フロントに5つのスピーカーを使った4ウェイシステムを組んだ下沢さんのメルセデスベンツ『Eクラス』。システム的にも見どころたっぷりで、DSPアンプを使ってコンパクトにまとめているのも独特。青森県のingraphにオーダーして望みのシステムを作り上げた。

◆グローブボックスの下にDSPアンプとキャパシターを吊り下げて設置するアイデア

助手席前にあるグローブボックスの下側からのぞき込むと見えてくるのがDSPアンプ(オーディソンAFM12.14bit)。グローブボックスの下部に設置されるDSPアンプの脇にはキャパシターも取り付けられている。ケーブルも最短距離で効率も良い。 フロアの奥にはオーディオテクニカのDAC、さらには純正位置にトレードイン取り付けされたイートンのUG-MB-195Rを取り付ける。

ショップデモカーと同じスピーカー構成を愛車に取り入れた下沢さん。フロントスピーカーにはイートンCOREの3ウェイ(ミッドレンジ×2個使用)と足もとへのトレードインタイプのウーファーを設置する5つのスピーカーを使った4ウェイを構築した。

そんなヘビーなシステムのインストール上の見どころとなったのはシステムをコンパクトにまとめた点だろう。まずは、オーディソンのDSPアンプであるAFM12.14bitがすべてのスピーカーの増幅になっている点に注目。しかも、取り付け場所が助手席前にあるグローブボックスの下側への吊り下げ設置。車内スペースをスポイルすること無いデッドスペースを使ったインストールに注目だ。

またDSPアンプの脇にはBAlaboのキャパシターを設置。DSPアンプの電力供給を補い駆動力や高精細な再生を支えている。こちらも助手席グローブボックスの下部に収められている。ところで、こちらのキャパシターはシステムを構築した後に追加設置したもので、オーナー曰く「キャパシターを追加で設置したら音が大幅に引き締まって聴こえるようになりました」と狙ったサウンドを引き立てる役割を効果的に果たしていることがわかる。

さらに助手席足もとのカーペット裏側にはオーディオテクニカのDACをインストール、また足もと奥の純正ウーファーの取り付けスペースにはイートンのメルセデス純正交換タイプのウーファーユニットであるUG-MB-195Rが取り付けられている。

◆コクピットはシンプルに仕上げて操作性の良さなどの普段使いを重視する

4つのフロントスピーカーが見える姿はとにかく圧巻。しかし周辺のデザインも含めて純正イメージを崩していないのも見どころ。オーディオプレイヤーにはウォークマンのNW-WM-1AMをチョイス。高音質システムに似つかわしいDAPとなった。オーディソンのDSPアンプをコントロールするDRC AC。シンプル形状なのでセンターコンソールに取り付けても目立つことがない。

コクピットもシンプルそのもの。Aピラー&ドアまわりに集中して4つのスピーカーがインストールされているのとは対照的に、カスタム箇所もほとんど無く純正然としたスタイルを保っている。

センターコンソールにはDSPアンプとして採用しているオーディソンのAFシリーズ用のリモートコントローラーであるDRC ACをさりげなく設置する。よく見ないとその存在がわからないほど小さくてシンプルなコントローラーなのも、このクルマの内装にはフィットしている。手もとに設置したことで操作性もすこぶる良好だ。

またDAPはホルダーを使って取り付けるシンプルなスタイル。ユニットにはウォークマンのNW-WM1AM2をチョイス。普段使いでの高音質はもとより、オーディオコンペまでを視野に入れたハイエンドなシステム構成とした。ただしなるべく“軽めのシステム”にすることもオーナーの望みだったことから、各取り付け&ユニットにはその思いが反映されていることがわかる。

◆低音を担当するサブウーファーとしてモレルのユニットをトランクに設置

サブウーファーはトランクルームに設置される。ユニットにはモレルのウルティモTi804をチョイスする。エンクロージャーはトランクルームにフィットする形状で作られ、荷物の積み込みにも対応する。今後はケーブル類のグレードアップも検討中のオーナーの下沢さん。さまざまなコンペにも出場するエキスパートユーザーだ。

サブウーファーにはモレルのウルティモTi804をチョイス。エンクロジャーを組んでトランクルームに設置する。フロントの足もとにウーファーユニットを備えていることから、こちらのサブウーファーはごく低域だけを担当している。こちらでフロント4ウェイ+サブウーファーのスピーカーシステムを完成させている。

シート背面にピタリと設置できるバッフル面を持つボックスを設計。トランクルームのスポイルを最小限に抑えた構造で、背面側には荷物をしっかり積み込める仕様にしているのもオーナーの望み通り。しかしサウンド重視で再生する際にはリアシートを倒してサブウーファーの振動板を露出させた状態にできる仕様となっている。

ショップデモカーのサウンドに影響され、デモカーと同じフロントスピーカーを愛車に導入した下沢さん。しかもDSPアンプを使った比較的シンプルなシステムですべてのスピーカーを駆動することにもこだわった。こうして狙い通りのサウンドに加えて、シンプルで純正然としたインストールを両立させるオーディオカーを作り上げたのだった。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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