降った雨水が流れてほしくない方向に行くのを防ぐ「雨どい」。住宅などの建物には定番の設備であるこの雨どい、風雨に晒されながら使われる点では建物と同じ条件に当てはまる、乗り物の類いにも何気に付いていたりする。

文・写真:中山修一
(非・建物系な雨どいの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■雨どいのある乗り物(1):電車やディーゼルカー

あの新幹線にも、人が乗り降りする箇所に雨どいがある

 雨どい付きの乗り物の代表格に挙げられるのが鉄道車両だ。まず新幹線を例にすると、車体横のドアの上あたりに、カーブを描いた細長い板のようなパーツが付いていて、これが雨どいに相当する。

 一方で在来線の車両では、屋根の両肩に雨どいを設けている車種が最近は多いようで、外付けタイプと車体のデザインに一体化させているタイプがある。

 外付けタイプは車両を横から見ると、屋根とボディの接合部のあたりに、横長の出っ張りが車体の前後いっぱいに渡してあるので判別しやすい。

 いずれのタイプも、雨が降った際に屋根から滴り落ちてくる雨水を雨どいで受け、意図した位置まで雨水を導いて、地面に落とす仕組みになっている。

 また、「雨どい」のほか「水切り」と呼ばれるものがある。こちらも水捌け対策のパーツで、鉄道車両の場合……

(1)雨どい:屋根の雨水が側及び妻に流れ落ちないように受け止める溝形の部材。
(2)水切り:窓又は出入口の上部、開戸の下部などに設け、雨水が内部に回り込むのを防ぐ部材。

……といった具合にJIS規格で定義が決まっている。

 これを踏まえると、厳密には新幹線のものは水切りに近いと言えそう。とはいえ、あくまで趣味レベルなら、杓子定規になりすぎたところで誰も得しないので、ここでは一括りに「雨どい」と呼んでおこう。

■雨どいのある乗り物(2):ジェット旅客機

 窓が開かないので必要ないのでは? と一瞬思ってしまうものの、ジェット旅客機にも雨どいの付いた箇所があったりする。

 機体をクロースアップしてよ〜く観察すると、旅客用ドアの上あたりに、斜めに入った線のような突起物に気付く。実はこれが雨どいに相当する。

ジェット旅客機のドア上、赤丸で囲った箇所が雨どい

 ジェット旅客機の胴体は円いため、地上で停止している際に雨が降ると、落ちてきた水滴は胴体の形に沿って、そのまま下に垂れてくる。

 そのためドアの部分に関しては、乗り降りの際に垂れてきた雨水で人が濡れないよう、雨どいを設置して対策を取っているわけだ。

■雨どいのある乗り物(3):路線バス

 あまり目立たないので意識するほうが珍しいかもしれないが、街中を走っている路線バスにも、多くのクルマに雨どいが取り付けられている。

大型路線車の例。この車両では赤枠部分が雨どいの取付位置

 ごく一般的な中型・大型路線車を例にすると、大抵の車種なら側面窓の上に横長の突起が前後いっぱいに渡してあり、上から見ると溝状になっている。これが雨どいだ。

 路線バス車両の雨どいには、屋根に溜まった雨水がボディの側面に垂れてくるのを防ぐためと、ドアや窓を開けている際に、垂れてきた雨水が車内に入り込まないようにする、二つの役割がある。

 雨どいの細かなデザインはメーカーごとに異なるが、受けた雨水を車両の前方もしくは後端に導くセッティングが、メーカー問わず基本のようだ。

 電車、飛行機、バス……これ以外にも雨どいの付いた乗り物が、まだまだ出てきそうな気がする。外へ出たついでに、ちょくちょく観察してみると楽しいかも!?

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