日本から遠く離れたドイツにすごいコレクションを見つけた。欧州トヨタの聖地ともいうべき、その名も「トヨタコレクション」。中でも注目は、わずか100台ほどが作られたといわれる2代目センチュリーの左ハンドル仕様。えーセンチュリーって日本専用じゃなかったの!?

文と写真:山本シンヤ

■発見場所はまさかのドイツ!

ケルンのドイツトヨタ内にある「トヨタコレクション」

 トヨタの貴重な歴代モデルを収蔵する自動車博物館と言えば、愛知県長久手市にある「トヨタ博物館」が有名だが、実は世界にも様々なトヨタ博物館が存在する。その一つが、ケルンにあるドイツトヨタの敷地内にある「トヨタコレクション」である。

 今回ニュルブルクリンクへの取材(これは別途紹介)に合わせて見学をリクエストすると、現地から「いつでもOK!!」と言う嬉しい返事が。フランクフルトに降り立った筆者はアウトバーンを飛ばしてケルンに向かった。

 そもそも、なぜドイツトヨタに博物館があるのか? 元々はドイツで最初にトヨタディーラーをオープンさせたPeter Pichertさんのプライベートコレクションだったが、2016年に逝去。その後、ドイツトヨタが彼の意志を受け継いで全車両を買い取り、現在の場所でトヨタコレクションがスタート。展示車を補完する建屋は、屋内テニスコートをリノベーションして作られたそうだ。

 ちなみに一般でも見学が可能で、料金は何と「無料」。ただし、一般公開日は限られており、毎月第1週目の土曜日の10時から14時となっている。まさに欧州トヨタファンの“聖地”となっている。

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■その展示車両も実際に走行可能!

2000GTのシートで興奮を隠せない筆者

 ドアを開けると、広い敷地の中にはトヨタコレクションの目玉である2000GTを含めた数多くのモデルたちがズラリと勢ぞろい!! 自動車博物館の多くは「名車」が中心の展示だが、ここはスターレット、カローラ、セリカ、ランドクルーザーと言った「普通のクルマ」が主役だ。

 ちなみに2019年のル・マン24時間で優勝トロフィ返還時に使われたセリカ・コンバーチブルも、トヨタコレクションの中の1台が活用された。

 どのモデルも内外装は新車に近いコンディションで実際に走行も可能だ。担当者に「動態保存のための維持は大変?」と聞いてみると、「トヨタ車なので全く心配はいらないですよ」と余裕の笑顔が印象的だった。

■アウトバーンを走ったセンチュリー!

V12を積んだ2代目センチュリーの左ハンドル仕様

 展示車の中で筆者が特に気になったモデルは、超レアな左ハンドル仕様の2代目センチュリーである。以前から「左ハンドル仕様が100台生産された」と言う話は聞いていたが、その実車がここにあるのだ。

 その多くは左ハンドル圏内の日本大使館で使用されたと聞くが、このモデルはTME(トヨタモーターヨーロッパ)が所有、当時駐在していた役員の送迎車として活躍。実際にアウトバーンも走っていたそうだが、その光景は欧州の人にはどう見えていたのか? 気になる所である。

 エクステリアはセンチュリー定番のブラック(神威=かむい)ではなくグレー(鸞鳳=らんぽう)のドアミラー仕様である事以外は日本仕様と大きな差がないが、左リアに電動アンテナの追加と横長のナンバープレートに合わせて切欠きが変更されたリアバンパーなど、日本仕様と異なる専用品が採用されている。

 インテリアは左ハンドル化されているだけでなく、エアコンやパワーウィンドウなど操作系に記載されている全ての標記が日本語から英語に変更。この変更は地味だが結構大変だったはず。ちなみにリアウィンドウに装着されたレースのカーテンは、ドイツ人にはどう見えていたのかだろうか?

■センチュリーを世界のショーファーにという夢を乗せて……

左ハンドル仕様センチュリーの運転席回り。センチュリー日本表記がすべて英語に置き換えられている

 ボンネットを開くと日本仕様と同じV12-5.0L(1GZ-FE)が搭載されているが、左ハンドル化に合わせてブレーキマスターとバッテリーの位置は左右反転。280ps/481Nmのスペックは不変だが、欧州の法規に合わせた最適化は行なわれているそうだ。トランスミッションは初期モデルのため5速AT仕様だ。

 フットワークはエアサスを含めて変更はないと言うが、アウトバーンや郊外路(100㎞/hの対面通行)でどのようなフィーリングだったのか? 機会があったらステアリングを握ってみたいものだ。

 この左ハンドル仕様のセンチュリー、当時社長だった豊田達郎氏の「世界のショーファーにしたい」と言う強い想いから開発が進められたそうだ。それからほぼ四半世紀の時を経て、現行モデルに追加されたSUVタイプの“シン”センチュリーがグローバルモデルとして登場。先陣の想いはシッカリと繋がっている……とシミジミ。

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