トイレを借りに入るだけでも楽しい「道の駅」。基本的にマイカー向けの施設ではあるものの、公共交通機関のアクセス手段だって最低限あるのでは?……実際どうなのか、全国道の駅の公共交通カバー率を調べてみようと考えた話の第2回目。
文・写真:中山修一
(高知県内・道の駅の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■高知県の「道の駅」事情やいかに!?
2024年8月現在、全国に1,221カ所(駅)もの道の駅が登録されている。さすがに1回ではまとめ切れないため、都道府県別に分けて地道にリサーチしていくつもりだ。第1回目の愛知県に続き、今回は四国・高知県にある道の駅を見てみよう。
高知県には現在のところ、今後オープン予定の施設を含めると、合わせて26駅の道の駅がある。具体的な名称を以下に記すと……
(1)大杉、(2)すくも、(3)大月、(4)四万十大正、(5)ゆすはら、(6)南国風良里、(7)美良布、(8)布施ヶ坂、(9)キラメッセ室戸、(10)土佐和紙工芸村
(11)土佐さめうら、(12)大山、(13)かわうその里すさき、(14)あぐり窪川、(15)木の香、(16)めじかの里土佐清水、(17)やす、(18)633美の里、(19)田野駅屋、(20)ビオスおおがた
(21)四万十とおわ、(22)なぶら土佐佐賀、(23)よって西土佐、(24)なかとさ、(25)まきのさんの道の駅・佐川、(26)東洋町 ※現・海の駅東洋町。道の駅はR6年度オープン予定
……の内訳になる。
■とてもスッキリ(?)な高知県道の駅の公共交通機関カバー率
これを踏まえて、それぞれの道の駅の近くに電車の駅やバス停・その他公共交通機関の乗り場が置かれているかをマップで確認。
道の駅施設から実距離で周辺およそ300mの範囲を「最寄」に見立てて、それより遠い場所はアクセス手段の対象外とした。結果には上記の道の駅に割り振った番号に、最寄の駅もしくはバス停の名称を記してある。
【電車あり】2/26駅 7.7%
(17)夜須駅、(19)田野駅
※どちらも土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線(非電化)の駅
【バスあり】26/26駅 100%
(1)大杉登り口、(2)鹿崎、(3)ふれあいパーク大月、(4)道の駅、(5)太郎川公園前、(6)左右山北、(7)美良布ほか、(8)布施ヶ坂公園ほか、(9)キラメッセ室戸、(10)岩村
(11)三島桂月通、(12)河野、(13)中村分岐、(14)平串橋、(15)桑瀬学校前、(16)三崎道の駅前、(17)夜須駅ほか、(18)木の瀬第二、(19)田野駅ほか、(20)鞭-ぶち-
(21)道の駅とおわ、(22)中角、(23)江川崎ふるさと市ほか、(24)道の駅なかとさ、(25)まきのさんの道の駅・佐川、(26)海の駅東洋町
【公共交通なし】0/26駅 0%
なんと、高知県内の道の駅における公共交通(バスの)カバー率は100%!! ここでは運行ダイヤまでは考慮していないので、実際バスで行くのは難しい場所もありそうな気がしなくもないが、近隣バス停の有無だけの話であれば、堂々たるキレイな結果が出た。
■1カ所選んで行ってみる
リサーチ対象にした都道府県の道の駅に、1カ所くらいは公共交通機関で訪問してみたい……そう思って高知県にある道の駅から1つ選んで、行ってみることにした。
今回選んだのは(7)美良布。高知を境にしてやや東寄り、標高1,770mの白髪山を源流に持つ、高知県第3の河川と言われる延長71kmの物部川が付近に流れる、香美市香北町にある道の駅だ。読みは「びらふ」。
道の駅としての登録は1993年4月22日。全国103カ所が登録された第1回目のグループに含まれ、道の駅が広まり始めたごく初期から営業している場所の一つだ。
■路線バスでスイスイ
道の駅美良布の最寄バス停は2カ所。一つはJR四国バス大栃線と香美市営バスの「美良布」、もう一つは市営バスの「大宮前」。
道の駅はこれらバス停の間にあり、後者のほうが道の駅に少し近いが、前者約170m・後者110mと、どちらも徒歩圏内だ。
大栃線のバスはJR土讃線の土佐山田駅から出ている。日中1〜2時間に1本のペースで、時刻表の事前確認をしておくのが安心ながらも、そう難しく考えずに利用できるダイヤ設定とでも言おうか。
訪問当日は直行せず、大栃線の途中バス停で下車して泊まった翌朝に、バスの終点である美良布まで向かった。延長11kmほどの短めな路線で、土佐山田駅〜美良布間を通しで乗っても22分くらいだ。
美良布には「やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」があり、そちらへのアクセス手段にもなっている。
前日夕方とその翌朝のバス車内は空いていて、夏休み期間中だったのもあり、お子さん連れがメインのイメージだった。
■地元に根差した道の駅
同地の主要道路である国道195号線沿いの美良布バス停で下車して、ちょっと歩けば対向車線側に道の駅が見えてくる。道の駅でおなじみ物販コーナーのほか、レストランや健康センターなどが併設された複合施設の様相。
さすが30年以上の歴史を持つ道の駅だけに、地元に根差した地域密着型の道の駅といった雰囲気があり、お土産品だけでなくお惣菜や日常の食材も扱う物販コーナーを見ていると、知らない土地のスーパーに入ったときの楽しさに通ずるものを感じた。
9:53に美良布着の大栃線で来ると、折り返しの土佐山田行きは3分後に出てしまうので1本見送り、その次の帰り便の出発は10:56。さらに見送ると次が12:46といった具合。周辺を見て回るには十分な時間が作れる。
高知県の道の駅・美良布と公共交通機関の相性は悪くない印象であった。次はどこの都道府県を選びつつ、どの道の駅へ行ってみるかな……バスで。
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