クルマを運転するうえで道路交通法を守ることは必須だが、それでもうっかりして違反をしてしまうことだってある。そんな時に手元にやってくるのが交通違反切符。それぞれの違い、正しく知っていますか?
文/山口卓也、写真/写真AC、イラストAC
■違反切符には3種類ある
交通違反をすると、その違反の程度によって違反切符が交付される。この違反切符には赤切符・青切符そして意外と知らない人も多い白切符の3種類がある。
以降、それぞれの切符の意味を詳しく解説していこう。
■もっとも重い違反に対して交付される赤切符
3種類の切符のなかで、もっとも重い違反に対して交付されるのが赤切符。例えば無免許運転や飲酒運転、一般道での時速30km以上のスピード超過、高速道路での時速40km以上のスピード超過など。
正式名称を「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」という。
また、警察官に止められなくても、事故を起こした場合に飲酒運転や大幅なスピード超過が認められると赤切符が交付される場合がある。
●赤切符に該当する違反行為の代表例
・無免許運転
・酒酔い運転や酒気帯び運転
・危険運転致死傷罪に該当する行為
・救護義務違反
・一般道での時速30km以上のスピード超過
・高速道路での時速40km以上のスピード超過 など
これらの違反行為は、すべて一度の違反で違反点数6点以上の免許取り消しまたは免許停止の処分となる。
●赤切符は行政処分に加えて刑事処分の対象となることも!
クルマの運転者に赤切符が交付されると、正式裁判または略式裁判によって刑事罰が科されることとなる。つまり、“前科”がついてしまうということ。
また、赤切符では “罰金刑”となり、交付された告知書に記載されている出頭場所に出頭することになる。
■比較的軽い違反に対して交付される青切符
青切符は正式名称を“交通反則告知書”と言い、赤切符よりも比較的軽い違反に対して交付される。
●青切符に該当する違反行為の代表例
・駐停車違反
・信号無視
・運転中の携帯電話の使用
・運転免許証不携帯
・一般道での時速30km未満のスピード超過
・高速道路での時速40km未満のスピード超過 など
「比較的軽い」とはいえ、道路交通法に違反していることは確かである。しかし、これらをすべて刑事手続にかけてしまうと、捜査機関や裁判所がパンクしてしまうのも事実。
より重要な捜査や裁判を行うために、軽微な交通違反に関しては“特例”として「反則金を納付すれば刑事訴追を免れることができる」と、道路交通法第128条第2項に記載されている。
赤切符や青切符を交付された場合も、違反の事実とされたことに不服がある場合は検察庁の取り調べにおいて否認することは可能だ。
その場合、不起訴になればそれで終了。起訴されると反則金や略式裁判などの簡易な手続とはならず、正式裁判で争うことになる。
■青切符よりもさらに軽微な違反には白切符が交付
「白切符? 聞いたことないな……」というドライバーも多いだろうが、シートベルト装着義務違反や幼児用補助装置使用義務違反(チャイルドシート不使用のこと)、乗車用ヘルメット着用義務違反などで交付されるもの。
この白切符の交付で反則金を納付する必要はないが、違反点数は1点が加算される。
●一般道でも後部座席のシートベルトは着用義務あり!
ずっと以前に免許を手にしたドライバーだといまだに知らない人も多い全席シートベルトの着用義務。2008年6月1日から全席着用義務となっているが、現在も着用率は非常に低い。
運転者は、一般道や高速道路を問わず、乗車する人全員にシートベルトを着用させないとならないのだが……。
これは、高速道路で後部座席シートベルト着用義務を怠ると違反点数1点が加算されるのに対し、一般道では警察官による“口頭注意”となっているからだろう。
とはいえ、シートベルトの着用は乗員を守るために行うのだから、「反則金も違反点数もないから平気!」と思わないでほしい。
■反則金を納付しなかったらどうなる?
実は反則金の納付は法律上で“任意”とされている。よって、「青切符の反則金は納付しなくても大丈夫!」などと思っているドライバーもいるという。
しかし、反則金を納付しないと道路交通法違反事件となって刑事手続きに移行。起訴されれば裁判となり、裁判官によって違反行為が認められた場合は刑事罰が科されることに。
交通裁判未出頭者や反則金未納者の追跡捜査は定期的に行われており、ある日突然逮捕状を持った警察官が家にやって来る。
もちろん、違反の内容に納得いかない場合は、略式裁判や反則金納付を拒否し、正式裁判で争えばいいのだが。
●“前科”は一生つきまとう!
「反則金を収めないだけで逮捕?」と思うかもしれないが、逮捕されて違反を認めている場合はその日に裁判を受け、“反則金”から“罰金”となり、前科がつくことになる。
前科がつくと、「職を解雇される」「就くことのできない職がある」「離婚事由となりうる」「国よっては入国を拒否される場合がある」などが考えられ、デメリットしかない。日本の刑事手続では、起訴されると99%近くが有罪となって前科がつくことを忘れずに!
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