この“エコ時代”でも……やっぱり「最強」「最速」は面白い!!! 2013年のスーパーカーの世界を回顧。ランボルギーニアヴェンタドールの試乗記から(当時の)最新スーパーカー事情まで解説!(本稿は「ベストカー」2013年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
TEXT/西川淳
■この“エコ時代”に最高速350km/hとか、340km/h……果ては385km/hまで! 脱力……
クーペより数段上なのか? エキセントリック&ドラマチックなカタチでも走りがよくなかったら……と思いつつ、マイアミのホームステッドレースウェイまでアヴェンタドールロードスターを試しにいった。
飛び石でノーズが真っ白になるくらい走りまくった結論から言うと、ダイナミックパフォーマンスはクーペに劣らず!
むしろ、足回りがクーペに比べてややソフトなチューンになっているぶん、プッシュロッド式でも微妙に上下動を感じることができるので、プロドライバーじゃないボクにでも車体の動きがわかりやすい。
ステアリングを切り込んでいったり、フルスロットルをかけてゆくタイミングが掴みやすい。
要するに、アクセル踏んでいられる時間が長い=楽しい。クーペよりも振り回した感を存分に味わえたのだ。
特に、カーボンルーフパネル(手動で取り外し)を付けたまま、リアウインドウだけを下げて走らせてみれば、V12サウンドがカーボンキャビンに盛大に響き渡って、気分がいい。
もちろん、クーペのほうがボディも断然硬いし、スパルタン。
けれども、そのぶん、上手に楽しく走らせることは難しい。「スーパーカーだから、ゆっくり走ったって気分がいいほうがいい」が持論。
さりとて、700psを誇るカーボンモノコックボディのミドシップマシンの片鱗も楽しめないっていうんじゃ、もどかしい。
ちょっと肩の力が抜けて、音よし/走りよし/乗り心地よしの、三拍子そろった新型ロードスターのほうが、御利益抜群と感じた次第。
さらに、実はライバルでもなんでもない(お互い迷惑?)のに、引き合いに出されがちなフェラーリが、最新フラッグシップのF12で空前のドライビングファンを実現してしまったものだからたまったもんじゃない。
なにしろ、ダイナミックパフォーマンスのスペックではそもそもアヴェンタドールを打ち負かしているうえ、FRならでは、のファンなドライバビリティを、約500万円も安く提供してくれたからだ。
F12はフロントエンジンゆえ、長い管を通ってのサウンドもまた格別でこれぞ跳ね馬の“嘶き”。
猛牛の“咆哮”とは、ひと味もふた味も違う。芸術的ともいえるサウンドが、ドライバーの頭と身体をビンビンに震わせる。&圧倒的な軽やかさは、もうそれ自体、へたな絶叫マシンよりもスリリングだ。
F12とアヴェンタドール。いずれもスーパーカー二大ブランドのフラッグシップだけれど、これでスーパーカー大戦争も終わり、と思ったら大間違い。
上には上がいて、今年は1億円級のウルトラスーパーカー対決こそがハイライト。自動車史上空前のスーパーカーバトルになること、間違いなしだ。
■次の主役はフェラーリF150とマクラーレンP1
主役は、フェラーリF150とマクラーレンP1の2台。ともに3月初頭のジュネーブショーでその詳細スペックが発表される見込み。
現時点での情報や漏れ伝わる噂を総合するに、いずれもF1直系の思想と技術、空力、素材をふんだんに取り入れているらしく、2台のコンセプトやスペックはとっても似通っているという。ズバリ、F1界のガチ代理戦争っていうわけ。
1200kg前後の車重に+複数モーターで900ps前後のパワー、なんてウワサのスペックがみせる実力のほどは、もはや想像の域を超えてしまう。
おそらく加速フィールは(その瞬間血の片寄りを感知できてしまうほどに激烈だった)ブガッティヴェイロンをひょっとして凌ぐんじゃないだろうか。
なんとも楽しみなFとMの一億円対決に、割って入るのがポルシェ918スパイダー。
9月18日に生産開始、というタイミングも先の2台とほぼ同じ。ちょっと時間がかかったようにも思うけれど、結果オーライか。
スペックこそ見劣りするものの、そこはポルシェ様、実際に走らせてみればいっちゃん速い、なんてことがもし起こったら、これまた拡大モータースポーツ界の代理戦争で、一ファンとして外野から見物するぶんには問答無用でおもろい。
仕事ぬきで、とりあえず早く乗ってみたい! なんて思うのは、アヴェンタドールのプロトタイプ以来、久しぶり。3台の対決、たぶん、来春にはどっかで実現するはず。
マクラーレン初のオール純血スーパーカー/12C&12Cスパイダーも初めて乗った時には、久々に感動したスーパーカーだった。
コイツもまた、客観的なスペックで語るよりも、実際にサーキットで走らせてみて、その真価に納得する手合い。とってもツウ好み。
2駆で600ps超のミドシップスーパーカー、であるにもかかわらず、そのドライビングファンは超一級で、これにはさしものフェラーリ458イタリアも力およばず。
12Cのデキから想像するに、先の頂上対決もひょっとするとひょっとしてロードカーになんのしがらみもない挑戦者=マクラーレンのP1が、特にサーキットでは速い=スーパーカー界最高パフォーマンス、になるんじゃないかと一気に妄想が膨らんだ。
スーパーカー界の話題は頂上対決だけにとどまらない。
大排気量のアメリカンV8/10パワーも新たに炸裂というわけでバイパーとコルベットスティングレイもフルモデルチェンジを果たした。
イギリス勢では100周年を迎えるアストンマーティンのニューヴァンキッシュ登場も見逃せない。
このあたりのスーパーFR勢は、それぞれのクラスで真剣に打倒フェラーリを目指してくるもんだから、跳ね馬もたまったもんじゃないよね。
そして……、冒頭のランボルギーニ。50周年を祝った超スペシャルモデル登場、の噂あり。いつまでこんな状態続くのか?
(内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。