これからお盆休みで高速道路を使って帰省する人が多いと思う。そこでいつも疑問に思うのが、高速道路のSA/PAにあるガソリン価格の高さ。一般店舗よりも20円~30円も高いのだ。なぜこれほどまでに高いのか? 

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@beeboys)、写真AC

■街中の一般的なガソリンスタンドより20円~30円も高いのはなぜ?

レギュラーガソリンが200円を突破するのも珍しくない時代になっている。(hanafujikan@Adobe Stock)

 これからお盆休みで、地方に帰省する人が多いと思うが、ガソリン残量が少ないのに、ついうっかり忘れて、高速道路に乗ったら大渋滞。「あ~、もうガソリンが残り少ない、入れなくちゃ」と高速道路のSAにあるガソリンスタンドに入ったら、なんと価格はレギュラーガソリンがリッター200円で「しまった」と、嘆いている、そこのアナタ!

 そんなアナタのための本企画。まず、高速道路のSAにあるガソリンスタンドのガソリン価格はなぜ一般店舗よりも20~30円も高いのか?

 ちなみに筆者の自宅近所にあるガソリンスタンド(東京世田谷区)のレギュラーガソリン価格は165円、数キロ離れた用賀ICから東名高速に乗って海老名SAのガソリンスタンドで給油した場合、レギュラーガソリン価格は188円、なんとリッター23円も高いのだ。

 高い理由はいろいろ言われているが、最大の要因は、高速道路という閉鎖空間にあるため、競争原理が働かないからというもの。当然、競争原理によって隣同士のSAのガソリンスタンドの価格はほぼ同じだが、少し距離が離れると大きく変わってきたり、上り下りでも変わってくる。これは後ほど路線別上り下りのガソリン価格の表を掲載するので見てほしい。

 高速道路SAの燃料価格は2008年まで上限制度があり、前月の全国平均価格(石油情報センター調査)をもとに翌月に適用していた。

 しかし、2006年、原油価格暴騰によるガソリン大幅値上げの際、街中にある一般店舗よりも高速道路SAのスタンドのほうが安くなってしまい、高速道路のSAのスタンドに殺到したことがあった。

 これをきっかけにして上限価格が廃止され、NEXCOによる価格統制はなくなって、SAのスタンドそれぞれが自主的に価格を決め、それが現在まで続いている。

 NEXCO側は、「高速道路の燃料価格はテナントである各スタンドが決定しており、弊社は関与していない。価格が高い理由もわからない」と回答している。NEXCOを監督する国交省も、SAスタンドの撤退によって生じた空白地の解消には関心を持っているが、価格には一切かかわっていない、とのことだ。

■高すぎやしないか? 安くならないのか?

高速道路のSAとガソリンスタンドが提携して収益を上げれば安くなる?(写真AC)

 競争原理が働かないのはわかった。それ以外に高い理由はなんだろうか? ガソリンスタンドを経営している会社はNEXCOにテナント料を支払って営業しているから高い、24時間営業が多いからコストがかかる、有人スタンドが多いためコストがかかる、燃料販売以外にメンテナンス関係の収益源がない、SAのスタンドは石油元売りからの販売報奨金が出ない、といった理由が挙げられる。

 高速道路のSA/PAにある全国238カ所のスタンドうち、24時間営業は238カ所のうち、187ヵ所セルフ式は47カ所で全体の約2割。一般のスタンドではセルフ率は3割程度なので、確かに有人率は高い。この2つは高くなっても仕方ないが、それでも一般店舗に比べて20~30円も高いというのは企業努力が足りないのでは……。

 また、高い収益源となるエンジンオイル交換や点検整備などメンテナンスを行わないスタンドがほとんどなのは、高速道路を急ぐ人が多く、依頼件数自体も少ないからと、省略したのには理解できる。

 しかし、EXPASAのような大規模の商業施設があるSAにあるガソリンスタンドの場合、商業施設を利用している間、小1時間もあればメンテナンスを受けられるので、その時間を利用してJAF出動回数の多いタイヤの点検やバッテリー上がりなどのケアや洗車サービスを行えば収益率が上がるのではないだろうか。高速道路は長距離ドライブで酷使されたクルマが多く走っているので有効かもしれない。

 では高速道路のガソリン価格を安くする解決策はあるのだろうか? まず2008年まであった上限価格を復活させる案があるが、これをやると経営状態を悪化させ、ガソリンスタンドが激減する可能性が高いので、ユーザーにとってはマイナスとなる可能性が高い。

 高速道路民営化によって最も変わったのはSAにおけるレストランや売店などの商業施設が活性化し、大幅に充実、以前と以後とではけた違いに進化し魅力的になったことだろう。

 そのいっぽうでガソリンスタンドはほとんど変わっていないので、SAとガソリンスタンドを一体化させた前述したサービスをNEXCO各社が先導し、元売り各社およびスタンドと提携して経営すれば、効率が上がり、ガソリン価格が下がっていくのではないだろうか。

■各高速道路の上り下りのガソリン価格は?

高速道路民営化によって大幅に魅力がアップしたSA

 さて、これからお盆休みで帰省する人が多くなる。燃料タンクの残量が少なくなっているのにうっかり忘れて高速道路のSA/PAにあるガソリンスタンドに給油しなければいけなくなった人も出てくるだろう。そんな人のために主要高速道路SA/PA別のガソリン価格の表(データはNEXCO各社、8月9日現在)を紹介しておこう。

■主要高速道路SAPAのガソリンスタンドのレギュラーガソリン、ハイオクガソリン価格
■東北道
蓮田SAの下り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円
蓮田SAの上り(セルフ)=レギュラー188円、ハイオク199円
佐野SA下り=レギュラー179円、ハイオク190円
佐野SA上り=レギュラー179円、ハイオク190円
安積PA下り=レギュラー189円、ハイオク199円
安積PA上り=レギュラー190円、ハイオク200円
■常磐道
守谷SA下り(セルフ)=レギュラー192円、ハイオク203円
守谷SA上り(セルフ)=レギュラー192円、ハイオク203円
友部SA下り(セルフ)=レギュラー192円、ハイオク203円
友部SA上り(セルフ)=レギュラー192円、ハイオク203円
中郷SA下り=レギュラー183円、ハイオク194円
中郷SA上り(セルフ)=レギュラー192円、ハイオク203円
■関越道
三好PA下り=レギュラー185円、ハイオク196円
三好PA上り=レギュラー189円、ハイオク200円
高坂PA下り=レギュラー179円、ハイオク190円
高坂PA上り=レギュラー179円、ハイオク190円
上里SA下り=レギュラー199円、ハイオク210円
上里SA上り=レギュラー188円、ハイオク199円
■中央道
談合坂下り=レギュラー187円、ハイオク198円
談合坂上り=レギュラー187円、ハイオク198円
双葉SA下り=レギュラー187円、ハイオク198円
双葉SA上り=レギュラー187円、ハイオク198円
駒ヶ岳SA下り=レギュラー194円、ハイオク205円
駒ヶ岳SA上り=レギュラー192円、ハイオク203円
■東名高速
海老名SA下り(セルフ)=レギュラー188円、ハイオク199円
海老名SA下り(セルフ)=レギュラー187円、ハイオク198円
足柄SA下り=レギュラー188円、ハイオク199円
足柄SA下り=レギュラー191円、ハイオク199円
富士川SA下り=レギュラー189円、ハイオク200円
富士川SA上り=レギュラー188円、ハイオク199円
牧之原SA上り(セルフ)=レギュラー188円、ハイオク199円
牧之原SA下り(セルフ)=レギュラー188円、ハイオク199円
■新東名
静岡SA下り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円
静岡SA上り(セルフ)=レギュラー187円、ハイオク199円
浜松SA下り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円
浜松SA上り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円
岡崎SA下り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円
岡崎SA上り(セルフ)=レギュラー189円、ハイオク200円

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 ガソリン価格比較サイト「gogo.gs」に掲載されている東京地区でのガソリン価格(高速道路以外)を調べてみると、安いガソリンスタンドTOP10の価格は、レギュラーガソリンが156~161円、ハイオクガソリンが167~173円。ちなみに全国で一番安いのは愛知県常滑市ユニオイル常滑りんくうSSでレギュラーガソリンが147円、ハイオクガソリンも同SSで157円だった。

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