人気モデルをSUV風に仕立てることは、昨今のクルマの流行。軽自動車やコンパクトカーに多い手法だが、2024年4月には、トヨタの「クラウンクロスオーバー」に、SUVテイストを強めた特別仕様車「RS LANDSCAPE(ランドスケープ)」が登場し、話題となったことを考えれば、ミドルクラス以上でも需要があるようにも思う。

 ではたとえば、トヨタの爆売れモデル「アルファード」をSUV仕様に仕立てたらどうなるのか。「アルファードクロス(仮)」について考えてみた。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA、MITSUBISHI

エクステリアは、ランクル250のようなデザインテイストで!!

 真っ先に気になるエクステリアデザインについては、オフロードも似合うけど高級感もあるデザインに仕立てたい。冒頭で触れた、クラウンクロスオーバーRS ランドスケープのほか、ランクル250のようなデザインテイストを盛り込むのがいいように思う。ランドローバーの「ディフェンダー」のようなスタイルを目指すのもいいだろう。

 樹脂製フェンダーガードやマッドガード、前後バンパープロテクター、ルーフレール、掘りの深いホイールなどのほか、背面にはラダーがあるのもいいかもしれない。

2024年4月に登場した、クラウンクロスオーバーの特別仕様車「RS ランドスケープ」。違和感のある姿が、逆にカッコよくみえる
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中身は「デリカD:5」をお手本に

 そして中身については、三菱「デリカD:5」をお手本にしたい。デリカD:5は、エンジンはガソリンとディーゼルの2種類で、駆動方式は4WDのみ。ボディサイズは全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mmと、アルファード(4995×1850×1935)よりはひと回り小さいが、両側スライドドアと広くて快適な車内が魅力のモデルだ。

 オンロード・オフロードを問わず高い走破性をもち、たっぷりとしたサスペンションストロークによって、多少の荒れた道でも突き上げが少ない、ゆったりとした乗り味をもつ。そのため、加速時やブレーキングでのピッチングや、コーナー走行時のロールといったボディモーションは大き目に出てしまうが、ゆったりとした乗り味があるからこそ、安心してオフロードを走ることができる。

 アルファードクロス(仮)もデリカD:5のようなたっぷりしたサスペンションストロークは必須であり、まずは最低地上高を確保したいところ。デリカD:5の最低地上高は185mm、アルファードは150mmなので、プラス30~40mmほど必要だが、クラウンクロスオーバーRS ランドスケープのように、1サイズ大きくしたオールテレインタイヤを装着すれば、タイヤ外径で15~20mmほど車高アップでき、スプリング長で姿勢を20mm車高アップすれば、だいたい40mm上げることができると思う。

デリカD5の乗り心地は、多少の荒れた道でも突き上げが少なくゆったりとしている。これは、たっぷりとしたサスペンションストロークのおかげだ

ただ、ユーザーによってはミニバンとしての使い勝手は多少劣り、アルファードの快適な乗り味も大きく変わる可能性が

 高い車高と派手なデザインのアルファードクロスは、アルファードよりも見晴らしが良く、ライバルミニバンを眼下に見下ろすようになるだろう。アルファードでは行く気にならなかった野山にも、(本当にいくかは別として)アルファードクロスならば行こうかと思える、そんな開放的な気分にさせてくれるはずだ。

 ただ、従来のアルファードよりもさらに車高が高くなるため、乗り込みはしづらくなる。背の低い人や子供、ご老人などは乗り込みがしづらくなるため、ミニバンとしての魅力は少し劣ってしまうかもしれない。リフトアップしたサスペンションによって、揺れが増して酔いやすくなることも懸念される。重心高が変わったり、足回りをいじってロールセンターが変わることで、快適なアルファードの乗り味が大きく変わってしまうリスクもある。

 また、全高2mを超えるので、駐車場所にも気を使うことになる。ルーフレールまで付けたら相当な高さになり、屋内駐車場の制限に引っかかる可能性も出てくる。

低い車高を前提に設計してきたアルファードの快適な乗り味は、リフトアップによって大きく変わってしまう可能性がある

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 東京オートサロンなどでは、アルファードのリフトアップやカンガルーバーを装着したモデルを見かけるが、やはり、デカくて背の高いクルマは、迫力があってカッコいい。ランクルのように、土や緑の似合うアルファードクロスが登場すれば、かなり大きな衝撃となる。ぜひ、次回のジャパンモビリティショーやオートサロンあたりで、トヨタが出展してくれることを期待したい!!

ランクルのように、土や緑の似合うアルファードクロスが登場すれば、そうとう大きなインパクトとなること間違いない

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