クルマのトラブルでは比較的ポピュラーなバッテリーの過放電、いわゆるバッテリー上がりだ。万が一の際に慌てず対処できるようにDIYでバッテリー上がりに対処できると心強いだろう。

◆バッテリー上がりは常にトラブル上位! チェック方法と対応策を覚えて備えよう

JAFの出動回数でも常に上位を占めているのがバッテリーの過放電。バッテリーはクルマのセルモーターやヘッドライト、その他の電装機器類などへの電源供給を一手に引き受けている超重要パーツだ。しかしバッテリーは消耗品でありクルマの寿命に比べると比較的頻繁に交換する必要がある。あまりクルマのメカに詳しくないユーザーが、メンテナンスフリーだと思い込んでいてトラブルを起こすことも少なくない。だからこそ出先でのトラブル=ロードサービスによる救援依頼となるわけだ。

そもそもバッテリー上がりで困る最大のポイントは、エンジンが始動できなくなってしまうことだ。バッテリーが弱っていたり、エンジン停止の状態でヘッドライトなどの電装品を付けっぱなしにしているとバッテリーの電力がどんどん減ってしまい、エンジン始動時に必要なセルモーターを回す力がなくなってしまうのだ。エンジンスタートボタンを押しても「キュルキュルキュルッ~」と勢いよくエンジンが回らず、「キュッ、カチカチ……」と詰まったような音がするのはバッテリーの電力低下が原因の場合が多い。

◆バッテリー上がりの原因を知って事前に対応しよう

バッテリーが理由でエンジン始動ができなくなる原因には大きく分けて2つある。ひとつはバッテリーの劣化だ。バッテリーの寿命は使用環境によって大きく左右されるが、2~5年程度が交換の目安とされている。アイドリングストップなどを利用したり、短距離のエンジン始動/停止を繰り返す場合などバッテリーに十分な充電ができないケースは寿命を短くする可能性もある。

もうひとつの原因は電力を使いすぎた場合だ。分かりやすいケースは高速道路のパーキングなどにクルマを停めて、うっかりヘッドライトを付けたままエンジンを停止したり、エンジンを停止した状態で他の電装品を長時間使った場合などがある。バッテリーはエンジンを掛けていれば充電しながら電力を消費するのでバッテリー上がりの心配は無いのだが、エンジンを停止していると思いの外、消耗が早いことを知っておこう(劣化が進んだバッテリーはなおさら)。セルモーターを回すだけのバッテリー残量が残っていない状態まで電力を使ってしまうと始動不可になってしまうのだ。

そんなピンチに陥ったらどうするのか? 一番に思いつくのがJAFや自動車保険に付帯しているロードサービスを依頼して救援してもらう方法だ。しかし時期や場所によっては救援が到着するまで長い時間が掛かってしまい、その後のドライブのスケジュールがまったくこなせなくなる場合も想定される。

そこで、バッテリー上がりに備えて、あらかじめ自分でできる対処法を用意しておくと良いだろう。もっとも手軽な方法はブースターケーブルと呼ばれる、バッテリーとバッテリーを接続する電気ケーブルだ。両端に大型のワニ口クリップが付いていて、バッテリーが上がった車両と健康なクルマのバッテリーを繋いでエンジン始動する方法だ。しかし問題は救援してくれる車両を見つけなければならない点。知人や仲間のクルマと一緒にドライブしていれば問題ないが、他人にいきなりバッテリージャンプを依頼するのはハードルが高い。まわりにクルマがいない場合も想定されるだろう。

◆ポータブルバッテリーによるジャンプスタート

そこで使用するドライバーが増えているのがポータブルバッテリーによるジャンプスタートだ。近年はクルマのジャンプスタートにも対応するポータブルバッテリーが数多く売られているので、万が一を想定してクルマに積んでおくと良いだろう。スマホ用のモバイルバッテリーとして使えるものもあるのでムダ無く使えそう。

そんなポータブルバッテリーを選ぶ際には容量を気にして選ぶと良いだろう。キーワードになるのはバッテリーのCCA値だ。大きなクルマのバッテリーはCCA値も高くなる傾向にある。自分のクルマに設置されているバッテリーのCCA値をこの機会に調べてみると良いだろう(一般的な普通乗用車は300A~600AあたりのCCA値がベーシック)。その上で愛車のバッテリーのCCA値以上の能力を持ったポータブルバッテリーを選んでおこう。

さらにジャンプスタートを実施できる回数を知る指標は容量(mAh:ミリアンペアアワー)だ。例えば6000mAhとは6000mAの電流を1時間長し続けることができる容量を指す。つまり数字が大きいと電気を流し続けることができる時間も長くなるのだ。そのためエンジンが1回のジャンプスタートで掛からないときに、2度目のチャンスが欲しい場合は少しでも容量の大きいポータブルバッテリーを用意しておく方が安心だろう。

人ごとでは無くトラブルに遭遇する可能性があるバッテリー上がり、慌てずいつでもどこでも対処できるようにDIYでエンジン始動ができる環境を作っておくと良いだろう。レスキューグッズとして適当なサイズのポータブルバッテリーをクルマに積み込んで置くだけで、ドライブの安心感は一気にアップするので今すぐ準備を始めよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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