8月26日、いすゞ自動車は米国カリフォルニア州のApplied Intuition, Inc.(アプライド・インテュイション)と、レベル4自動運転トラックの共同開発を目指す戦略的提携契約を締結したことを発表。この提携の狙いとは?

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/いすゞ自動車・Applied Intuition、Gatik、TIER4

提携の概要

トヨタや日産、VWグループのスカニアなど世界の自動車メーカー上位20社のうち18社がアプライド・インテュイションのソリューションに信頼を寄せ、自動運転開発に同社技術を活用している

 いすゞ自動車とアプライドは、最大5年間にわたる戦略的提携契約を結び、自動運転事業の早期実現を目指した車両開発を行なう。

 共同開発を行うアプライドは、2017年に設立された米国のスタートアップで、主に自動運転車両や先進運転支援システム(ADAS)の開発を支援するソフトウェアおよびシミュレーションツールを提供している。

 同社が提供する開発プラットフォーム、車両ソフトウェアプラットフォーム、自動運転スタックなどの先端技術は、次世代車両の開発・生産プロセスに導入することで、市場投入までの期間を大幅に短縮できるとされる。

 いすゞは、今年4月に発表した中期経営計画「ISUZU Transformation – Growth to 2030(IX)」において、「自動運転ソリューション」を新事業の3つの柱の1つとして掲げ、2027年度中を目標に、日本および北米を起点に自動運転レベル4技術を用いたトラック・バス事業の開始を目指すとしている。

 こうした背景のもと、アライアンス戦略も積極的に進めており、直近では2023年12月にAI技術を活用して自動運転などの安全性をシミュレーションする技術を持つイスラエルのForetellix(フォアテリスク)、今年3月にオープンソースの自動運転ソフトウェアや自動運転バスを開発しているティアフォー(日本)、同5月に北米のミドルマイル(流通センターや配送センター間をつなぐ中距離・中間物流)で自動運転物流サービスを提供するアメリカのGatik(ガティック)と資本業務提携を発表した。

 今回のアプライドとの提携では、日本の幹線輸送向けのレベル4自動運転トラックの開発を加速させ、2026年度には、いすゞが規定するODD(運行設計領域=安全に運行できる特定の条件や環境)のもとでモニター実証を予定している。

代表者のコメント

いすゞのF-Seriesトラックをベースに、自動運転技術開発用に試作したデータ収集車

いすゞ 社長COO 南真介
今回のアプライド・インテュイションとの提携は、自動運転技術開発を飛躍的に前進させることにつながり、2027年度中に自動運転レベル4のトラック事業を開始するいすゞの計画は盤石かつ確実なものとなったと考えます。また、アプライド・インテュイションの先進技術はいすゞが「IX」(中計)で掲げた「新技術でお客さまと社会の課題を解決する新事業に挑戦」を実現していくうえで、強力な原動力になることを確信しています。

アプライド・インテュイション共同創設者兼CEO Qasar Younis
アプライド・インテュイションは自動車メーカーのお客さまが次世代技術を車両に導入できるよう支援する事業を行っています。今回のケースでは、いすゞと協力して商業トラック向けの自動運転を推進しています。アプライド・インテュイションがエコシステム内の他の企業と異なるのは、我々のお客さまが成功しなければ当社も成功しないという点です。そのため、世界最大のトラックメーカーの1社であるいすゞが商業トラックのニーズを解決すると同時に社内の能力を開発するサポートができることを楽しみにしています。

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