カーオーディオ愛好家から一目置かれるハイエンド機や定番モデルを毎回1つずつ取り上げ、それらが“逸品”たり得ている理由を紐解いている当シリーズ。今回は、国産ブランド・カロッツェリアが擁するスペシャル・パワードサブウーファーにスポットを当てる。

◆2013年の登場以来、ロングセラーを続ける異色のパワードサブウーファー!

カロッツェリアは長きにわたり、日本国内のカーオーディオシーンをリードしてきたブランドの1つだ。各種メインユニットやスピーカー類そして外部パワーアンプに至るまで、エントリー機からハイエンド機までを幅広く展開し続けてきた。

そしてサブウーファーもパワードモデルからボックスタイプ、単体ユニットまで多彩にラインナップしているが、その中で異彩を放つスペシャル機が2つある。1つが『TS-WH1000A』で、もう1つが『TS-WH500A』(ともにオープン価格)だ。ちなみにこれらが世に出たのは、前者が2013年夏で後者が2014年冬。後者は前者の弟機としてリリースされた。なお前者の登場からはもう11年が経っている。それ以来両機はともに、ロングセラーを継続してきた。

さてこれらがスペシャルであるその心は、振動板の駆動方式にある。小型・薄型のパワードサブウーファーも普通は、スピーカーとしての仕組みは他のスピーカーと同様だ。振動板を前後にストロークさせて空気を震わせて音を伝える。

カロッツェリア・TS-WH1000A

◆ボイスコイルを“寝かす”ことで、図抜けた薄さと“両面駆動”を実現!

カロッツェリアのこれら2機種も、振動板を前後に動かすことは同様だ。しかし、その動かし方に違いがある。

これら2機種には、特別な駆動方式である「HVT方式」が採用されている。当方式では振動板を動かす原動力となるボイスコイルが横向きに設置されていて、その横向きのパワーを縦方向へと変換する仕組みが盛り込まれている。

そしてその方式により「両面駆動」が実現されている。表面と裏面の両方を同時に動かせるのだ。かつ、超薄型化も成し遂げられた。ボイスコイルが寝ているがゆえに、筐体の厚みを最小限にとどめることができている。

その薄さは、『TS-WH1000A』でわずか45mm、『TS-WH500A』でも60mmにとどめられている。

カロッツェリア・TS-WH500A

◆フロントスピーカーが鳴らし切れない超低音を、確実かつ自然に再生!

ちなみに『TS-WH1000A』の方が薄いが、振動板の面積は大きく筐体面積も大きい(360mm×270mm)。一方『TS-WH500A』の方が厚みはあるが振動板面積はより小さく、筐体サイズも340mm×250mmと小さめだ。

なお両機とも低音は本体の側面から放出されるので、低音の音圧を感じにくい。結果どこから低音が放たれているのかが分かりにくくもなるので、その低音がフロントスピーカーのサウンドと繫がりやすい。

つまりサブウーファーというとその音圧も楽しみどころの1つともなるが、これらではその楽しさは味いにくい。しかしローエンドまでの超低音をしっかり鳴らせるので、フロントスピーカーが鳴らせない帯域の再生補完はばっちり行える。自然な鳴り方で、超低音をリアルに再生してくれる。

音にこだわった「小型・薄型のパワードサブウーファー」に興味があれば、これら2機のチェックは欠かせない。要注目。

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