心クラッチを備えるカブシリーズだ。スクーターは女性にも人気のジョルノ、最安価格を抑えるタクト、スポーティーなダンクの3モデル。ビジネスバイクにはベンリィ、ベンリィプロ、そして3輪スリーターとして80年代から存在するジャイロX、屋根付きのジャイロキャノピーが現役だ。このうちベンリィとジャイロはスタイルをほとんどそのまま「e:」シリーズとしてEV化しており、今後もビジネスシーンで活躍するだろう。
ヤマハ
ヤマハは一般向けにビーノ、ジョグの2モデルを揃えているが、この2モデルは2018年からホンダとのOEM生産で、ホンダの50ccモデル生産終了と運命を共にする。独自に生産しているのはビジネスバイクのギアで、こちらは台湾生産となっている。ビーノに関しては、後継機として電動のE-Vinoが発売済みだ。
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