スズキを「コスパの高いクルマをたくさん売る、庶民の味方の自動車会社」と思っているあなた。間違ってはいないけど、それは視野が狭いというものだ。スズキにはグローバルに活動する大企業としての顔もある。今回は、スズキが思い描く自動運転技術の未来を見ていこう。
※本稿は2024年7月のものです
文:ベストカー編集部/写真:スズキ、AdobeStock、ティアフォー
初出:『ベストカー』2024年8月10日号
■「オープンSDVイニシアチブ」への参加表明
「SDV(ソフトウェアで定義されたクルマ)でできることは何か?」と問われて完璧に答えられる人はいない。OTA(オーバー ジエア)で装備や機能を拡張、進化させるのはもちろんだが、そのほかどんなことができるのか、まだ手探り状態だからだ。
しかし、政府の「モビリティDX戦略」では、2030年の世界のSDV市場で日本が3割のシェアを握るとの目標が示されていて、そのためにはSDVを制御するためのビークルAPI(アプリケーション プログラミング インターフェイス)の標準化が重要。中国や欧州のAPIに支配されると日本は不利になるからだ。
名古屋大学がこのビークルAPIの標準化を目指す「オープンSDVイニシアチブ」を設立。スズキも参画を表明し、20社程度で本格始動した。ほかの自動車メーカーも参画を検討しているというが、真っ先に手を挙げたのがスズキ。その機敏な動きが際立っている。
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■軽自動車で自動運転!! ティアフォー社との資本業務提携発表
2024年6月、スズキはスタートアップ企業のティアフォー社(名古屋市)と資本・業務提携で合意。「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、オープンソースの自動運転用ソフトウェア「オートウェア」を展開しているティアフォー社が増資した85億円の資金の一部をスズキが出資した。その比率は公表していない。
スズキは自動運転技術で交通過疎地での公共移動手段を提供することを目標としているほか、地方では軽自動車ユーザーの高齢化が進んでいることもあり、自家用車でも自動運転の普及は有効と考えている。
スズキとティアフォー社は2019年から自動運転の共同開発を行なっており、ソリオにティアフォー社のソフトウェアを組み込んで実証実験を進めてきたが、今回の提携強化で開発が加速することは確実。レベル4の自動運転システムの実用化をさらに進めていくことになる。
ティアフォー社のシステム開発能力とスズキの製造ノウハウという強力なタッグチームができるということ。数年後が楽しみだ。
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