「中古で遊べるスポーツカー」が減ってきているここ数年は、ライトウェイトなエントリースポーツカーでも、相場が高騰してきている。そんな中比較的新しめで尚且つ、値段もそこまで高騰しきっていないクルマを発見してしまった!? そこで今回は、トヨタのミドシップスポーツ、MR-Sに注目したい。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部
■そもそもMR-Sってナ二!?
MR-Sは1999年に登場した。先代モデルとなるMR2は、ターボグレードもあり、ややボディサイズも大きく、一定の速さとGTカー的要素を求めたモデルであった。
そんなMR2と比べるとMR-Sは大きくコンセプトを変えて登場した。
1トンを切る車重(グレードによる)に、MR2ではカタログモデルに存在しなかったオープンボディ、さほどパワフルではないエンジン、と速さよりも運転の楽しさを求めたライトウェイトスポーツ志向に方向性を変えたのだ。
この背景にはマツダロードスターの世界的ヒットがある。今まで自動車メーカーの参入が少なかった2シーターオープンという市場に、マツダが「安価で日常性のあるロードスター」を投入したことで、世界的なヒットを記録。
これに世界の自動車メーカーが「この市場に需要がある!」と気が付き、様々なオープン2シーターが登場した。MR-Sもその流れで登場した1台と言える。
価格帯や国産のリーズナブルなモデルと共通点も多く、当時は2代目となるNB型ロードスターと、MR-Sはよく比べられていた。
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■気になる現在の中古の価格帯
そんなMR-Sは現在中古相場の平均価格が115万円となっている。対して、ライバルとされることが多いNBロードスターは99万円ほどだ。これだと高いと感じるかもしれないが、50万円近辺から狙える個体もある。
この辺りの価格感は正直NBロードスターも同じなので、購入価格に関する上下はMR-SもNBロードスターもさして大差がないと言えるだろう。
それぞれの状態などあると思うが、現在の各モデルの中古相場を考えれば、MR-SとNBロードスター、どちらもリーズナブル狙うことが出来る後輪駆動スポーツモデルと言える。
気を付けたいのはトランスミッションだ。当時MR-Sには2ペダルMTのシーケンシャル仕様があったが、これが壊れやすいとも聞く。なので、中古で購入する時はMTの固体を探したいところだ。
また、幌に難がある個体も多いだろう。最近張り替えたばかりの固体ならば、後々かかるコストが安く済むはずだ。ハードトップが付いていたらなお買いだ。もう中古のハードトップもなかなか出物がなく、高価になってしまっている。
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■やっぱり比べちゃうよね…NBロードスターとの違いは!?
何かとNBロードスターと比べられてしまうMR-Sだが、比べた場合のMR-Sの長所と短所はどこにあるのだろうか?
まず、短所は利便性とパーツの豊富さだ。どちらも2シーターオープンで利便性は低い類のクルマだが、NBロードスターはFRであるため独立したトランクがある。
MR-Sはミドシップでトランクスペースがないため、荷物の積載スペースは少ない。先代となるMR2ではリアオーバーバング部にトランクがあったが、全長がコンパクトで短くなったMR-Sではトランクは無くなってしまった。
また、ロードスターは初代NAも含めて、世界的ヒットモデルであるためパーツが豊富だ。これはアフターに限った話ではなく、ネットオークションでの中古パーツも含む。そのためあらゆるシーンでパーツコストをリーズナブルに抑えることが出来るだろう。
また、パーツコストという意味ではタイヤもロードスターの方が安く済む。MR-Sはミドシップであるためリアのタイヤサイズが大きく、前後でのローテーションが出来ない。ロードスターはFRであるため前後同サイズが基本で、前後でのタイヤローテーションが可能だ。
しかし、MR-SがNBロードスターに勝る部分がある。それは軽さチューニングした先の速さだ。全体的にNBロードスターの方がやや重たいが、これはローパワーのこのクラスならもろに速さに直結する。
そして、サーキット走行に向けてハイグリップなタイヤやハードなサスペンション、機械式LSDなどを装備するとMR-Sの方が速いことが多い。
これは、根本的な軽さはもちろん、ミドシップというコーナーリングとトラクションに優れた駆動レイアウトが大きく影響している。
チューニングとテクニック次第では、ミニサーキットでクラス上のモデルを凌駕することも可能だ。サーキットで同じターゲットタイムを狙うのであれば、MR-Sの方が、トータルで見れば安く済むだろう。
安くて、速くなる可能性を秘めた中古スポーツモデルが欲しい人は、MR-Sを検討してみるのは大いにアリだと言える。
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