立秋を迎えても暑さはまったく収まる気配を見せず、毎日のように日本のどこかで急な強い雨が降っている。一時間に30ミリを超えるような大雨だと、低い土地の道路などはあっという間に冠水してしまう。運転していてそんな場面に出くわした場合、いったいどうしたらいいのだろうか?
※本稿は2024年7月のものです
文:ベストカー編集部/写真:JAF、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年8月10日号
■雨天時の運転に注意しなければならないこと
雨の日のドライブは危険がいっぱいだ。
雨の日は視界が悪い。特に夜ともなればヘッドライトが路面に反射して車線が見えにくくなるし、歩行者や自転車も見えにくくなる。昼間だって歩行者は傘をさしていて視界が悪く、雨に気を取られてクルマに気が付きにくくなるから、よりいっそうの慎重な運転が求められる。
濡れた路面は滑りやすく、ブレーキの利きも低下する。雨の日のブレーキングは晴れの日より10%以上も停止距離が延びてしまう。
高速道路ではハイドロプレーニングによるスリップ事故にも注意が必要だ。路面の水膜に高速で走行するタイヤが浮いてしまい、突如グリップを失う。
と、雨のドライブは危険がいっぱいだ。さらに最近は短時間に大雨が降るゲリラ豪雨が増え、新たな危険が発生していることも忘れてはならない。
■やむをえず冠水路を走る時の注意点
ゲリラ豪雨や線状降水帯が発生すると、短時間で大雨が降り、アンダーパスのような低い路面では冠水が発生する。
進行方向に冠水路があったなら避けて、通行しないことが予防安全上は第一選択なのだが、止むを得ず走らなければならない状況になることもある。では、冠水路での走行はどこに気を付ければいいのだろうか?
JAFによるユーザーテストでとても興味深く有益なデータがある。
「水深60cm」は一般的な乗用車のタイヤが8割ほど隠れる水位。セダンやコンパクトカーならフロントバンパーが隠れるほどの水深だ。
●セダンで10km/hで進入
アンダーパスのスロープを模したテスト路に10km/hの速度で入っていくと、やや波立つものの静々と進んでいく。フロントで押した水が跳ね上がりボンネットを覆い隠す場面もある。
このまま進むのだが、31m走った地点でエンジンが停止。のちに調べると、エンジン内部、シリンダーに水が入ったためエンジンが停止したのだ。原因は、エアインテークから水を吸い込んだためだ。
●SUVで30km/hでは?
最低地上高が高いSUVだとちょっと気が緩んで水深60cmくらいなら大丈夫だろう、と冠水路に突入してしまう人もいるだろう。そんなシチュエーションを再現したテストだ。
30km/hで冠水路へのスロープを下るとバンパーに押されて大きく波立ちボンネットを水が覆う。すると10m走った時点でエンジン停止。先ほど同様エアインテークから水を吸い込んだのが原因だ。
冠水路ではタイヤが隠れる水深は危険水位。危険からの脱出のために走らなければならない場面なら、なるべくゆっくりと走ってエンジンルームに水が入らないようにしたい。だが基本はあくまで冠水路を避けることだ。
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