最近の路線バスはノンステップ車が主流だが、そのために車内前方の座席位置はタイヤハウスの上にある高い場所か床面に設置している低い位置で極端だ。さて、バスが大好きなバスマニアはどこに座り何を見ているのだろうか。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■いわゆる「かぶりつき」
最前列左側の席はタイヤハウスの上にあるので床面からかなり高い位置にある。イメージとしてはよじ登るような形で座る。増すマニアに限らず子供でもこの座席が好きな人は多い。
理由は第一に前方が見えやすく、展望が良いからに他ならない。最近のバスはこの座席がない仕様もあり、残念がるバスマニアもいるが、とにかく見晴らしがよいことだけは確かだ。
一般的にはこの座席は前方を見るのが基本中の基本だろうが、バスマニアのタイプによって違うところを見ているようだ。それはバスのどこに興味があるのかにより変わる。
■運転を見る!
大型免許を持っているか否かにかかわらず、バスの運転に興味があるマニアはやはり運転士の運転技術を見たいので、ハンドルさばきやバスの挙動を見ているようだ。前輪が運転席よりも後ろにある大型バスは乗用車のようなハンドルさばきとは若干異なるので、そのあたりを見たいマニアは運転士を見ている。
また、最近では少なくなってきたが、マニュアルトランスミッション車の場合は、どのタイミングでシフトレバーを3速に入れるのか(バスは2速で発進する)、その後シフトアップしていくのかを見ているマニアもいるだろう。
■仕事を見る!
また、運転士の仕事に興味があるマニアは、運転士の挙動全体を見ているのかもしれない。様々な機器の取り扱いや乗客とのやり取りを見ている場合もあるだろう。
このように、前方に座るマニアは景色だけではなく、それぞれの「専門分野」に応じて見ているところが違う。鉄道マニアと同様に「かぶりつき」席でただ前方を見ている場合もあるが、同時に多くの情報を得て新しい発見に期待しながら楽しく乗っているのだ。
■最後尾1つ前の座席
ノンステップバスでも後方座席はエンジンが置かれている関係で、ボルグレンのような一部の輸入車を除いては数段高くなっている場合がほとんどだ。この場合は空いていれば最後尾座席またはその1つ前に座るマニアも多い。
まずは最後尾の1つ前の席だが生粋のマニアによると、この位置の座席は最後尾がもう1段高いこともあり、背もたれが高くなっており体を預けやすいようだ。
また右側に非常口扉があることから若干だが足元が広く、タイヤハウスはさらに前の座席にあるので窮屈さがさほどない。よって長時間の乗車ではこの位置がいいそうだ。
■最後尾座席
最後尾座席を好んで選択するマニアも多い。これは車内全体が見渡せるほか、最も高い位置の座席であるため最前列ほどではないにしろ、車窓が楽しめるというメリットがある。
マニアでない方にとってはデメリットと取れることも多い。例えば、エンジンの真上なのでうるさいのだ。これはマニアにとってはそのまま裏返しでメリットになる。エンジンやターボが効いた音、トランスミッションの動作音がよく聞こえるからだ。
今一つのデメリットは夏にはどうしても暑いということだ。高速車のようなハイデッカー車ではそうでもないが、路線バスの場合は座席のすぐ下にウン千CCのディーゼルエンジンがあるので夏は暑い。
座席が高いのでエアコンの吹き出し口が近いということを差し引いても、車種によっては暑いのはデメリットだ。しかしマニアはそんなことは気にしない。エンジン音が聞こえることこそが重要だからだ。
■個室気分の一人席
バスの座席配列は事業者の要求に従って選択されるが、中ドアすぐ後ろは立席や乗降スペースを広く取るために一人席になっている事業者も多い。この座席はなんとなく個室気分が味わえ、運賃が均一性の前乗り後ろ降りだと、降車が素早くできるメリットもあり、マニアでなくても一般的に人気の座席だ。左1席の場合もあれば、左右に1席ずつの場合もある。
凄腕マニアは近づいてきたバスの車種と仕様を瞬時に判断して、空いていればどの座席を狙うのかの優先順位を到着してドアが開く前に判断している。
マニア度の大小はあるものの、たかが路線バスだが快適に乗れるすべを知っているバスマニアも多いので、困ったときにはお近くのバスマニアにお気軽にお問い合わせを。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。