万一の事故に備えて、やはり加入しておきたいのが任意保険。とはいえ決して安くはない保険料を考えた場合、「必要ないのでは?」とも思ってしまうのが「車両保険」だ。さらに、損害保険大手4社が2025年1月から自動車保険料を3.5~5%程度引き上げる方針という衝撃のニュースも!! そこで今回は、車両保険の特徴やメリット・デメリットとは?

文/井澤利昭、写真/写真AC

■「車両保険」は愛車を守るための保険

死亡事故の加害者ともなれば、その賠償額が“億”を超えるケースも少なくない現代では、ドライバーにとって自動車保険=任意保険への加入は必須だ

 街中を走るすべてのクルマに加入が義務づけられ、一般的に“強制保険”などとも呼ばれている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)に加えて、万一の事故の際により充実した補償を受けるため、多くのドライバーが加入しているのが保険会社などから提供されている自動車保険=任意保険だ。

 任意保険には、自動車事故によって人を死亡またはケガをさせてしまった場合の損害賠償を補償する「対人賠償保険」や、電柱やガードレールといった“物”に対する補償に使える「対物賠償保険」。

 また、事故による自身や同乗者のケガの治療費などを保証する「人身傷害保険」といったさまざまな種類があるが、なかでも加入するかどうか悩みどころとなるのが「車両保険」だろう。

 「車両保険」はその名称からもわかるとおり、事故などによって壊れてしまった、自身の愛車の修理費などをサポートしてくれる保険。

 万一の際には心強いいっぽうで、保険料が大幅に高くなってしまうこともあり、年齢や等級、免許証の種類によって違いはあるものの、場合によっては「車両保険」なしのプランと比較して2倍近くの差が出ることも。

 見積りで出たあまりに大きい保険料の差に「いっそこの差額を修理費として貯金しておいたほうがいいのでは?」とも考える人がいてもおかしくはないだろう。

■自分のミスによる破損も補償してくれる「車両保険」

 任意保険は保険料ばかりに目がいってしまいがちではあるが、契約の前にはあらかじめその内容をきちんと把握しておくことが重要。

 「車両保険」に関しても、どういったケースで補償されるのかを十分に知っておく必要がある。

 まず分かりやすいのが、自動車同士での事故でクルマが損傷した場合だ。

 このケースでは相手側に過失がある場合、そちらの対物賠償保険から補償がされるが、その金額は過失割合などよって減額されることもあり、実際の損害に対して十分な賠償額を得られない可能性がある。

 こんな時でも「車両保険」に加入していれば、足りないぶんの補償を受け取ることができる。

 ここでポイントとなるのが、「車両保険」は自分の過失による事故に対しても補償がされるという点。

 つまりクルマ同士の事故はもちろん、ハンドル操作を誤ってガードレールや電柱にぶつけた場合や、ガレージへの車庫入れなどでボディを擦ったといった自損事故の補償にも使えるということ。

 運転に自信がないという人にとっては何かと心強いのが、「車両保険」というワケだ。

■自然災害や盗難による被害もサポート

 「車両保険」加入のもうひとつのメリットが、自然災害による損害やクルマの盗難に対しても補償がされる点。

 台風による大雨や近年その被害が増えてきているゲリラ豪雨、洪水などによる水没や、火災などによってクルマが壊れてしまった場合も保険金を受け取ることができる。

 また、当て逃げによる破損など事故の相手がわからないケースやクルマの盗難などに加え、飛び石などによる窓ガラスへのキズといった細かなケースにも対応してくれるのは「車両保険」の大きなメリット。

 補償される範囲や内容については保険会社や加入しているプランによって異なるものの、こういった“他者から損害賠償を得ることが難しいトラブル”にも、「車両保険」に加入しておけば、ある程度は安心できるということだ。

■「車両保険」が必要なケースと不要なケース

中古車や年式の高い古いクルマといった時価相当額が低い車両では、補償時に支払われる金額が少なく、事故の際の修理費が全額サポートされないことも。このように愛車の状態によっては「車両保険」がマッチしないケースも考えられる

 補償内容自体が魅力的なことは間違いない「車両保険」ではあるものの、前述のとおりネックとなるのが、どうしても高額になりがちな保険料だ。

 それだけに加入時には、まず自分の愛車に高額な「車両保険」が本当に必要かどうかを十分吟味する必要がある。

 例えばローン残高がまだまだ残っている新車の場合、万一の事故によって全損となってしまえば、クルマの再購入費に加えてローンの返済も必要となるため「車両保険」に加入しておいたほうが安心できる。

 高級車や輸入車など、高額なクルマに乗っている人も同様で、事故の際に掛かる修理費を考えれば、「車両保険」加入のメリットは大きいはず。

 いっぽう高年式の古いクルマなどは、補償時の時価相当額が低いことから支払われる保険金も安くなってしまうため、「車両保険」加入のメリットは小さい。

 「車両保険」では契約時に補償時の上限額を設定するため、修理の金額がそれを上回った場合は全額補償とならない事がある。

 上限額はクルマの時価相当額をもとに決められるため、愛車の状態によっては「車両保険」がマッチしないことも考えられる。

 また、愛車の修理に保険を必要としないほど十分な蓄えがある、という人も、「車両保険」加入のメリットは少ないだろう。

 愛車や自分の経済状況など鑑みて考えれば、「車両保険」が本当に必要かどうかが見えてくるはずだ。

■「車両保険」の保険料を少しでも安くするには?

 高額な保険料がネックとなる「車両保険」だが、加入時の契約によってはある程度金額を抑えることができる可能性もあるため、あきらめずに検討してみよう。

 その方法としてはまず考えられるのが、事故などの際の補償範囲を狭めることで保険料が安く設定されている「限定タイプ」や「エコノミータイプ」などと呼ばれている「車両保険」を選ぶこと。

 クルマ同士に衝突や自然災害によるクルマの破損、自損事故、当て逃げなど、補償範囲が広い「フルカバータイプ」や「一般型」と呼ばれる「車両保険」と比較し、「エコノミータイプ」では、保険会社によって異なるものの、自損事故や、原付・自転車などとの接触、当て逃げなどの際の事故の場合は保険金が支払われない。

 こうした点を割り切ることができるのであれば、「エコノミータイプ」の「車両保険」を選択することで、数万円程度は保険料を節約できるはずだ。

 また、「車両保険」に「免責金額」を設定しておくのも保険料を安くできる方法のひとつ。

 ご存じの方も多いかと思うが「免責金額」とは、事故などで発生した損害額のうち“ここまでは自分で負担する”という金額のこと。

 「車両保険」の「免責金額」を10万円に設定している場合はそのぶんが自己負担となるため、仮にクルマの修理費に50万円がかかるケースでは、保険金はその差額である40万円しか支払われない。

 こちらも保険会社によって異なるものの、この「免責金額」を多めに設定しておけばそのぶん、保険料も安くなる可能性がある。

 自動車保険の保険料は、「車両保険」の有無だけではなく、等級や年齢、免許証の種類によって大きく変わってくる。

 「車両保険」も含めて自分にどんな補償が必要なのかと、無理なく支払える保険料とのバランスをよく考え、最適なプランを見つけたいものだ。

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