RVブーム全盛の90年代は各社がRV車をラインアップしていたが、日産は手持ちが少なく欧州モデルを日本に持ってきたのだ。これがライバル車とはかなり雰囲気で、色々手を尽くすも残念な結果に……。でも実際はどうだったのか!? というお話。
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■アルファロメオ155と同じデザイン事務所!? 結構力入ってたのよ
90年代に巻き起こったRVブーム。これは現在でいうところのミニバンやステーションワゴン、SUVといったレジャーに供するためにピッタリの車種を総称したもので、中でもSUVについてはパジェロやビッグホーンが先陣を切り、圧倒的な人気を誇っていた。
そうなると他のメーカーもSUVのラインナップを拡充するために車種を増やしてくるのは当然で、日産も当時のサファリとテラノに次ぐSUVとしてミストラルというモデルを1994年に投入したのである。
このミストラルは元々欧州市場向けに開発され、1993年に販売を開始していたテラノIIというモデルを日本向けに手直ししたもので、デザインはイタリアのデザイン会社、I.DE.Aが手掛けたもの。
I.DE.Aと言えばアルファロメオ155や初代のダイハツ ムーヴのデザインを手掛けたことでも知られており、ミストラルも他の日本で販売されていた日産車とは異なる欧州テイストのデザインを纏っていた。
またプラットフォームはテラノと共通のラダーフレームであったが、セッティングは欧州の路面や走り方に合わせたものとなっており、高い直進安定性や速度が上がるにつれてフラット感の増すフィーリングなど、こちらも欧州テイストとなっていたのだ。
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■今流行の3列SUV!! 3ドアもオーバーフェンダー仕様もあったのよ
そしてテラノとの最も大きな違いとなるのが、7人乗りが可能な3列シート車という点で、多人数乗車が可能というのも欧州生まれを感じさせる特徴となっていた。
1996年2月には新たに2ドア5人乗りを追加し、パーソナルかつスポーティなグレードとして、オーテックが手掛けるエアロパーツを備えた特別仕様車も設定。
しかし欧州生まれのプレーンなデザインが災いしたのか、日本仕様はオーバーフェンダーやグリルガード、大型サイドステップなどを追加していたにもかかわらず販売は低迷気味となり、1997年1月に丸型ヘッドライトに換装するも好転することなく、翌年夏には日本向けモデルの生産を終了することとなった。
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■ガソリンモデル国内導入ならきっと今頃……
現在は言わずと知れたクロスオーバーSUVブームであり、90年代のモデルにも再びスポットライトが当たって人気となっているが、ミストラルを見かける機会はあまり高くない。
というのも日本に導入されたミストラルは全車が2.7Lのディーゼルターボエンジンとなっており、首都圏を含む対策地域では登録ができないということも影響しているのは間違いない。
本家のテラノIIには2.4Lのガソリンモデルも存在しており、ディーゼルモデルも7人乗りモデルでも300万円を切る価格ではあったものの、ガソリンモデルも導入されていたらもしかしたらもう少し違う結果になっていたかもしれない。
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