規模が大きめの駅なら、よく駅前にバスターミナルがセットで付いてくる。では「西口」や「東口」といった、出入口が2カ所に分かれている駅の場合、西と東両方に必ずバスターミナルがあるのだろうか?

文・写真:中山修一
(新宿駅東口周辺の写真付き記事はバスマガジンWEBもしくはベストカーWEBをご覧ください)

■ギネス記録を持つ日本の超巨大駅のケース

巨大駅となれば出入口ごとにバスターミナル常設?

 全国にある大きな駅のうち、今回は1日あたり合計およそ350万人という膨大な数を淡々と捌く、ギネスにも認定されている新宿駅をテーマに、周辺のバスターミナル事情を探ってみよう。

 新宿駅はJR、小田急、京王、東京メトロ、都営地下鉄の各線が集結する交通の要衝であり、鉄道施設が巨大なだけに、何となくバスのほうも活気がありそうなイメージを抱く。

 施設のサイズに反して出入口は1箇所だけ、なんてことはもちろんなく、新宿駅の主要出入口には西口・東口・南口が用意されている。

■やっぱりデカかった!? 新宿駅西口のバスターミナル

 まずは各出入口の中で名称のブランドバリューが最も高いと思われる西口だ。西口には、巨大駅の付帯設備然とした風格を持つ、それなりに規模の大きなバスターミナルがある。プラットホームが4本並んだ専用の乗り場に加え、周辺の道路上にもバス停が分散して置かれている。

多くのバスが集まる新宿駅西口バスターミナル

 西口バスターミナルの共通の名称は「新宿駅西口」。一般路線バスの発着が中心で、都営バス、関東バス、京王バス、たまに小田急バスなど、複数のバス事業者の路線が乗り入れる。

 2024年4月現在の様子を見ると、目下大規模な工事が進められており、西口側の駅ビル(新宿地下鉄ビルディング/新宿駅西口本屋ビル)が解体された状態のため、バスターミナルから駅を眺めると、新宿とは思えないほど空が広く見える。

■西口がそうなら東口も?

 西口がバスの一大拠点となっているなら、東口に大型バスターミナルがあっても不自然ではなさそう。しかし、よくよく思い返してみれば、東口にバスターミナルらしき設備を見たことがない気がする。

 そこで改めて現地へ赴いてみた。たまに行く場所ながら、バス設備はもとより駅前とその周辺をジックリ観察する目的で新宿駅東口を訪れたのは初めてだ。

 東口の駅ビルと家電量販店のビルの間に、ロータリーのような道があったような? と思ってよくよく確認してみると、バスターミナルではなく地下駐車場へのアプローチだった。

■予想外なサイズ感

 新しい観光スポットになった、飛び出すネコの看板にスマートフォンを向けまくる大勢のインバウンド客に混ざりつつ、東口のバス乗り場観察を継続。

 その結果、西口とは対照的に、どこを探しても東口に「バスターミナル」と呼べるバス施設は存在しないと分かった。

 ただし、バス停の数が皆無なわけでもない。まず駅前広場に隣接してバス停標識が立っており、近づいて確認すると、定期観光バス「はとバス」の乗り場になっていた。

東口「はとバス」の乗り場

 では一般路線バスの停留所は?といえば、はとバス乗り場から歩道を西口方向に約130m進んだ位置と、有名なアルタ前の近くに、都営バスのバス停が1箇所ずつ置かれている。

 また、都営バス停留所のそばに「はとバス」の乗り場がもう1箇所あり、ここには観光特化型のコミュニティバスも土曜日に1本だけ来る。

■“終点”ではない東口

 共通の停留所名は「新宿駅東口」。駅前がバスの始点終点になることは多々ある。しかし都営バスの新宿駅東口はごく普通の途中の停留所となっており、ここを通る全てのバスは西口まで向かう、または西口から来る。

アルタ前を都営バスの大型路線車が通る

 東口を経由する都営バスは、早稲田方面への早77系統と、品川駅方面へ向かう品97系統。本数はそこそこ出ているにせよ、系統が2種類しかないあたり、西口に比べて東口は極端なまでにこぢんまりした雰囲気だ。

 ちなみに、今回は西口と東口にテーマを絞ったため、新宿駅の主要出入口の一つである南口はリサーチ対象外。

 一応軽く触れておくと、南口の前に一般路線バスのバス停はなく、道路を挟んだ向かい側に大規模高速バスターミナルの「バスタ新宿」が建っている。

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