排気系チューンの代表格といえばマフラー交換。排気音を小さくするためにサイレンサーの内部で排ガスを何度も折り返したり、小さな通路を通している。それによって音は小さくなるが排気抵抗になり、エンジンパワーのダウンにつながっている。

そこでマフラーを排気効率の良いものにすることで、抵抗を少なくしてパワーアップさせるのがマフラー交換の狙い。スムーズに燃焼室から排ガスが抜けるようにすることで、燃焼室への充填効率を高めてエンジンパワーを引き出すことができるのだ。

◆マフラー交換をすることで走りが変わるのはなぜ?

エンジンから出た排ガスが、マフラーに行く前に通るのが触媒(キャタライザー)である。実はマフラーに行く前に排ガスにはこの触媒で大きな抵抗を与えられている。

触媒は排ガスを浄化する機能を持つ。そのためレアメタルなどが配合されたセルと呼ばれる目の細かいフィルターが備えられている。ここを通過するときに排ガスが浄化されていく。このフィルターを通過するときに大きな抵抗になるのだ。

触媒が効率よく排ガスを浄化するためにある程度高い温度になる必要がある。最近の排ガス規制ではエンジン始動直後から排ガスが綺麗でなければならない。そのため昔のクルマは原下と呼ばれるフロアの真ん中あたりに触媒が取り付けられていたことが多いが、最近のクルマはできるだけエンジンに近いところに取り付けられている。

そのため昔のレイアウトよりも、もっとエンジンパワーに大きな影響を持っている。すなわちエンジンから排ガスが出てきて、すぐのところに大きな抵抗になるものがあるので、この抵抗を減らしてあげれば、効率を大幅にアップすることができる。そういった考えから生まれたのがスポーツ触媒だ。

◆マフラーの注目ポイントは“触媒”のフィルターが重要

このスポーツ触媒は純正に比べてより効率の良いフィルターを採用。そのため純正触媒に対して目を荒くすることができる。フィルターの目を荒くすると言う事は、それだけ排気抵抗になりにくく、パワーやレスポンスアップに効果を発揮するのだ。

とはいえ、何十馬力もパワーアップするかと言うと現実的にそれは難しい。排気効率がアップするといえ、現在のクルマはかなり高次元でパワーを引き出されているので、そこから大幅なパワーアップは難しい。

だがアクセルレスポンスは格段に良くなる。アクセルを踏み込んだときに、エンジンが素早く反応することで よりレスポンス強く、加速力を手に入れることができる。車線変更の時や前のクルマと距離が離れたときに、アクセルを踏むとスッと前に進んでくれる。

このアクセルレスポンスの良さは、思った通りにクルマを動かせるようになり、クルマ自体が軽く感じられるほどの効果を持つ。アクセルレスポンスが良くなると、コーナリング中にアクセルをパーシャル(加速も減速もしない領域)まで踏んで姿勢を安定させたり、そこからアクセルを踏み込んで加速姿勢に移して、クルマ全体を曲げて行ったりできる。

「細かなアクセルペダルによる姿勢コントロールがしやすい」。これは思った以上大きな効果があり、クルマを意のままに操るのに大きな効果を発揮する。

もちろんマフラーでも同様の効果があるのだが、よりエンジンに近い排ガスが出てきて、すぐのある場所にある。排気抵抗を減らすことで大きな効果を発揮する。マフラーよりも、触媒の方がアクセルレスポンス向上の度合いが大きいのだ。

◆レスポンスアップをさせつつ音量は静かなまま乗る

最近多いのはこのスポーツ触媒でレスポンスアップをさせつつ、ノーマルマフラーを組み合わせて音量は静かなまま乗ると言う手法。エンジンに近いスポーツ触媒は大きな効果を発揮するので、マフラーがノーマルになってもアクセルレスポンスの良さや多少のパワーアップは、十分に体感できる。

逆に純正触媒のままマフラーのみをアフターパーツに交換する。これはこれまでよくあるチューニングの手だが、やはりエンジンに近い分触媒交換の方が大きな効果を発揮しやすい。どうせやるならオススメはスポーツ触媒にノーマルマフラーを組み合わせて音量を抑えるパターンだ。人によっては家族にスポーツ触媒導入を黙ったままという人も多い。マフラーはノーマルなので、排気音量自体はほとんど変わらず気づかない人も多いのだ。

スポーツ触媒はきちんとしたチューニングパーツメーカーから発売されているものを使えば、車検も安心。パーツメーカーから発行されている書類を一緒に提出すれば、車検は問題なくすることができる。こうしたデメリットが少なく、リターンが大きいのがスポーツ触媒チューンなのだ。

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