三菱重工業は、キリングループのキリンビバレッジと連携し、飲料倉庫での入出庫およびトラック荷積み・荷降ろしの自動化を目指す共同実証を2024年8月から開始した。
近い将来、荷役作業の大部分は自動化されていくのか!? 実証実験の詳細をまとめた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部、三菱重工グループ
共同実証のあらまし
今回の実証実験は、三菱重工業が、キリングループのキリンビバレッジならびにキリングループロジスティクスと共同で行なうもので、将来的にトラックの荷降ろしから倉庫内荷役、トラックへの荷積みに至るまでの一連の荷役作業を自動化することを目指したもの。
8月からすでに始まっている実証は、三菱重工が横浜・本牧で運営する、ものづくりの共創空間「Yokohama Hardtech Hub(YHH)」内の実証施設「LogiQ X Lab(ロジックス・ラボ)」や、キリングループロジスティクスの西名古屋支店、尼崎支店などの拠点で実施し、2026年3月までに共同実証を完了する予定だ。
三菱重工では、研究開発中のさまざまな機械システムを同調・協調させる三菱重工グループの標準プラットフォーム「ΣSynX(シグマシンクス)」を適用した「かしこく・つなぐ」ソリューションにより、オペレーターのノウハウや熟練技術によって安全かつ効率的に行われていた従来の物流倉庫作業を、「ピッキング」「入出庫」「トラック荷積み・荷降ろし」の3領域に分けて自律化・知能化する取り組みを順次進めている。
今回の実証では、2023年6月にキリングループとの実証を終えた倉庫内荷役である「ピッキング」に引き続き、ΣSynXを搭載する開発中の新型無人フォークリフトを活用し、倉庫作業での適切な荷揃え、配置替えや保管状況に応じた走行ルート変更、高効率の保管方法などといった、柔軟な自律運転や安全な人機協調作業を実現するべく要素技術の確立を目指す。
なお、ピッキングについては2024年12月よりキリングループの海老名物流センター(神奈川県海老名市)でΣSynXを用いた「自動ピッキングソリューション」が稼働開始予定だ。
三菱重工では、今回新たな共同実証を両社で進めることで、物流オペレーター不足、労働環境の改善、またトラックドライバーの作業時間や待機時間削減を目指す2024年問題をはじめとする、飲料業界が抱えるさまざまな物流課題の解決に取り組んでいきたいとしている。
実証の概要
■期間:2024年8月~2026年3月
■実施場所:「LogiQ X Lab」(YHH内)、神戸造船所内実証施設、キリングループの西名古屋支店および尼崎支店
■実施内容
・入出庫ソリューションの導入を想定した、有人作業を含めた運用プロセスの導出
・トラックへの荷積み・荷降ろし用無人フォークリフト導入を想定した、有人作業を含めた運用プロセスの導出
・有人フォークリフトと無人フォークリフトの協働作業時における、安全に関する考え方、ルール、運用条件などの導出
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